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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

02.アサツユ国建国篇

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02-08 決戦!! 第二次アサツユ村攻防戦 ②

・少し衝撃的な戦闘シーンが入ります。・小文字が多すぎたので、減らしました。・ハシバさんの意識を繋ぎ止めました・洗車→戦士・亮太が木片に接触する部分を修正しました(7/29)

数日前までは野生の動物達が暮らしていた森の中を縫うようにして急所である胸と頭部だけに鉄の防具を付け、他は動きやすい布生地の衣服を身に付けたヴァルハァム王国陸軍、合計330人の兵士達が敵に見つからないように進軍を続けていた。

本来であれば時速20キロを越えるチャリットを用いて攻めいるつもりであった彼等の予定は、昼間から断続的に続いていた亮太の召喚能力を用いた大雨によって妨害されてしまい。

目的地であるアサツユ村まで少なくとも三時間近くは掛かると言う当初は予定していなかったハプニングに見舞われ、逆に自由に動ける海軍が主力となって作戦指揮を取り始め。

最終的には陸軍の半分近くの戦力を吸収して先行して行ってしまった為に「俺達が遅れて行っても、小さな村ぐらい簡単に攻略されているだろう」と言う意見と、元々今回の戦いにさほどのメリットがある訳ではなかったので軍全体の士気はかなり落ちていた。

「やれやれ……引退前の老人に冷や水を浴びせて来るとはつくづく無礼な奴等よな。お陰で治りかけていた腰痛が……あいたた、振り返して来たワイ……」

それは陸軍全体を指揮している高齢の軍師ハシバも同様であり、高齢の彼は体力的な問題で若い兵士の背中におぶさりながらも、弟子であるラムセスの軍団長としての初勝利を見るためだけに進軍を続けていた。


「うーむ、村はまだ見えんかのう? 偵察隊はどうしている?」
「ハシバ様……偵察隊は先程出払ったばかりでして、もう少し時間を頂ければ帰って来るかと」
「むう? そうじゃったか、いやすまんすまん。この年になると物忘れがきつくてのう、何か違うことを考えると直ぐに忘れてしまうんじゃよ」

そんなやり取りをしていると遠くの方で微かに爆発音が聴こえて来た。

「何じゃ……この音は? まさか大砲ではあるまいな?!」
「ラムセス軍団長の船に積まれている投石機を用いた火薬玉では?」
「いや、この方角はラムセスが狙っていた村の海岸がある方角とはずれておる! これは山からの砲撃音じゃ!!」

その言葉は先程まで本国に帰ってからどうするか等の談笑をしていた兵士達を呆然とさせる物であった。何故なら、この大陸に来る商人及び商船は全てヴァルハァム王国が検問しており。

大砲処か旅人の一人でさえもアサツユ村には辿り着けないように手が回されていた、それにも関わらず先程から大砲の轟音は小さいながらも響き続けており。
この事からハシバは今回の戦いに国家規模の勢力を持つ第3者がアサツユ村の者達に味方している事を見抜き、焦りの余りに持っていた木の杖を落としてしまう。

「なんと言う事じゃ……! 早くラムセスを連れ戻さんと厄介な事になるぞ!! 皆のもの、足を速めよ!! まだ魔石で制御出来ている牙猪を単発的に突撃させて時間を稼がせよ!!! 我々が戦おうとしているのは只の村では無く、我々よりも強力な軍と財力。そして、我らの目を易々と掻い潜る事が出来る者達である事をーー」

そう言い切ろうとした所で、ハシバはついに気付いてしまう。

「わしらが……軍がいなくなった植民地は誰が守っておる、トールよ」

名を呼ばれたハシバをおぶっているトールと言う名のまだ若い兵士は足を止めて振り返り答える。

「ハシバ様、植民地には海軍の増援を頼んだので予備の兵力は無く、居るとすれば第三王妃イスカ・ヒクソス様と彼女の親衛隊50人、船の整備士や数人の奴隷監督達だけで今はまともな兵士は居りません」


