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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

02.アサツユ国建国篇

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02-09 決戦!! 第二次アサツユ村攻防戦③

※朝から続く激戦×昼から⚪・ヒデヨシの指笛のくだり・鷹の様にの部分の文章の順番を正しました・大型の魔石のサイズを変更しました・亮太が叫ぶ台詞を2連続で使っていたので、修正しました。
広大に広がる大海原の上で、強大な力が木を砕く爆音と鉄が削れる様な金切り音が何度も何度も応酬するかの様に交互に響き渡る。

「セァッ!!!」「ヌウアァ!!!」

その余りにも暴力的な協奏曲は既に8分程前からマストが全てへし折れ、大勢の漕ぎ手達が海に飛び降りて避難した後の大型のガレー船の上で繰り返し奏でられており。

全身に浮かび上がった血管をどういう原理かは解らないがエメラルド色に発光させて、最早正気を失い怒るゴリラの如く暴れ狂う軍団長ラムセスと。

こちらはうって変わって静かな怒りを胸に秘めながら、鋭く見開いたその目で一撃一撃が致命傷となるであろう大振りの攻撃を時に刀で受け流して軌道を変え、時に足場と地形を利用してちょこまかと動き続けている若き侍、ヒデヨシが対峙していた。

「グウゥ……アァ!!!」
「ちっ、いい加減! 貴様とじゃれ会うのも! 嫌気がさしてきたわ!!」

そう言いながらもラムセスの攻撃を掻い潜るヒデヨシは心底ウンザリした様子で怒声をぶつける。現在3人が乗っている大型ガレー船と呼ばれている物は古代エジプトが建造した4000人乗りの馬鹿デカイガレー船とは違い。

どちらかと言えば古代ギリシアのシンプルなガレー船、Olympiasに似た普通の木造船の外側左右に漕ぎ手が座れる席を増設した様な造りをしていて。

彼等はその座席の間に設けられた、5人の人が横並びになって歩ける観光バス程の横幅と12mの縦幅の広さを持つ船上の真ん中で瀕死の重症を負った亮太が力無くマストにもたれ掛かっており。
船の後方へとヒデヨシがラムセスに追い詰められていく形で状況は進んでいた。


それはヒデヨシが亮太からラムセスの目を離させる為でもあり、ある秘策を講じる為でもあった。

「ふうふう……そろそろ頃合いかのう……」
息を整えながら、ヒデヨシは額から流れ落ちる汗も拭わずに口元に指を近づけ、途中から指笛の形に変えてから甲高い音を周囲に響かせる。

「ヴヴヴッ!!! ヴガアァア!!!」

その行動を挑発と取ったラムセスはまるで闘牛の如くヒデヨシに突進して行くのだが、冷静さを欠いていた彼は船の両端から漂って来る、藁を焼いている様な焦げ臭い匂いに気付く事が出来なかった。

「「鉄砲隊、放て!!!」」

途端に船の左右から響くヒデナガとシゲルの声にラムセスが気付いた時には、片方20丁の合わせて両側40丁の火縄銃による40発の鉄の弾丸が横殴りの雨となって彼を襲う。

「グウオォォォ……」
「やったか……?」

弾を避けるために素早く匍匐(ほふく)姿勢で、弾丸を浴びずに済んでいたヒデナガは恐る恐る顔を上げて僅か前方四メートルの地点で全身に黒ごまのように弾丸をめり込ませ、身体を縮めて固まっているラムセスを確認する。

「おいおい……何で鎧すら貫通して命を容易く奪う火縄銃を生身で受けたのに、血を流す処か筋肉で防いでいやがるんだよ?!」

ヒデヨシの絶望する気持ちは火縄銃を船の左右から、僅か6mと言う短距離から放ったヒデナガ達にも広がっており。彼等は次の弾を籠める事すら忘れて唖然と立ち尽くしていた。

「化け物だ……」

誰かが放ったその言葉はその光景を見ていた皆の総意であり、その言葉を認めるかの様に動きを止めていたラムセスは全身にめり込んでいる鉄の弾丸をレーズンを取るかのように一つ一つ摘まみ出して行き。

右手の手のひらに纏めてから、「良いことを思いついた」と言うような薄気味悪い笑みを浮かべる。その悪魔の様な表情を見たヒデヨシの背筋にゾゾゾと背筋を凍らせる寒気が走り、最悪の状況が思い浮かんだヒデヨシは慌てて仲間達に指示を出す。

