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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

03.修練の時篇

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03-02 未来地図を広げて②

・イザベラとマリナの会話等を改編しました。
亮太達を乗せた7人乗りのパジェロは10キロ先の城門まで整地されている車が横に4台は通れるであろう道を20キロ程の低速で走っていて。

車の中では、馬に引かれずに進んでいる未知の乗り物に慣れてきたヴァルハァムの仲間達が車内で興奮した様子で話し合っていた。

「いやはや! この車と言う物は素晴らしい物ですな!! 速いだけでなく、揺れも少ないですし。何より涼しい風とフカフカの椅子があるとは……」
「すっ凄いです! 魔石を用いずにこれだけの性能を引き出せるだなんて!」

助手席に座る元商人のロマネと中央の左側に座る少年兵のミランは馬車代わりの車に興奮し。

「なるほど……これだけの自然がある土地を整地出来るのであれば牧場を造り、家畜を増やしても面白そうだ」
「……よくもこれだけ何も無いところで、我々の刺客を退けられたものだ……」

純粋に土地の活用法を考える中右に座るルクマンとかつて宿敵が絶望に挑んだ戦地を見渡すラムセス。

「あー……特に何も無いところを眺めていてもつまらねーなー……。そうだ! ここら辺に闘技場を造るってのはどうかな!!」
「そうですねー。港街には家を建てるだけの土地しか無いですからね。レイラさんの言う通り兵士を鍛える修練場は必要ですね」
「さっすがアルバイン!! 話が解るな!! へへっ」

一番後ろの席で意見を出し合いながら、楽しそうにハイタッチをするアルバインとレイラ達を乗せた亮太が運転する車は、あっという間にまだ瓦礫が片付けられていない三キロ地点に到着する。

そこは暴風により木々が薙ぎ倒された為に一部が禿げ山と化している山や、飛ばされてきた樹木や、城壁の一部や大砲の砲弾やバリスタ等が平原のあちこちに落ちていたり。

ダムの様に瓦礫に塞き止められてしまっている危険な川や、異臭を放ち始めている牙猪の一部等が山積みとなっている地獄のような光景が亮太達の前には広がっていた。


「それじゃあ、ここまで見てきた物で思い付いた事をこの紙に絵に描いて貰って良いですか?」

そう言って亮太は車の運転を続けつつ、脳内にある召喚出来るものである余っていたノートとボールペンを脳内にイメージして手元に召喚して皆を驚かせ。

出現させたノートの白いページを助手席に座るロマネに一枚ずつ破いて配ってもらい、それと共にボールペンも共に配る事で。感想や、意見を交換をしあいながら進んでいく。


その中で出された提案は簡単に纏めると以下の物であった。

・ヴァルハァムの人達が得意としている、家畜を飼うための牧場の建設。
・近くの川から整地された土地に水を流すための水路の作成。
・兵士と指導員を養成する為の修練場の建設。
・広大な農地を身近で経営する為に、西の平原に宿舎や収穫物を保存し守るための蔵等を建設する事。
・教育を受けるための学校の設立。
・農機具や、食物の種の確保。
・付近を警戒する警備隊の設立。
・広大な距離を移動するための移動手段と運搬手段。
・食物が取れない場合の対策と他の大陸との貿易案。
・狭い土地の為、皆の心を癒すレジャースポットの開発。
・外敵と魔石に対抗できるだけの防衛力の確保。

等の提案が皆からあげられ。亮太はその一つ一つの提案を目を輝かせて聴き、これからの予定に組み込んでいく。

「なるほど、なるほど……。こいつは俺だけで動いていては半年近くかかっちまう量だな。よし、この提案書を国に持ち帰って話し合って行こう!! こいつは今までの小さな仕事とは違い、正しく国家レベルの壮大な仕事になるぞ!!!」