それを聞かされたハシバは一瞬目の前が真っ暗となるが何とか意識を繋ぎ止め、彼は苦虫を噛まされた様にひきつった顔で号令をかける。

「うぐぅ……。なんたる事だ! 皆のもの、もしやすると我等ははめられたのかも知れぬ。急ぎ兵士が手薄となった植民地に戻るぞ!!! 姫様が危ない!!!」


その言葉に兵士達が慌て戸惑う中でハシバは的確に指示を出していき、牙猪達の上に騎兵達を乗せて急行させると言う奇策に出るのだがそれは既に手遅れであった。


ーーーーー◇ーーーーー


一方そのころ亮太達はと言うと、先程から潮干狩りの様に海の波が届かないぐらいの砂浜のあちこちにフリスビー程の穴を掘っては2歩分の間を開けてまた横で穴を掘る作業を続けており、その為に砂浜は穴だらけになっていた。

「よし! ありがとうマリナ!! これだけあれば何とかなりそうだよ」
「そんな呑気な事言ってないで急いで亮太!! 奴等が来ちゃう!!」
「悪い悪い、つい夢中になっちまってさ。では、始めますか」

そう言うと亮太は目の前に何時ものタブレット程の画面を開き、お目当ての物を選択して召喚する。すると先程まで掘っていた穴の上にピッタリと車で音楽を聴くためのブレーヤーの様な大きさの鉄の壺の様な物が現れる。

「よしよしイメージ通りだ。そんでもって上に土をかけてと……」

地面に開いた穴が次々と亮太が産み出した土が被されていき、数分前に見た何時もの海岸へと姿を変える。

「これで上陸されても少しなら大丈夫だ……。後はこれだな」

そう言って亮太は追加でもう一つ先程購入していた物を召喚する。メニュー画面に写るそれは、黒く大きなバランスボールにウニのようなトゲトゲがついていて、下には長い鎖の先に重りが付いた物であり。

亮太は港の入口付近にその黒いボールをお風呂に浮かぶゆずの如く大量に召喚して設置した為に、アサツユ村の港の入口は重油が撒かれたように真っ黒に染まる。

「砂浜には、40キロ以上の者が通れば意識を失わせる程の電気を流すライトニングマインに。湾の入口には当たれば爆発する機雷……。これならば彼等は近付くことすら出来ないでしょうね」

そう言ったマリナは何処か安心したように微笑みながら隣にいる亮太に声をかける。

「ああ。ただそれは相手が俺達の予想内で行動してくれればだがな」

そんな話をしている所で亮太の元に城壁の上で待機しているルルから連絡が届く。

《マスター。2時の方角に敵の船が見えたのですが、これは……30ノット近い速度で左に曲がりながら港に向かって来ています。足を止めたいのですが良いですか?》
「30ノット(55.56km/h)って!? 確かガレー船は頑張っても5ノット程しか出せない筈なんだが。……解ったよルル、攻撃を許可する。船を停めてくれ!!」
《了解しました、マイマスター。期待に応えます》

そう言って連絡を切ったルルは匍匐(ほふく)した体勢のままロシアで開発されたOSV-96に似たセミオートの対物ライフルの射撃準備に取り掛かる。


ーーーーー◇ーーーーー


彼女は銃身下に取り付けられている短い二脚に支えられて地面に立つ、全長1,746mmと言う本来であれば少女には全く向いていない長さの対物ライフルに身体を合わせて一体となる。

(数は情報通り大が3隻、小が6。そのうち旗艦らしき大型船が突出して前を進んでいて、その後ろを他の船が縦一列になって進んでいる。これなら、簡単な仕事だ……)

十字の照準が刻まれた緑色のレンズスコープを覗き込みながらルルは脳内の伝達速度を上げて敵の全体の動きと、目標を仕留める段取りを脳内で高速で纏めた白い死神は対物ライフルの安全装置を外し、先頭を走る大型のガレー船のマストに照準を合わせる。

(落ち着け……獲物が油断している所を一撃で仕留める。ただ、それだけ)

少女は呼吸と心拍数を安定させて照準のブレを少しずつ小さくして行く。獲物は依然として照準の内でスローモーションで動いている。

(行くよぉ……)

まるでこっそりイタズラをしようとしている子供の様に少女は引き金に手をかけると同時に呼吸を停めて、無駄な身体の動きを極限まで削ぎ落としたその瞬間。ブロック平を打ち砕き、戦車の装甲ですら薄ければ貫通して見せる12.7x99mm弾を轟音と共に発射する。


放たれた弾丸はやがて少女の思惑通りに暴風を受けながらも懸命に耐えていた真ん中のマストに命中し、弾丸が命中したマストの真ん中の部分はへし折れる処か粉々に粉砕されたため、折れたマストの残骸が墜ちてきたために船上にいた何人かが巻き込まれて海に落ちる。

