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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

02.アサツユ国、建国篇

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02-10 決戦!! 第二次アサツユ村防衛戦【Final】

・作品のタイトルがサッパリし過ぎていたために、少しだけ付け足しました。
「ちょ、ちょっとー!!? あの人飛び降りちゃったけど大丈夫なの!?」
「おいおい! 速く引き上げてやらんと!!」

かなり重たい筈のフルプレートアーマーを身に纏っているにも関わらず荒れ狂う海の上に飛び込むと言う、召喚されてそうそうとんでもない行動をした騎士に、亮太以外の誰もがやけになって自殺行為に出たのかとざわめく中で、亮太は焦る素振りも無く彼(?)と交信を続けていた。


「どうだい? 大丈夫そうかな?」
《ええ! このぐらいの波ならば問題はありません!! マスターが託してくださったこの剣で、死を生む波を切り払って見せます!!!》


そのタブレット型の半透明の画面から聴こえてきた、年端もいかぬ少女とは思え無い歴戦の騎士を思わせる彼女の凛々しい声と共に、慌てていたマリナ達は強風が吹き荒れ、嵐が巻き起こっている先程彼女が飛び降りた海面の方角の先に辺りを照らしながら突き進んでいく、一つの力強い光の塊を見た。

「何、あの綺麗な光?」

その人と同じ大きさで水を切りながら時速300キロを越える速度で、沈没しそうになっている船へと向かっていく光を、様子を皆が甲板から目撃した為に驚愕の声が挙げられる。

「え?! まさかあの人、甲冑を着けたまま空を飛ぶ事が出来るの!?」
「ああ。どういう原理かは解らないけどな」

そう言いながら、マリナの隣で無償で召喚出来るスポーツ選手用の高カロリーのチョコ味のパワーバーを食べ、まだ残っていた2Lのお茶で胃の中に流し込む様に飲み込む、マリナの隣に並んだ亮太に自然と皆の視線が集まり。彼等は再び驚かされる。

きらびやかなアルバインとは売って変わって、燃える様な赤い毛並みを老人の様に力無く垂れる白髪に変え、顔に有った張りの有る肌はしわが走ったシュッとした痩せた肌に変わっており。一回り程縮んだ様にすら見える。

正しく、亮太は力強い若者の姿から初老の男性へと姿を変えていたのである。

その余りの究極のレアとされる【UR】クラスの召喚の代償に、転覆する恐れがある小舟から大型ガレー船に乗り移っていた他のアサツユ村の兵士達も再び驚愕させられる。


「亮太?! こんな、どうして!?」
「……簡単な話さマリナ。命を救うと言う事は、同じだけの代償が必要となるって事だよ」

そう言って若者を諭すおじさんの様に、泣き出しそうな表情をしているマリナの頭を微笑みながら撫でつつ。

亮太は正面に浮かんでいる半透明のタブレット型の画面に複数のウィンドウに写されたアサツユ村の周辺地図と、光の粒子を甲冑の隙間から放ちながら海面から8m上を飛行しているアルバインや、既に半分を切っているジワジワと消費されて行く自分自身の体力ケージを見つめつつ。

少しでも体力を回復させる為に再びパワーバーを複数召喚してポケットに入れ、数ある中から可愛らしいパッケージの袋に入れられたアップルパイ味のパワーバーを袋から半分程出して、かじりつき。

瞬間的に体力ケージを10分の3程回復させるが、それも4分程しか持たない事を予測した亮太は画面に写るアルバインに声をかける。


「アルバインさん、すまない。どうやら今の未熟な私の力では、貴方を具現化させているだけで精一杯の様だ。だが、この状況を打開するには貴方の力をどうしても借りなければ勝てないと感じている」
《マスター……》

心配そうな声で自分の名を呼ぶアルバインに、亮太は微笑みつつ促す。

「ここからは私も命をかけて君と共に戦う。必要で有るならば幾らでも力を送る……だから、あの化け物を君の剣で打ち崩して欲しい」

その言葉をアルバインが聞き、二人の間に数秒程の沈黙が流れるが。
彼女の力強い返事が返ってくる。

《はい、必ず!!》

その言葉を実現させる為に気合を入れたかのように微かに見えていた光が増幅されて、まるで灯台の様に強い光を放ち出しながら彼女は正に電光石火とも言えるその移動速度で救出目標であるガレー船に取りついたため。