そう言って興奮している亮太の姿を見せられて、意見を出した皆の士気も自然と上がっていき。亮太達はその後、そのままの勢いで元々片付けられた三キロ地点から7キロ地点までを転送の杖や、魔石、剣や素手により綺麗サッパリ片付けてしまい。

彼等がフラフラになりながらもアサツユまで帰ってきたのは予定よりも一時間程遅い、日が海に沈み始める6時頃であった。


ーーーーー◇ーーーーー

亮太達が労働意欲に燃えているそんな時と同じくして、新生ヴァルハァム王国の裏山の塹壕の中でかつてハシバ達を裏切り、魔石に変えてしまった若き兵士トールは人生を左右する局面を迎えていた。

《……どういう事なのか、もう一度説明して貰えるかしらトール?》
「はっ、はい……女王陛下」

薄暗い塹壕の一室にある大きな鏡に映る現ヴァルハァム王国王女である貴重品である赤紫のマントを羽織り、金色のドレスに体のあちこちにつけられた宝石の様なカットした魔石を身につけた厚化粧のイザベラは。

自らが送り込んだ諜報員であるトールの報告を聴いて、信じられないと言った様子で先程の話をもう一度復唱する事を命じた。

その命令をトールは顔に汗を数滴垂らしつつ、少し震えた声で答える。

「当初の予定通り、牙猪の育成と捕虜を用いた新天地の開拓は順調に行われていたのですが……。我が軍を退けるだけの力を持った者達の出現により、最早撤退せざるをおえない状況となりまして。そして、私もまだ信じられないのですがーー」

その言葉をトールが言い終える前に彼が隠れていた部屋の石壁が内側に吹き飛ばされ、その衝撃で洞穴が揺らめき、土煙が舞い上がる。

「もっ、もう追ってきたと言うのか!?」

その襲撃者の存在を既に知っていた様子のトールは先端に風の魔石が埋め込まれた杖を取り出して、剛風を発生させて侵入者を撃退しようとするのだが、

「遅いわ!!!」

目の前から砂煙を掻い潜り、高速で突っ込んできたメイド服姿の少女に杖を蹴り飛ばされ、がら空きになったボディに勢いよく回し蹴りが炸裂し吹き飛ばされ。そのまま背後にあった交信用の鏡に叩きつけられて前倒れになり、そのまま意識を失う。


その様子を見届けていた王女イザベラは、声を怒りで震わせながらメイド服についた砂等の汚れを手で払っている少女に問い掛ける。

《貴方達が何処の田舎者かは知らないけど……。無知とはいえ、私の可愛い部下に手を出すだなんて後悔するわよ?》

その言葉を彼女の態度と口振りから判断したマリナは相手に日本語が通じないと解っていながら反論する。

「はあ……何を言っているのかしら? 後悔するのは貴方の方よ、厚化粧のイザベラおばさん。いえ、国潰しの大娼婦と呼んだほうが良いかしら?」
《……生意気ね。貴方の様な薄汚いねずみが潜んでいただなんて、油断していたわっ!!! でもはっきりしたわね!!! この私を敵に回したと言うことは、世界最強のヴァルハァム王国を敵に回したと言うーー》
「ーー事にはならないわよ、イザベラ」

その言葉を少女の後ろから歩いて隣に並んで遮った人物は、作り物の化粧で塗りたくられたイザベラとは違い。薄暗い洞穴の中であってもその威厳と美しさを失わない本当の王女であるナバルであり。

二年前に確かにその命をイザベラにより散らされ、火葬までされて髪の一本すら残されなかった筈の死者の登場に、流石のイザベラも鏡の中で口を開けたまま硬直させられる。


「私達は力と暴虐により我がいとおしき王国と民を(むさぼ)り尽くした貴方の悪口(あっこう)を見逃す事が出来ず。罪なき人々を取り戻す為に、こうして神の国から舞い戻りました」
《そんな……嘘よ……》
「私は、貴方に奪われたものを全て取り戻し。大罪を犯した貴方達を神の名において、その罪に従い処罰させて頂きます!!」
《また貴方は私を影に追いやり、惨めにさせると言うの……?! そんな事は許されない!! 許されてはいけないのよ!!!》
「イザベラ。悔い改める時を与えます。3日までに貴方が正しい答えを見つけられる事を願っていますね」
《待ちなさいナバル!! 貴方の存在はあってならない物なのよ!!! わかるでーー》
「せえぇい!!!」

