挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

03.修練の時篇

31/97

03-04聖騎士のお姫様

・アルバインと亮太の車での押し問答を修正しました。(9/3)
「あれ……? 俺どうしてこんな所にいるんだ?」


車で過労と魔力が尽きかけていたために気絶してしまった亮太が目を覚ますと、そこは小学生の頃毎日歩いた団地が建ち並ぶ通学路であり。

亮太は背中に背負っている黒のランドセルの重みと、自らの目線が低くなっている事から自分が小学生の頃に体が戻っている事に気がつくことで自らが夢の中にいると言う結論にいたる。


(何で今更こんな夢を見ているんだろうな……)
「うっす、亮太!! どうしたよ、道の真ん中で立ち止まって?」

何とか状況を理解しようと思考を回していた亮太であったが、突然後ろから元気の良い少年に背中を軽く叩かれ驚かされる。

「今日は二人で町屋に行くって約束だっただろ? 一人でいっちまうなんて悲しいじゃねーか?」
「いっ、一成……なのか?」
「何だよ、まるで死人を見たような顔をしちまってよ」

亮太の背中を叩いたのは小学生時代の親友であった、黒髪ショートヘアーで小学生にしてはブランド物の子供服を着こなす、お洒落な身なりをしている竜崎一成(りゅうざきいっせい)であり。

亮太の当時の記憶のなかでは当時貧乏だった自分とは違って大きな不動産屋を経営する親を持ち、皆からもその明るい性格と、運動センスが抜群であった事もあり。
誰からも人気の高かった一成が何故か自分とばかりつるみたがるのかが解らなかったが。

彼は自分の身なりに惹かれたり、その財産にあやかりたいから付きまとう者達ではなく、純粋に自分と言う存在を見てくれている亮太を好いているらしく。亮太が生前良い友好関係を築いていた数少ない大切な友人でもあった。


「そういや、死ぬ前の一週間ぐらい前に居酒屋で話し込んで以来会って無かったんだよな……」
「居酒屋……っておまえ、まるで俺達がおっさんになっちまった見たいじゃないかよー!」
「はははは。そうか、子供の頃だとそう言う考えになるよな」
「当たり前だろ俺達子供何だから!! 亮太また何か会ったのか? あいつらにからかわれたとか」
「いや違うんだよ一成、ただ懐かしくなっちまってな。また、一成と会いたくなっちまってさ……」


その発言をしてから亮太はまた夢の中に出てきてくれた子供の姿の親友に戸惑われるだけだろうと俯きながら考えていた。だが、

「直ぐに会えるさ、だって俺達は切っても切れない親友だろ?」
「え?」

成一は俯く亮太の両肩に手を置いて亮太を力強い声で励まして見せた。

「だから今はお互いの戦場で生き残ろう。再開の時を希望してな!」

思わず顔を上げて見た10年以上振りに見る彼の力強い笑顔と声に亮太は目を奪われると同時に期待で目を輝かせる。

「一成、お前まさかーー」

そんな亮太であったが、ふとある仮説に勘づき慌てて一成に問い正そうとするが突然彼の体が輝き始める。

「おっと、すまない。どうやらお呼びが掛かっちまったみたいだ。亮太、必ずまた会おう」
「待ってくれ一成!! まさか俺だけじゃなくお前まで死んじまったのかよ?!」

屈託のない笑顔を自分にぶつけながらも、別れを告げた親友に真実を聴くために亮太は声を張り上げるが成一は力強く、真剣な表情で戸惑う亮太に視線を返す。

「安心しろ。俺はーー」

その言葉を最後にして夢の世界は光に包まれて目視する事が出来なくなっていった。


ーーーーー◇ーーーーー


「一成!! ……て、うわぉ?!」
「きゃあ?!」

亮太が慌てて目を覚まして目を開けると、そこには日が暮れた為に点灯されている車内のライトによりうっすらと見える景色の中で、頬を赤らめながら自分のおでことおでこを助手席から身を乗り出して重ねているアルバインが目の前にいたため。亮太は色々な意味で驚かされる。

「ごごご、ごめんよアルバイン!!」
「いっ、いえ!! 寝ているマスターの顔に、迂闊にも自分の顔を近付けていた私が悪いのです!! もも、申し訳ございませんマスター!!」

動揺してあたふたしながら謝りあった二人は何とか落ち着きを取り戻し、状況を確認し会う。
まず亮太が帰宅した所で意識を失ってしまい、アルバインが残ることで皆を帰宅させた事。