光輝く純白の甲冑に衝撃的を受け、先程までは死を覚悟していた彼等も度肝を抜かれる。

「なっ、何だあの光輝く甲冑を着た者は!?」
「新たな敵兵か?!」
「我が名はエリス・ミラ・アルバイン!! 我がマスターの命のもとに貴方達を救いに来ました!!! 」

その拡声器を通したような大きな声が本当である事を示す様に、アルバインは右腰に差していた鞘から輝かしい聖剣カリバード《Rank,SR》を抜き放ち、8m近くまで迫っていた10mクラスの大波をアルバインは空中で一瞬周りを見渡してから。

背中のバックパックと脚部の下腿(かたい)と言う部位とふくらはぎの外側。更に足の裏に格納されていたアメリカの戦闘機F22の軸式の推力偏向ノズルに似たジェットパックの様な物を展開させ、大量の光の粒子をアフターバーナーの様な目が眩むほどの強い光を放つ。

「行くぞ!! ホーリー……リングスラッシュ!!!」

その掛け声と共に、アルバインは背中のバックパックに付けられたブースターはホバーリングの為に垂直のままにしたまま、足の外側につけられたスラスターをそれぞれ横向きに吹かす事により。

普通の人間ならば身体がネジ切れる様な猛烈な勢いの回転切りと共に、天使の輪の様な光の斬撃を360°に広がって行く様に打ち放つ。

その光の斬撃は荒れ狂いながら迫っていた全ての大波を光の魔力で蒸発させる事により、数秒ではあったが全ての波を消し去って見せる。

「なっ……何が起こったんだ……」
「お、おい!! 何か船が浮かび上がって来ていないか?!」


そのとんでもない力に皆が度肝を抜かれている間に、安全を確認したアルバインは直ぐ様にくの字にネジ曲がり、半分以上が水没していた船の下に手を潜り込ませて持ち上げ始め。

遂には船員達を抱えた船事、無事に救出して見せ。そのまま亮太達のいる船の元へとゆっくりと帰還して見せたものだから皆はその姿に仰天すると共に、正に神話の英雄を具現化した様な彼女の働きに亮太達だけによらず、助けられたヴァルハァム王国兵達からも称賛が贈られる中で。

《キィィィ》と言う、甲高い音と光の粒子を撒き散らすブースターを吹かせながら。彼女は救出した兵士達をまだ沈んではいないが、既にアサツユ村の人達でごった返しているガレー船へと移していき。

生還した兵士達は緊張の糸が途切れたのか、泣き出し始めたり、仲間達と共に円陣を組んで喜びを分かち合ったり、助けてくれたアルバインに祈りを捧げる者までいた。

「助ける事が出来て良かった……」

そんな彼等の様子を見て、アルバインが肩の力を抜いて微笑んだところで。直ぐ様にマスターである亮太の元へとアルバインは船上に着地してから駆け寄るのだが。

「マスター!! 貴方の望みは叶えられました!! 次はあの巨大な魔石……を……」

彼女がそこで見たものは老人の様にしわがれ、最早立っていることすら出来なくなり泣きじゃくるマリナに背中を支えられながら力無く床に座っている変わり果てた亮太の姿であり。

アルバインは悲鳴をあげるように彼の名前を呼びながら直ぐ隣に駆け寄る。

「マスター!? ああ、どうして言ってくださらなかったのです?! そうであれば魔力の消費を抑えてーー」
「彼等を助ける時間が……更に延び。生存者が減っていたかも……知れない……だろ?」
「うっ……」

その言葉にアルバインは反論出来ずに息を詰まらせ、その姿に亮太は苦笑いを浮かべつつアルバインの肩を抱き寄せ、朗らかな笑みを浮かべながら弱々しい声で言葉を紡ぐ。

「本当に良くやってくれた……君は最高の仕事をしたんだ……。そんな曇った顔をせずに……胸を張って欲しい……」
「マスター……貴方は本当に愚かな人だ……」

辛そうにそう言ったアルバインの頭を守っていたヘルムが少しずつ光となって消えていく。

突然の事で驚く亮太が見つめる前で、金色の美しいロングヘアーを編み込んで後ろで三つ編みにしたツーサイドアップと言う頭頂に近い一部の髪を左右で束ねた髪型をした、凛々しさと慈愛に満ちたエメラルド色の美しい目が亮太を見詰める。