「ひぃぃ!! 折れたマストが飛んで来るぞぉぉぉ!!!」
()き肉に成りたくなければ伏せろ!!! 」

横向きになってクルクルと回転しながら吹き飛んだマスト部分が後列にいた大型ガレー船にも襲い掛かり、ドラム缶の様にマストに転がりながらぶつかった事によりその衝撃で船首が浮き上がり、既に耐久力に限界を迎えていた二隻目のマストもへし折れてしまう。

幸いな事に乗組員に怪我は無かったのだが、クルーザーや巡視船並みの30ノットと言う圧倒的な速力を喪失した二隻のガレー船は急激に速度を落としてしまう。

「ぐぅ……無理をさせ過ぎたのか……。負傷者の確認と折れたマストの排除を急がせよ!」
「ハッ! ラムセス様!! しかし、ラムセス様も怪我をーー」
「私の事は良い……。私の無茶に巻き込んでしまった負傷者の治療を優先せよ!」

何とか3隻目との玉突き事故は避けられた事で安堵して気が緩んだのか、彼等は辺りを警戒もせずにへし折れたマストをノコギリ等で切断する作業と負傷者の確認に手を焼いているようで、ルルによる狙撃が原因だとは気付いていない様子であった。

それを確認したルルは報告を亮太に送る。

「マスター、敵の大型船二隻を航行不能にしました。残りはどうしますか?」
《よくやってくれたルル!! 完璧な仕事だったよ!! 3隻目はまだこちらに進行して攻撃しようとしているかな?》
「いえ。3隻目の大型船は何故かは解りませんが、前にいる大型船とは距離を取っている見たいで。今の所動きはありません。あっ……」

ふと、ルルはある違和感に気付かされる。後ろに待機していた3隻目の大型船の左右に6隻の小型船が左右に半分の3隻づつに別れて縦に陣形を組み始めている事に。

「……マスター。どうやら、メインキャストが現れた見たいですよ」
《え? どういう事?》
「私が見ている映像をそちらに転送しますね」

そう言って亮太も知らない召喚者としての能力を用いて、ルルは自らが見ている視界の映像を亮太に送る。そして、その映像に写っていた“見知った人達”を見て驚かされる。


ーーーーー◇ーーーーー


亮太の視線が引き寄せられたのは3隻目のガレー船の船首であり、そこには同じ転生者で今はビシッとしたリクルートスーツ姿の綾瀬と彼女に寄り添うように立つ第三王妃イスカ・ヒクソスと武装した彼女の親衛隊である50人の女兵士達の姿であり。

事前に彼女達の行動を伝えられていなかった亮太達は驚かされるのだが。

「お母さん!?」
「おいおい!! 何で綾瀬さん達がここに!? ってあれっ?!」

その左右を守る様に陣形を取る小舟の上にいる先程までは白い亜麻布を被っていたが、綾瀬達の動きに合わせて亜麻布を脱ぎ去った人達を見て開いた口が塞がらなくなる。

「ヒデヨシさん?!! 何してるんですか?!」

その画面に写っていたのはアサツユ村から安全の為に植民地である綾瀬達のいる場所に転送した筈のアサツユ村の人達と、植民地で働かされていた拉致されたアサツユ村の人達からなる兵士達であり。

彼等はヴァルハァム王国の兵士が扱う装備ではなく足軽が扱うと同じ装備を身に付けていて、その目には強い野心を感じさせる威圧感が宿っている。


「おいおい……。寄りによって何でヒデヨシさん達を連れてきたんだよ! ヒデヨシさん達は彼等に強い憎しみを持っているから、このままだと殺し合いになるぞ!」

その亮太の恐れが現実となるかと思われたその時、大型船に乗るイスカ姫から突然号令が出され。
それに応じたアサツユ村の人達を乗せた小回りの効く20人乗りの4隻の小型のガレー船が左右から海に伸びた20本のオールを掻きながら、今は復旧に追われている二隻のガレー船団に近付いていく。

