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転生したので、役職がフリーターから仲間と戦う召喚士になりました 作者:礼状

02.アサツユ国建国篇

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02-07 決戦!! 第二次アサツユ村攻防戦 ①

※文章の修正を行いました。・ラムセスが魔石を使用した所の描写を追加しました。・ルルの服装がコロコロ変わっていたので、ロングコートに統一しました(7/28)
・ルルの対物ライフルをボルトアクションから、セミオートにしました。(7/29)
・亮太の持つアサルトライフルを89式小銃のコピー品としました。(7/30)
・予算の都合上、マリナの装備が用意出来なかったため修正しました(8/6)
行軍を早める為に、海軍戦力を全て導入して海からアサツユ村に上陸して襲撃しようとしていたヴァルハァム王国軍・軍団長ラムセスは大型ガレー船に共に乗っている部下達と共に絶句していた。

「何だ……これは……。我が誇り高きヴァルハァム王国の建築士であっても造り出せない程のこんな、こんな巨大要塞を何時の間に完成させたと言うのだ!!!」

数日前までは、山の上に建てただけの木製の見張り台が数ヶ所あるだけで。せいぜいヴァルハァム王国の武装した兵士、10人以下の戦力がいれば一方的に滅ぼすことが出来るであろうと考えられていた攻略対象が。

突如として周囲50キロを囲み、高さ15mと言う5階建ての建物に匹敵する前代未聞の高さを誇る二重の城壁が建設された要塞と化しており。


尚且つその城壁の中には亮太が「城壁なんだから、城がないとおかしいだろ」と言う個人的な理由でおまけ程度に建てた、某夢の国に出て来る城のモデルとなったと言われているドイツ南部のパイエルン州にある山の中に19世紀に建築された山並みに大きく、純白の美しい城。

ノイシュヴァンシュタイン城に似た城が建てられていたために、ある者はその美しさに思わず見惚れて声を漏らし、ある者は海路を間違えて違う大国の海域に入ってしまったのでは無いかと騒ぎ立てるのだが。

水先案内人である航海士は間違いなく、目の前にある地がアサツユ村がある地域である事を地図に描かれている山や、牙猪が整地して作ったであろう道を指を指して証明したために、その混乱はますます大きくなってしまう程の効果を城壁と城は発揮していた。


「ラムセス様!! あれほどの要塞を我々は見たことも聴いたこともありません!!! ここは退却して、本国からの指示を扇ぎましょう!!!」

「馬鹿なことを申すな!!! たがだか田舎の村すら屈する事が出来ない無能な軍しか持たないと侮られる汚点を作り、我が神聖なヴァルハァム王国を汚すことなど……!! 例え我が身を滅ぼすとしても、出来る訳がない!!!」

ラムセスの部下達が大混乱に陥りそうになる前に、数日後には王がこの大陸に訪れる事となっている事もあり。若き軍団長であり、使い込まれた防具に身を包むラムセスは仲間達を激励していく。

「我々ヴァルハァム王国の兵士は只武器の性能や個人の技量で勝利を掴んで来たのではない!!!
彼等が慕う、【太陽の神・サラム】の化身であられる偉大なる王の聖なる加護の下、蛮族達が支配していた広大なアルステン大陸を平定したのではないか!!!」

「そうだ!!」
「そのとおりです軍団長!!」


兵士達に気力が舞い戻り始めた事もあり、ラムセスは仕上げとばかりに目の前にそびえ立つあの城を奪取する事すら視野にいれ、話を続ける。


「今我々が面している絶望は我々が神にではなく、自らの力に過信し始めていた我々に対する試練であり!!! その栄光を正しく輝かせるかどうかを試されているのだ!!! 怯えてはならない!!! 我々が義に立っている限り、敗北は決して無いのだ!!!」

「「「オオオオオオオオオォォォ!!!!」」」

「我々に泥を塗り、我々に反逆する邪悪な奴等の屍をこの地に晒すのだ!!! 恐れずに、進めぇぇぇぇ!!!」


知恵の有るものならば決して踏みはしない獅子の尾を一度は躊躇出来る程度の冷静さを持っていた筈なのに、彼等は退却を捨てた。

「これより、魔石の使用を解禁する!! 報告兵!! 各船に鐘をならして伝えよ!!」
「はっ!! 仰せのままに!!」

彼等は先ず、城壁を建てることが唯一出来ていない無いアサツユ村の港の方へと回り込み、一気に大陸との距離を詰めるために彼等は風の魔力が籠められている魔石を用いる事とする。