そして、先程アルバインが亮太のおでこと自分のおでこを重ね合わせていたのは亮太の熱と具合を測る為であったらしく。
そのアクシデントを思い出して、亮太とアルバインは余計に顔を真っ赤にさせてしまう。

「ああああの!! マスター?!」
「はっ、はい何でしょう?! アルバインさん!!」

顔を真っ赤にし、胸元に両手を組んだアルバインが息を整えてから話始める。

「さ、先程からマスターの顔を見ていたのですが!」
「ああっ!」
「疲労の為かずっと顔も赤いですし、鼓動も早く、熱も出ている様なのです!」
「そっ、そうかな?」
「はい! ですので今すぐに休息を取りましょう!! マスターは働きすぎです!!」
「え、いや。まだやることが山程あるから……」
「その山を今のマスターの体調では登りきる事が出来ないから止めているのです!!」

そう言ってアルバインは可愛らしく頬を膨らませ、無理矢理に起き上がろうとする亮太の上に馬乗りなりながらも顔を真っ赤にさせ、目も潤ませながら必死に説得されたものだから流石の亮太も断る事が出来無くなり同意する事となる。

「あっ、はい。じゃあお言葉に甘えて休ませて貰います」

その言葉を聴けたアルバインは心底ホッとした表情で吐息を吐く。

「……良かった。約束ですからね?」
「ああ、約束するよ」

そう言って間近で頬を染めながら微笑んでくれたアルバインの笑顔を見せられ、亮太の胸の中で何かが沸き上がるのを亮太は感じるが、この時はまだその気持ちが何なのかを亮太は知らない。

「そうと決まれば今日は夕食を取り、体を清潔にしてから休みましょう。マスター」
「う、うん。解ったよアルバイン。そうす……るっ?!」


最早、反論出来ないと感じた亮太は照れ笑いを浮かべつつ、彼女の意見を尊重し続けていたのだが。ふと窓の外から複数の視線を感じ視線を巡らせると、そこには美少女のアルバインに翻弄されている亮太をにやにやした顔で見つめている仲間達がいた。


「ほれみろ。ワシの言う通りじゃったろう? あの嵐の中で向けていた亮太の情熱的な視線は、恋心を抱く者のそれじゃったからのう!」
「ちぇー私に一切黄色い視線を向けてくる事が無かったから、てっきり亮太さんはホモだと思っていたのに~」

まず、草の茂みに両手に木の枝を持って隠れているヒデヨシとソルトが恋ばな好きの学生の様な話をしていたり。

「あらあら。今夜はめでたい夜になりそうねー」
「出来ればワシらの内から嫁さんを貰って欲しかったんだが……」
「何を言う、まだまだお若いんだから側室としてめとって貰えば良いじゃないか」

アサツユ街の人達が、色々と個人的な話をしていたり。

「うわー!? やっぱりアルバインと亮太ってそう言う関係だったのかよー?! 確かに、亮太の事を時折優しい視線で見つめていたけどよー!!」

最早隠れるとか、バレルとかそんな事どうでも良いとばかりに立ち上がり、頭を抱えながら声を張り上げるレイラ達等が亮太とアルバインの動向を探っていた様で。

その事に気が付いた車内の二人は羞恥心故に再び赤面し、慌てて車内のライトを消して外から見えなくするのだが、最早手遅れであり。二人はドキドキしたまま暫くは車から降りずらくなってしまう。

「何か……凄く腹が立ってきた……」
「ヒ、ヒデヨシさん達もずっと心配されていたんですよ?」
「ああ……解ってはいるんだけどね。取り敢えず、召喚能力が使えるだけの体力も回復したから残っていた牛乳を飲んで落ち着く事にするよ。アルバインはいる?」
「ありがとうございます。では、頂きますね」

そう言って二人は亮太が召喚した良く冷えた瓶入り牛乳を開けて、心から美味しそうに喉を鳴らしながらグビグビと飲み干し、良い笑顔で息をつく。

「「ぷはー!」」

二人は自分の身体に体力が回復していく事とカルシウムによるリラックス効果で落ち着きが戻ってくるのを感じ。思わずお互いに微笑み会う。

「やれやれ……こうやってただ牛乳を飲むだけでも命懸けになるとは考えていなかったよ」
「そうですね。でもマスター、そう言いながらも良い顔をされていますよ?」
「そうか、そうかもな……。これも皆が居てくれたお陰だな……」