彼女は優しく亮太を(いたわ)る様に抱き寄せて、母親の様に抱き締めながら耳元でささやく。

「そして、優しい人だ……」
「それは、私と同じ様に……彼等を助けてくれた……君にも言えることだよ?」
「マスターに召喚された私達は消えたとしても、再び誰かの力として蘇る事が出来る。だが、マスターは2度目の生は……」


その彼女の言葉に、亮太は急激な魔力の消費が無くなった事と、アルバインが頭部の防具を魔力に変えて亮太に返したために少しずつ顔色を良くなりつつある顔に、亮太は苦笑いを浮かべて答える。

「悪いな、アルバインさん。俺は一度殺されて、転生して蘇った敗者復活組なんだよ」
「そんな……!! ではマスターはーー」

「ちょっとー!!! 台風が来てるのにのんびり喋っているお二人さん!! 少し手を貸して欲しいんだけど良いかな?」

亮太達から見て、後方から聴こえてきた力強いその声の主は亮太と同じ転生者であり、今はヴァルハァム王国の姫様を影ながら補佐として支えている綾瀬であり。

彼女とその仲間達は、アルバインが助けに行っている間に亮太達とコンタクトを取っており。二席の大型ガレー船を横から近付けて、ロープ等でオールを出す為の穴にくくりつけて連結してから、接触している部分を彼女が氷の魔法で凍らせる事で結合させて双胴船(そうどうせん)とし。

何とか三角波と吹き付ける強風から船が沈没しないように守っていた。


そんな彼女の頼みは何かと亮太達が振り返ろうとした所で、亮太達はアサツユ村に浮かんでいる巨大な魔石の塊から猛烈な殺意を感じると共に、風によって大波が巻き起こり、アサツユ村に建てられていた様々な家の残骸が大量に飛ばされてくる。

「つぅ……やっこさん、本気だし始めやがった……!! マリナ!! ルル!!」
「この船と皆は、私達が守るんだから!!!」
「はい、マスター!! 飛翔物の迎撃を開始します!!!」

叫び声をあげながら亮太は背中に背負っていた民間用に改造され単発式となっている89式小銃の模造銃で、飛んでくる細かな木々を火薬玉と併用して撃ち落とし。

その打ち損ないをルルが対物ライフルで粉々にし、その防衛線を潜り抜けて来た物を手に魔力を纏わせたマリナが格闘技で粉砕するのだが……。


「おっ、大波が来るぞぉぉぉ!!!」

前方200m程の場所から正に巨大な黒い壁とも言うべき約35mの巨大な大波が競り上がりながら亮太達を飲み込まんと接近していた。

「畜生!! どうしろってんだあんなの……!!」

そのどう足掻いても太刀打ちできない相手を見た者達から絶望の悲鳴が上がり。亮太も歯を食い縛りながら、自らの非力さ結えに怒りに震える。


そんな阿鼻叫喚の中で、亮太の隣にエジプト風の魔術師の格好をした綾瀬が現れる。

彼女は真剣な表情で大波を睨み付けつつ、右手に持っている白く所々に金の装飾が施され、杖の先端に赤、青、黄、緑の野球の玉程の大きさの魔石が埋め込まれた杖を大波に向けて構える。

「やれやれ、災害に巻き込まれるのだけはほんま勘弁して欲しいわ!! ハイ・プリザード!!」

そんな悪態をつきながらも転生する事により高ランクの魔法を操る事が出来ている綾瀬は、緑と青の魔石を発光させて前方に魔方陣を展開し、そこから放たれた猛烈な吹雪を水をやるように全体に巻いていき。

迫っていた巨大な大波と周辺で荒れ狂う海と共に、凍てつく風を吹き付けて美しいガラス細工の様に凍らしてしまう。

そんなとんでもない彼女の力を見て、絶望していた者達も心を持ち直し。責めてものお礼とばかりに声援を贈る。

そんな歓喜に包まれているが以前苦戦している状況の中で、彼女は手に氷の冷気を纏わせながら隣で驚愕している亮太にある物を預ける為に近づく。

「亮太さん! 私が持っている体力回復用のポーションを数本渡すから、それで回復してあいつを倒して欲しいんだけど良いかな?」

そのリクエストを受けた亮太は思わず聞き返す。

「それだけの力が綾瀬さんには有るんだから、別に俺が出張る必要は無いんじゃ?」
「ううん……。残念だけど、私の魔法ではあの巨大な魔石を攻撃した場合。魔力が吸収されてしまって、限界許容量を越えた魔石が大爆発を引き起こして。下手すれば、大陸ごと私達が吹き飛ばされて仕舞うかも知れないの……」
「それで、物理攻撃であの魔石を攻撃出来る俺達に出番が回る訳か……。解りました綾瀬さん、俺達がやって見せますよ」