その言葉が言い終わる前に、彼女のヒステリックにうんざりしていたメイド少女が投げた頭程の大きな石が鏡に直撃し。鏡は粉々に砕け散った。


「ふん! バッカじゃないの?! いちいち嫉妬している事しか出来ないから、自分のやっている事すら解んなくなるのよ!」
「あらあら……これじゃあもう連絡様には使えませんね……」
「あっ……。ご、ごめんなさい……。ついカッとなってしまいまして……」

そんな自分の言うことが見事にブーメランとして帰ってきてしまい、顔を真っ青にさせて苦笑いしているナバルを見つめる少女に、ナバルはしゃがみこんで彼女を引き寄せる。


「マリナさん。感情を無くせとは言いませんが、感情だけに振り回されてはいけなかったわね? だから今度からは、手を出す前に心を落ち着かせてみましょう? そうすれば、本当にすべき事を見極められる筈だから」
「は、はい! 次からはきおつけます!」
「はい、言い返事です! そして、私の為に怒ってくれてありがとう」

そう言って、ナバルはまた一つ成長したマリナを抱き寄せて頭を撫でながら褒め。マリナは王女から溢れ出す暖かい包容力に包まれて、癒される。


そんな二人がいる部屋に綾瀬をはじめとした彼女をリーダーとする新生ヴァルハァム王国の兵士達が様子を見に来た。

「王女様、マリナ!! 無事ですか?!」
「ええ。彼女が守ってくれましたから。他のスパイ達は見つかりましたか?

その質問に続けて綾瀬が答える。

「はい。敷地内と、裏山に潜んでいた兵士達40人は捕まえる事が出来ましたが、どうやら他にも仲間達がいる様子で、現在300人体制で大陸を陸と海から捜索を続けています」
「わかりました綾瀬さん。皆さん、疲れが取りきれていない中。奮闘してくださり本当にありがとう」
「大丈夫ですよ王女様! 王女様の力のお陰で大勢のヴァルハァムの人達は元気ハツラツとしていますからね!」
「ふふふ、ありがとう綾瀬さん。では私も頑張りますね。そこで倒れている者の拘束をお願い致しますね」
「はっ!」

その命令を聞いた綾瀬の後ろに控えていた兵士達が直ぐ様に部屋に入り、気絶しているトールを縄で縛り上げて、肩に抱えて運び去っていく。

「全ては人間の弱さが生んだ事とはいえ、悲しい戦いですね……。綾瀬さん、私達は苦労をお掛けしている貴方にまた仕事を負わせてしまう事を許して頂けますか?」
「私は元々イスカちゃんの護衛を頼まれてここまで来たのですが。今は彼女の事もその友達も家族の様に思っています。
なのでイスカちゃんのお母さんであるナバル様を助ける事は私にとって当然の事なんです! だから、今は一緒に力を合わせて頑張りましょう王女様!」
「わっ、私も一緒に頑張りますから!!」

そう言って励ましてくれる綾瀬とマリナに、内心辛い思いをしていたナバルは感謝し。微笑みながら頷いた。

「ありがとう。綾瀬さん、マリナちゃん。皆さんが側にいてくださる限り、私は故郷の奪還を諦めませんから。どうか、これからもよろしくね?」


この日。ヴァルハァム王国の植民地とされていた大陸からは合わせて81人に及ぶイザベラに送り込まれたスパイ達が拘束され。彼等はナバルとの話し合いの後、53名が仲間に加わり。残りの者はイザベラに忠誠を誓ったまま牢屋に拘束される事となる。
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