そんな小舟の接近を流石に大型船の上で、折れたマストの処理に当たっていた兵士達の何人かが違和感に気付き始める。

「何だ、小舟が近付いてくるぞ?」
「まて!! 奴等、ヴァルハァムの兵士ではないぞ!!!」
「ほっ、本当だ!! 奴等は俺達に濃き使われていた奴隷達じゃないか!?」

そんな野次馬と化した彼等が見ている中で、折れたマストに吹き飛ばされて海に投げ出されて海の上で漂流していた兵士達に小舟が近付いていくのである。

その光景から彼等が連想させられた事は奴隷であった彼等が漂流している兵士達に襲い掛かり、復讐に走り出すと言うシナリオが思い浮かんだ為に慌てて声を上げ出す。


「早く逃げろ!!! 奴等に殺されるぞ!!」
「おい! 襲撃を伝える鐘を鳴らしてこい!! 急げ!!」

だが、慌てふためく彼等の予想とは反して漂流者達に近付いたアサツユ村の人達は少し躊躇(ちゅうちょ)した後、戸惑う漂流者達を次々に引き上げ始め、疲弊しずぶ濡れになった兵士達を布で包んで拭き取り、木製の水筒に入れられた飲料水を手渡していく。

「どういう事なんだ……彼等は私達の敵ではないのか?」
「だが、奴隷を誇り高き我等兵士と同じにするだなんて大問題だぞ!」

その光景を見て兵士達が戸惑い、様々な意見が飛び交うなかで敵襲の報告を受けたラムセスが慌てて駆け付けてきた。

「報告は本当か!?」
「ハッ! どうやら増援でやって来た者達が信じられない事に全て奴隷であったみたいでして! 現在彼等が漂流者の救助を行っています!!」
「なんだと……そんな事が……」

国の誇りを担い、国民を圧倒的な力で守り、戦う戦士である事が誇りであり生き甲斐とするラムセスは目の前で彼等にとって奴隷と言う家畜同然の者達にその戦士達が助けられていると言う光景を見せらて、足元が崩れていく様な衝撃を受けていた。

「ああああ!! 辞めろ、今すぐにこの無様な余興を辞めさせろ!!! 弓兵を連れてこい!!! 気高き兵士達に迫る薄汚い鼠どもを排除しろ!!! 今すぐにだ!!!」

そんな全身から怒りを吹き出すかの様に怒りを叫ぶラムセスに最初からアサツユ村の人達による救助活動を見ていた兵士が彼の後ろからフォローを入れようとする。

「し、しかし彼等は我々の仲間を助けーー」
「神聖なる我々に触れることすらおぞましい者どもが、我等と同等でもあるかの様に振る舞っているのだぞ!!? そんな起こってはならん事が起きている事すら貴様には解らんのかぁぁぁ!!!」

その咆哮とも言えるラムセスの叫びと共に、彼が左手を置いて体の支えとしていた手すりは彼の力に耐えられずに粉々となり。唖然とさせられる兵士が目線を上げるとそこには顔を真っ赤にさせ、身体中に怒りの余りに血管を浮き上がらせて怒り狂う、誇りと言う毒に飲まれた鬼神がいた。

「ひっ……!! もっ、申し訳!! 申し訳ございません!!」
「黙れぇ!!! 家畜の肩入れをした貴様は最早我が誇り高きヴァルハァム王国の戦士ではーー」

ラムセスは怯えて腰を抜かした兵士へと近付きながら、腰に備えていた黒色のロングソードを鞘から引き抜き、

「無いのだ!!!」
「うわぁぁ!!!」
何の躊躇もなく恐怖で目を見開き失禁しながら泣き叫ぶ兵士へと降り下ろそうとした所で、二人の間に割り込む形で眩い光が現れたかと思ったその瞬間、目の前に現れた何かにラムセスは後ろに弾き飛ばされるが体制を崩さずに踏み留まる。

「ぐおっ!!? 何だ、何が起こった!!?」

思わず困惑の声を上げながらラムセスが視線を正面へと視線を戻すとそこには転送の杖によって二人の間に割り込み、半身を覆うほどの大地を照らす太陽が描かれ様々な装飾が施されたあらゆる攻撃を反射する大盾。

反射の盾ミラージュ《Rank,R+》を右手で前に突き出す様に構えた機動隊を思わせる装備と武器を身に付けた亮太が怯える兵士の前で立っていた。

「何だ……貴様はぁ!!! 我等が神聖なる陛下から頂いた船に乗り込むなーー」
しかし、その大きな怒声はそれよりも大きい青年の怒声に下記消される。

「黙れっ!!!! 自分の勝手な解釈で人を平気で見下し、身勝手に命すら奪うおまえが言うべき言葉は謝罪以外の言葉は認めねぇ!!!」

その叫びは日本語を喋っていたアサツユ村の人達とは違い、ヴァルハァム王国出身のラムセスとは言語が事なる為に通じ無かったのだが。亮太の怒りを感じたラムセスは亮太を見据えて悪魔の様に低く、憎しみが込められたような声を出す。