そう言いながら、周囲にいる目と鼻を真っ赤にさせたマリナが頷き、ルルも銃を魔石に対して構える事で答え、亮太の思いを魔力を通して理解しているアルバインが真剣な表情で亮太と視線を合わせながら小さく頷く。

「良い信頼関係を仲間と築いているんですね。頼もしい限りです!!」


そう言って綾瀬は微笑みながら、体力切れで立つ事が出来ずに座り込んでいる亮太に姿勢を低くして、木製のコルクが呑み口にはめられているマラカスのように細長い棒とその先にリンゴ程の大きさの玉がついた鉄製のポーションフラスコを4本手渡す。

「これを飲めば、必ず体力が戻ります! 私の自慢の一品の一つです!

その渡された4本のポーションフラスコの内一本をマリナが受け取り。
直ぐ様にぐったりとしている亮太の口許に近付けて、赤いアセロラの様なサラサラとした液体をゆっくりと飲ませていく。


亮太が回復を行っているその間に、救助され味方となったヴァルハァム王国の兵士達は接近する魔石に対してガレー船に積まれていた火薬玉をラムセスが用いていたと同じ、風を産み出す魔石が付いている魔法の杖を用いてヴァルハァム王国のイスカ姫とその親衛隊達め共に叩き込んで奮闘していたり。

魔石の周囲では豪風に煽られながらも、フラスコの中に入っているオイルを風の魔法に乗せて、風の守りが薄い箇所に空中で拡散させ。そこに口から炎を吐いて魔石全体を炙り続けているソルトとハルちゃんの姿を確認する事が出来。


その風の薄くなった所にルルが対物ライフルで狙撃して大量に魔石のあちこちについている、風を発生させている星を半壊させる等の抵抗を皆がみな少しずつでも魔石を破壊しようと自分達に出来る事をしようとしているのだが。

攻撃を加えられた魔石は崩壊するでもなく、寧ろハリセンボンの様に巨大化し続けており。

最早その重さに堪えられなくなったのか、空中に浮かばずにアサツユ村の港をお風呂とするかの様に現在はプカプカと浮かんでいる。


「身動きが取れなくなった今が勝負所だな……」

ポーションを飲み干した事で全身に力を取り戻し。元の年相応の青年の姿に戻った亮太はゆっくりと立ち上がりながら、魔力で肥太った魔石を見つめる。

「アルバインさん。さっきは気を使わせてすまなかった! 今の俺はあんたがどれだけ暴れようと倒れはしない程には回復した。だから、蹴りをつけて来て欲しい!」

本来の力を取り戻した主人からのその言葉を待ち望んでいた若き女騎士は方膝を地につけ、右腕を左胸に当てて誓う。

「我が剣は貴方のものです、マイマスター。必ずやその望みを叶えて見せます!」

汚れ一つとして無いその白いフルプレートアーマーの表面に淡い光が宿り、顔に再びヘルムを召喚して頭を覆ってから、空すらも駆け上がる神聖な騎士は再び宙へと舞い上がる。

「マナジェネレーター、始動!!」

皆が自分から離れた事を確認した彼女から出されたその命令を、彼女を包む甲冑は直ぐ様に答え、彼女の足元が燃えないように綾瀬により氷が張られる中で。

各ブースターから光の滝とも言うべき大量の光の魔力粒子を噴射し。かなりの重量を誇るフルプレートアーマーが少しずつ宙に浮いてから一気に加速していき、垂直上昇を開始する。


その爆発的な上昇力はさながら一直線に宇宙へと駆け昇るスペースシャトルの様であり。彼女は誰の手も届かない宇宙と空の青さが混じりあった成層圏に到達してから、星の回転に合わせて各種スラスターとブースターを用いて前に進みながらそらを漂いつつ。

亮太に託された両腰に装着された二本の聖剣を鞘から、最高の舞台へと解き放つ。


「マスター。魔力の残量は大丈夫ですか?」
《心配すんなって、城壁と比べたら軽いもんよ!》
「フフッ。解りました、では跡形も無く消し飛ばします!!」

そう言って彼女は光輝く二本の両手剣を両腕を前に突き出す形で構え、剣の表面を横にしてから左右から重ねる様にして近付けていく。すると二本の剣であった聖剣カリバードが、2,5mのトゥ・ハンデッド・ソードの様な一本の大剣へと姿形を変え。