「逃げるんじゃ皆の者!!! こいつは録でもない事を企んでおる!!!」

ヒデヨシの予感は正しく、慌ててオールを漕いで退避行動を取ろうとしていた左側にいるヒデナガ達に対してニタニタと笑みを浮かべるラムセスは弾丸の山から一つの弾丸を選び。

ラムセスはその弾を野球のノックの様に空中に弾丸を顔の前まで浮かせてから、上から落ちてきて胸元に来たところでその弾丸目掛けて空気を震わせる程の強烈なデコピンをしてみせた。

その弾丸の速さは目で追えないレベルの物であり、弾丸がヒデナガ達を狙って飛ばされた事を彼等が気付いたのは後方で水が跳ねた音が聴こえてきて来た事と、先程まで呆然とラムセスを見ていた30過ぎの男が額に赤黒い穴を空けられて顔を硬直させたまま海に落ちたからであった。


「うっ……うわあぁぁぁ!!?」

途端に響き渡るアサツユ村の兵士達の絶叫と悲鳴。彼等は見てしまったのだ、顔を上げた時に船上から楽しそうに笑いながら、今度は三つの弾丸を既に空中に放り投げて獲物を見つめる悪魔の姿を。

「止めろ!! 止めてくれぇ!!!」

悪魔には余りの出来事に許しを乞うヒデヨシの声が歓声に聴こえているのか、浮かべていた笑みをより深くして3発の弾丸を打ち出そうとした所で、アサツユ村に設けられた城壁の上で微かに光った光に注意が引かれたその瞬間。

弾丸を打ち出そうとしていた右手が何かに当たり、手首ごと180°後ろに折れ曲がり、続いて身体も共に右側にねじまがる。そこに追い討ちをかける様に、アサツユ村の城壁の上から3秒毎に光が瞬き。彼の身体はアートの建造物の様にまともな形状を残す部分が無いほどに歪みに歪んでいった。

「……良くやってくれた……ルル。残りは、ソルトとハルちゃんに任せてくれ……」
《ん。何かあればまた読んでください、マスター》

唖然としているヒデヨシ達の耳に、微かに聴こえたその声はマストの木片から身体を抜いて、朦朧とする意識の中で少しでも回復するために初日に手に入れていた【わーいお茶2L】をグビグビと飲みながら、仲間に指示を出している亮太の姿であった。


「亮太!! おまえさん瀕死の重症何だから無理をするな!」
「何を……言ってるんですか、ヒデヨシさん。今無理をしないで……何時無理をするんですか……」

そう言って、最早死人のように真っ白な顔で微笑む亮太にヒデヨシは色々な感情が込み上げていたそんな所で。

突然のルルによる対物ライフルによる狙撃により、身体のあちこちがねじまがって最早人としての原型を留めていないラムセスの身体に、今まで上空で待機していた燃え上がる様な赤と金色の光を放つオリハルコンの子竜が鷲が上空から獲物に急降下して捕らえる様にラムセスの両肩をがっしりとした両足で捕らえて、ジェットコースターが通過した時の様な轟音を響かせて持ち去って行った。


その光景をラムセスからの恐怖で腰を抜かしていたアサツユ村の人達を尻目に、ちゃかりと背に魔法少女のソルトを乗せていたハルちゃんは、アサツユ村を目指してゆらゆらとたこの様に蠢くラムセスをガッチリと掴んだまま突入して行った為に、アサツユ村の人達は大混乱に陥る。

「おい! 折角守り抜いた村に化け物を持っていってどうするんだよ!?」
「あんな化け物が住み着いたら俺達もう島には帰れなくなるぞ!!」

そんな絶叫を亮太は冷静に聴きつつ、皆を落ち着かせる。

「大丈夫……。あそこにある罠でとどめを刺しますので」

亮太のその言葉を聴いて、慌てて視線をアサツユ村の海岸へと彼等が視線を戻した所で、蠢くラムセスだった者を港の入口に設置していたプカプカと浮かぶ機雷の群れにハルちゃんが時速200キロと言う高速のスピードで、海面から10m程離れた場所から投下した為。

勢い良く投下されたラムセスは激しく機雷の中心に叩き込まれ。1つだけでも船を航行不能とさせる40近い機雷が大爆発を引き起こして海を激しく揺さぶり、爆発地点であるアサツユ村の港は大きな黒い煙が立ち込めている。