「……貴様が何を言っているかは解らんが我が誇りを愚弄し否定して見せた事は解った。ならば、家畜以下の貴様と語りあう事等……。最早ない!!!」

怒りを狂うラムセスは再び剣を両手で握り直して、盾を構える亮太へと突撃を開始する。

「その盾に何かしらの魔力が籠められている事は解った!!! ならばこれならばどうだ!!! フンッ!!」

そう言ってラムセスが繰り出したのは亮太が盾で守り切れていない足元を剣で叩き壊す事によって、まるで水溜まりを叩いた時のように亮太目掛けて大量の木の破片が下から襲い掛かり、亮太が怯むと考えていラムセスは床を叩き壊してから再び剣を構え直して斬りかかろうとするのだが。

「オラァァ!!!」
「ぐおっ何っ!!?」

顔を防護ヘルメットの強化プラスチックに守られていた亮太は怯む事なくシールドを前面に突きだしたまま狼狽えるラムセスに迫り、彼がその事に気付いた時にはシールドによるチャージを受けてしまった後であり体制を崩してしまうのだが、ラムセスも只では倒れない。

「オノレェ……!! 大いなる風よ!!!」

彼は腰に備えていた風の魔石がついている杖を横に振るい、突風を巻き起こして亮太を引き剥がしにかかる。

「うおっ?!!」

流石の反射の盾も自然の力には敵わず、亮太は2m程後方へと吹き飛ばされてしまう。

そして運が悪い事に、亮太が叩きつけられ様としているその場所はまるで木製の針の山と化していた、へし折れたマストの根本であり。吹き飛んでその木の針山に激突した亮太の防具が行き届いていなかった生身の部分に大量の木片が突き刺さる。

「ーーーーツ!!!」

過去に不審者に背中を滅多刺しにされた時の数倍の激痛が亮太の背中を突き刺し、亮太は思わず大口を開けて声にならない叫びを吐き出す。その姿を見て勝利を確信したラムセスはニタニタと笑いながらゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと悶え苦しんでいる亮太の元へと近付いていく。

「ふっ……ふふふ……。フハハハハハ!!!! やはり、薄汚いネズミがどれだけの力を持とうと、我が神聖なる神の加護の前では只の小石に過ぎぬ事が証明されたわけだ!!!」

そう言って両手に杖と剣を持ったままミュージカルの様に両手を横に広げながら歩いてくるラムセスを見ながら、亮太は歯を食い縛りながら転送の杖を召喚しようとするのだがーー

「あぐぁ?!!」
「……何をこそこそとしている、愚かな小石よ。貴様はもう死に行くべき者であろう……」

その動きを察知していたラムセスが風を纏わせて投げたロングソードで、動かそうとしていた左手を剣と共に地に突き刺されてしまう。そんな亮太を哀れむ様な視線で見詰めながら、ラムセスは悶え苦しみながらも未だに闘士を無くしていない亮太の前に立ち、見下ろす。


「なるほど。我が王国にどの様な者が障害となっているのかとずっと考えていたのだが、まさかこれ程に若い戦士であったとは予想外であった。認めよう、貴様は確かに理想に燃える勇敢な兵士であった。だがなーー」

ラムセスは亮太の手を貫いていた剣を引き抜き、亮太の絶叫を聞きつつ右手に持ち直した剣を突き刺すために、半身を横に向け、剣を握った右手を後ろに引いていく。

「所詮、小石は小石以上にはなり得ないと言う事だぁぁぁぁ!!!」

ラムセスが弓の様に引き絞っていた右手を、亮太の心臓目掛けて突き出そうとすると同時に彼の剣は二人の間に割り込んだ者の強い力に弾き飛ばされていた。

「なっ?!! 私の剣を!?」
「随分とワシの家族達を好き勝手やってくれたのう……小僧ッ!!!」
「ヒデ……ヨシ……さん?」

激痛と出血で意識が朦朧としている亮太の目の前に現れたのは足軽の防具を身に付け、腰に備えている3本の内の1本の刀を武器に、怒りに震えながらも果敢にラムセスに挑むヒデヨシの姿であった。





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