依りいっそう、小さな太陽が生まれたのではないかと錯覚させられる程の強烈な光を放つ大聖剣をアルバインは上段の位置に構え直し、まだ分散している魔力を剣に集中させつつ叫ぶ。

「聖光に裁かれよ! 無法な者よ!! コンビィクション……カリバァァァァド!!!」

彼女の叫びと連動して、大聖剣を覆っていた光が一瞬にして剣先に一瞬にして収束し。次の瞬間、ガソリンをタンクに入れて運ぶタンクローリーの巨大なタンクと同じ程の大きさの巨大レーザーが成層圏から放たれる。


その結果、全体をオイルにより表面を焼き尽くされ、最初は120枚ほどあった風を発生させる面は半分以下となり。

最早、浮遊処かアサツユ村の港から浮かぶだけで身動きが取れなくなっていた巨大な魔石は、その巨体を焼き消すレーザーのその膨大な魔力を吸収できる訳がなく。
黒板にチョークで描いた絵を黒板消しで消し去るように、跡形もなくかき消されていく。


「よし! あれだけ高密度の魔力なら、成す術も無いだろ!」

船上で勝利を確信した亮太達が勝鬨(かちどき)を上げ様としたその時であった、突然猛烈な突風が亮太達の乗る船に吹き付けて来たのは。

「キャアァァァ!!?」
「マリナ!!」

突然の風に煽られ、船から投げ出されそうになるマリナの手を掴み。亮太が踏ん張りながら、その手を引っ張ろうとした時であった。耳元で激しい息継ぎと、憤怒が籠められた声が聴こえて来たのは。

《我々の道を阻み、邪魔をした……貴様だけは……!! 貴様だけはぁぁ!!!!》

亮太は振り返るその前に、ルルからの指示が飛んでいた。

「マスター!! 頭を下げてください!!!」

亮太はマリナを抱き寄せ、慌てて頭を言われた通りに下げた所で遠くから対物ライフルの発砲音が響き、次の瞬間亮太の背中から覆い被さっていた者が、小さな呻き声を残して下がっていったのを感じた亮太は慌てて距離を取ってから先程までいた自分の場所を見る。

「なっ……?!!」
《ぐぬぅおおおお!!? 何故だ? 何故魔力の身体となっている私が、あんな小さな大砲にぃぃ!!!!》

そこにはファンタジーに出てくるランプの魔神の様に足が無く、全身を魔石と同じエメラルドカラーに染めた怒り狂うラムセスの姿があり。彼の額には深々とライフルの弾丸が突き刺さっていて、何やらその突き刺さっている弾丸からは良く見れば、黒い魔力の煙がもやの様に上がっており。

次弾を込め終えたルルは、再び悶え苦しむラムセスの額へと黒い煙が出る弾丸を撃ち込んだ。

《グワァァァァ!!! 貴様、貴様、貴様、貴様!!!》
「いい加減、しつこい!」

そう言って、ルルは連射が出来ないライフルを床に置いて。腰のホルスターからハンドガンを抜き出して、まだ亮太に襲いかかろうとしているラムセスに12発の9mm弾を連射して当てて。
更にとどめを打つために、素早く空になった弾倉を床に落として、新たな弾倉を装填して再び撃ち込んでいく。


《ぐうぁ……あんな小さな武器に仕留められる等……話と……話と違うではないか……》
「おい! 話と違うってどういうーー」
《偉大なる我が祖国に、栄光あ……れ……》

そう言い残し、完全に魔力を失った彼は身体を維持する事が出来なくなり。文字通り、風となって消えてしまうのだが。弱り果てた彼の最後の言葉は亮太達に深い謎を落としていく物となる。


早く完成させたくて、深夜3時に投稿したにも関わらず。大勢の方が読んでくださった事に感謝します!
2話分の内容を一話に纏めたので色々と荒い部分が有ったとは思いますが。何度か見直して、気になる所があれば修正しておきます。

そして、やっと第一次ヴァルハァム王国との激しい戦いが終わり。次章からは、亮太の修行と大陸の発展をメインに話を作って行きたいと考えていますのでお楽しみに。

そして、長々と喋っていてすいませんが、これからお盆のシーズンと夏休みが来るため。私が働いている食品関係の仕事場が物凄く忙しくなる事が予想されます。なので、流石に毎日更新は難しくなりますので御了承ください!

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

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