それをじっと見ていたアサツユ村の人達は爆発と同時に腰を抜かし、開いた口が塞がらなくなると言う状況を実体験させられる。


「どうだ……? 奴は確認できるか?」

牙猪達の様に魔石を埋め込まれ、化け物じみた力を彼が発揮していた事を見て感じていた亮太は。本来であれば肉片の一欠片も残っていないであろう、未だに黒い煙と海面で上がっている炎に包まれている現場を見ながら。

城壁の上にいるルルと空にいるソルト達に連絡を取る。

《今のところ、生体反応は確認できませんが。念のために、もう少し観察した方が良いかと思います》

《大丈夫、大丈夫!!! あんな火山の様な爆発の中で生きていられる筈が無いよー。取り合えず、火は危ないから消した方が良いんじゃ……。あれ?》

陽気にソルトが話していたその時であった。魔女であり風使いである彼女が異変に気付いたのは。

「どうしたソルト? 何か見つけたか?」
《うん、あのね亮太さん。 何でかは解らないけど、あいつを叩き込んだ海の下から物凄く強い風の魔力を感じるの!! もう、巨大なハリケーンクラスの奴!!! 》
「何だって……!? 解った、一先ず付近にいる戦闘員と城壁以外の召喚したものを回収して、皆に警報を出すよ」

そう言って、素早く半透明の画面を操作しアサツユ村に放置していた店やお城を回収して、簡単な命令指示表からアサツユ村に対して警戒体勢を敷くようにとの命令指示を亮太が出したその時であった。

突如、燃え上がる海面の下から港と同等の大きさを持つエメラルド色で表面には大量の星の飾りを連想させる様な平べったいトゲトゲに覆われた“魔力を吸収仕切った魔石”が海面の水を少しずつ落としながら浮かび上がり始めており。

その大きさは巨大な観覧車クラスであり直径は100m、全体の高さは112.5m程の大二重斜方二十・十二面体(だいにじゅうしゃほうにじゅうじゅうにめんたい)と呼ばれる形状をした、周辺に台風のように風を纏った禍々しい物体であり。機雷の爆発を見たとき以上の衝撃が今度は亮太達を襲う。

「何だよあれ……星が浮かんでやがるのか……」

思わず亮太からそんな言葉が漏れ、皆もただ唖然とさせられている中で。巨大な魔石に異変が起こり始める。ゆっくりとだが、少しずつ地球の様に横に回転する自転の速度が上がり始めている事に亮太達は気づかされる。

「まさか台風を作り出そうとしてるのか!?」

その亮太の反応をそうだと嘲笑うかの様に、まだ小さいが徐々に風の渦を魔石は纏い始めせおり。アサツユ村からはルルによる対物ライフルの射撃が行われたが、傷一つ処かどうやら弾丸が風の壁に防がれている様で。

亮太も魔石の力を弱らせられるかも知れないと、雨を降らせるが全て風で防がれてしまい。懸命に奮闘する仲間達の努力も空しく空振りに終わってしまう。

危機感を覚えた亮太はアサツユ村周辺にいるルルとマリナに連絡を取ってから船に転移の杖を使って呼び寄せる。

船の上に転移させられたマリナは直ぐに亮太の元へと駆け寄ってきて、慌てた様子で指示を乞う。

「亮太!! どうすれば良いの?! このままだとアサツユ村があの変な物体に潰されてしまうわ!!」
「ああ。解っているよマリナ。俺もどうにかしたいとは思っているんだけど……」

周辺には既に、台風が訪れる前に良く吹いている、耳に残る「ヒュー」と言う風切り音が聴こえ始めており。まるで慌てふためいている亮太達を冷笑するかの様なその音に心を乱されまいと亮太は深呼吸してから、ふとある事を思い出す。


「そう言えばまだ【UR(アルティメットレア)】クラスの召喚をしたことは無かったな……」

そう思いたった亮太は、召喚した物が回収された事により力が戻っていた事もあり。初となる、最高ランクに当たる【UR】クラスの召喚を行うために、召喚可能な者のリストの中から。

城壁を手に入れる為に購入した【騎士達の誓い】の開封されたパックの中から引くことが出来た、ボーナスカードにより上方修正が掛けられている聖女シャロン《Rank,UR》と聖光騎士アルバイン《Rank,UR》を召喚する事とするのだが。