そう言って手に握っている飲み干した牛乳瓶を自分の意思だけでアイテムストレージに収納して見せてから、亮太は何も握る物が無くなった右手を見詰めて呟く。

「アルバイン。その、頼みがあるんだ」
「は、はい! 何なりとお申し付けくださいマスター!!」

少し慌てた様子で助手席で姿勢を正すアルバインに亮太はある頼みを持ち掛ける。

「俺を、せめて自分の身を守れるだけの力を持てるように鍛えて欲しいんだ」
「……マスター。やはり、ラムセスさんとの戦闘により敗北を記した事を気にされておられたのですね?」

数時間前、亮太は全ての攻撃を反射する盾ミラージュを手に掲げて意気揚々と正面から挑んだのだが、只の一般人である亮太が激戦を潜り抜けてきたラムセスに太刀打ち出来る訳がなく簡単に撃退されてしまい。

寧ろ自分の命を危うくすると言う最悪の結果を産み出してしまった事を亮太は悔いていた。

「ああ。幾ら高性能な伝説の剣を握ったとしても俺が持てばその価値が解らずに真珠を食べてしまう豚同然の結果しか生まれない事が解ってしまった……。だからせめて、最低限の事が出来るようになりたいんだよ!」


召喚士と言う何かに頼らないと価値を見出だされない因果な職業を割り振られ、心の奥では指揮者と言う重要な役割を担っている事を頭では理解しているのだが。

その他力本願な力にすがる事しか出来ず、仲間を危険な目に合わせながらも自らは安全な場所でその姿を傍観する自分の無力さをずっと心の中で嘆いていた亮太は、気づけばすぐ隣で真剣な表情で話を聴いてくれているアルバインにその絶叫とも言えるような嘆きを体を震わせながら吐き出していた。

その叫びと苦痛を全て呑み込んだアルバインは決して亮太を馬鹿にする仕草を見せずにただ優しく微笑み。苦痛で突き刺された亮太のボロボロな心を覆うような柔らかい声で、彼女の裏表の無い心からの思いを伝える。

「マスター……貴方は決して傍観者でも、卑怯者でもありませんよ……。だって、貴方が命をかけてでも私を行かしてくれなければこの街は……ここにいる人達はこうして笑ってはいられ無かった事でしょう……。見てください」

そう言って、アルバインはフロントガラスの向こう側に見える街の各所に建てられた20本程の魔力により明るく街を照らしているガス灯の光の中に映るアサツユの人々に視線を向けて話を続ける。


「あの人々の輝きを守ったのは間違いなくマスターのお陰です」
「だがそれはアルバイン達が奮闘してくれたお陰で……」
「そうですね。でも、私達は貴方の意志が無ければ身動き一つ取ることが出来ない道具の様な存在です。あの街が復興する力を取り戻し、ヴァルハァム王国軍との和平を結ぶ事で無用な戦いを阻止する事が出来たのは間違いなくマスターが選んだ【選択】による結果です。マスターは正しい道を選んでくれた」

感極まったアルバインは自らが誇りとするマスターの震える両手を自らの暖かい両手で包み込み感謝を述べる。

「胸を張ってください、マスター。ただ剣の腕が優れた者が世界を正しく導く者になれる訳では無く。心からの愛を持つものが、真の意味で皆を幸せにする道へと引き連れて行くことが出来るのですから」
「あり……がとう……。ありがとうアルバイン……」


その日の夕刻。救世主になろうと奮闘してきた若き青年は田舎娘を思わせる姿の少女に抱き抱えられたまま堪え続けてきた苦難と共に涙を流した。

それは、青年が全ての苦難を自分だけで背負い込むことを辞めた瞬間であり。

長く続くであろう苦難の道を互いに重荷を背負いながら、肩を並べて歩いてくれる友達がいることを知った瞬間でもあった。
マリナ「……何か、私の知らない所で良からぬ事が起こっている様な……」

と言う感想をマリナが抱くであろう話でしたが。
この話は超人ではなく一般人レベルである亮太の精神が、ずっと年下のマリナの前では痩せ我慢をしていただけで本当は限界を迎えていた事と、アルバインと言うキャラクターのこれから作品に与える影響を示唆する為に描きたかった話でした。

今回の話を読んでくださっさ読者の皆様からしてみれば「あ、こいつ吊り橋効果でマリナを捨てて、金髪美少女にコロッと落とされやがった!!! 切腹してやる!!!」と感じられる程に、アルバインのヒロインオーラが目視出来る程であり。

亮太が恋に落ちた様な演出を出しましたが、実際にはやっと亮太の中で心を許せる相手と出会えたと言う様な意味合いがありましたので。

マリナが好きでこの作品を読んでくださっている皆様に不愉快な思いをさせてしまっていましたらすいませんが、恋話が発展して依りいっそう頑張るマリナを描きたいと言う思いもありますので御許しください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