「つっ!! マスター、前方の飛行物体から猛烈な魔力を探知!! 来ます!!!」
「何だって!!?」

ルルの悲鳴に近いその警告通り、アサツユ村の港に浮かぶ巨大な魔石の中に重なりあった星達が、風車のように回転を開始し始め。魔石のあらゆる場所から猛烈なハリケーン並みの豪風を発生させ始めたのである。

その風はヒデヨシ達が見ている前でアサツユ村を丸ごと吹き飛ばし。強固に築かれていた城壁すらも亀裂を生じさせて崩しに掛かる程であり。

それを見た亮太も慌てて一生懸命に敵から村を守ってくれていた仲間達を回収する中で、その豪風は海の上と言う余りにも危険な場所にいる綾瀬達も含めたガレー船を飲み込まんとしていた。

「見たか!! これこそが我々の力だ!!」
「我が神聖なる王国に栄光あれ!!」

そんな危機的な状況の中で、最早これまでだと感じたのであろうか。マストをへし折られ航行不能となっていた大型ガレー船の二番目の船と正員達が万歳三唱をするかの様に、国の栄光を称えながら猛烈な荒波に揉まれて今にも転覆しそうになっていた。

「バカ野郎!! 死んじまうぞ!!!」

何とかして彼等を救いたいと思う反面、昼から続いている激戦に次ぐ激戦で、最早亮太に転送の杖等を用いて彼等を助けるための余分な力を振るうことは難しい状況で。
亮太が躊躇(ちゅうちょ)しているその時であった、彼等の乗るガレー船を左右から挟み込む様に迫る三角波が襲い掛かろうと迫って来たのは。

その三角波の威力は1800年代にあっても日本の近海で猛威を振るっていて、その威力は頑丈な輸送用タンカーの船首ですら簡単にへし折る力を持っており。もし遭遇した場合の生存率は一桁台とされていたため。

経験豊富な船乗りでも打てる手はあまり無く、できることと言えばせいぜい三角波が生じそうな海域には近付かないこと、また入ってしまった場合はその海域から早く脱出することくらいしかない、と言われている程の恐ろしい物であった。

その事を知っているのか、船乗りである彼等は一心にラムセスが身体を張ってまで造り出した魔石へと万歳を繰り返している。

既に一波目の波は船に直撃しており、彼等の乗るガレー船の木製の船体がくの字に折れ曲がり、後数秒もしない内に彼等が波に飲み込まれ様としたその時であった。

突然亮太の脳内に力強い、少女の声が響いて来たのは。

《亮太様!! どうか、私の力をお使いください!! 必ず彼等を助け出して見せますから!!!》
(解った、誰かは解らないけど君に託させて欲しい!)
《ありがとうございます!!》

その亮太の思いが起動させる鍵となったのか、端末が勝手に動き出して召喚認証を終え、直ぐ様に亮太の目の前に白い光を放つ魔方陣とその回りを美しい虹が写し出される。

そしてそれとほぼ同時に白と青を基調としたフルプレートアーマーを身に纏い。178㎝と言う、大きなその身体を守る為にバイクのジェットヘルメットの様に鼻から上を覆う青いバイザーと、その中で光る機械の目である黄色のデュアルアイが備えられた防具を被っていて。

口元は銀色の鋼鉄らしき物で隠されており、耳元には交信用らしき固定式アンテナが内蔵された頭部を持ち。

左右の腰あたりには共に武器として召喚した聖剣カリバード《Rank,SR》を2本装備された【何処の機動戦士ですか?】と言われそうなデザインの甲冑に身を包んだ長身の聖光騎士アルバインが召喚される。

彼は最初からその危機的状況を理解していた為、胸元に付けられた外の酸素を綺麗にして取り込むダクトのような換気装置をクーラーを起動させた時のようにフィンを上に上げてから、沈みそうになっているガレー船がいる後方目掛けて機敏な動きで走って行き、荒れ狂う海へと躊躇無く飛び込んで行った。
最初は爽やかな軍人だったラムセスさんがいきなり世紀末の人みたいになったり、バイオハザードに巻き込まれてしまって化け物にされたりしていて。理由は有るのですが、もう少し伏線を貼るべきだったと反省している次第でございます。

そして、最終決戦に当たっては次回の話で蹴りをつけて。章の後の後日談を1話交えて、今回の章を閉めたいと考えています。

それが終わってやっと作品が暫くは戦争物から解放されると思いますので。「いい加減戦い物は良いよ……」と感じられている方もおられると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします!


最後まで読んでくださりありがとうございました!
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