「ふん。全船に命令は届いたか?」
「はっ! 最後尾の船からも鐘の音が7度響いて来たとの事なので、ラムセス軍団長の風の行軍に合わせる準備は整っております!」
「わかった。働き御苦労である。皆のもの、これより風の行軍を発動する!!! 手柄を取る前に海に落ちないよう、しっかりと身体をベルトで固定しておけ!!!」

ラムセスはそう叫びながら、既に西からの強い風を受けて大きく膨らんでいる帆の後ろ側に立ち。懐からソフトボール程の大きさのエメラルド色の魔石が取り付けられた杖を取りだし、命ずる。

「さあ! 貴様が待ちに待っていた狂乱の時だ!!! 派手に吹き荒れるが良い!!!」

その言葉に呼応するかの様に魔石がエメラルド色の光を放ち始め、ラムセスはその杖の先端を帆に向けて構え、次の瞬間猛烈な嵐の様な暴風が帆を破れるのではないかと言うほどに押し始め、電信柱程の大きさのマストがギシギシと大きな悲鳴をあげる。

だがそれすらも楽しいのか、ラムセスは豪快に笑いながら魔石から暴風を出し続ける。

「クハハハハハ!!! この力こそが我が王国が祝福された神聖なものであると言う証しであり、我が新たな覇者として選ばれた証たのだ!!」

さながらホバークラフトの様な動力を得たラムセス以外の大型船2隻と小型船6隻からなるガレー船の船団9隻がアサツユ村までの20キロと言う距離をあっという間に0距離とすべく、各ガレー船はそのまま加速を続けていく。


「こざかしい真似を……たった二日ほどの期間に、あれほどの城が出来る筈が無い。あれは所詮幻術等のまやかしに過ぎず、捕食されないように木の葉を真似てあがく昆虫と変わらない下らぬ事をしおって!!」

その軽率な判断は皮肉にも、彼等が慕う軍師であるハシバのお加減で一度の敗北も知らずに来たためでもあり。その慢心振りは驚くべき事に、最早彼等の中で勝利を疑う者がいなくなる程であった。


ーーーーー◇ーーーーー

「げえっ! 何であいつらこれだけの城壁を見て、(ひる)む処か加速して迫って来るんだよ!! もしかして、この世界には城と言う概念が無いのか?」

その様子を今は誰もいないアサツユ村へと先にパジェロで乗り込んでいた亮太達は。アサツユ村からして9時方向に位置し、逐一彼等を確認する事が出来る城壁の上から彼等を観察していたのだが。

西洋の騎士が見れば、裸足で逃げ出す様な見事な城壁を見ても彼等が攻撃を続行した事に戸惑いつつも、移動中に3人で話し合っていた彼等への対策を開始する。


先ず、彼等の動きからして唯一城壁に覆われていない海岸から乗り込んでくる事は明白である為、色々と戦う事に慣れている様子の全身をネズミ色のロングコートで隠している白髪の少女が亮太に提案する。

「マスター。彼等が海岸に船を漂着させて上陸させて来るのは明白。なので砂浜に、彼等の動きを停める罠を仕掛けたい。お願い出来ますか?」
「あっ、ああ……。確か、武器屋と防具屋をアンロックした時に【防衛装備店】と言う物が購入可能となっていた筈だから、それを利用させて貰おう」
「ありがとうございます、マスター」


まだ殺人者と被害者と言うとんでもなく複雑な関係にある二人がぎこちなく話し合う中、現代の武器屋とも言える民間用で比較的入手がしやすい民間用の装備を売っている【防衛装備店】《80,0000SP》を亮太は狭い城壁の上から降りてから、民家の中に紛れさせる様に出現させる。


店の外見はと言うと、以前召喚した個人経営の小さなパン屋さんサイズの防具店とは売って代わり。地下1階に射撃練習場を完備した二階建てで、無骨にコンクリートで造られた四角い灰色のコンビニの様な外観のお店であり。

店の窓には外からは中が見えない様に真っ黒の遮光フィルムが窓に張られており、何の店かを伝える店の看板には防弾チョッキの上に被せるように猟銃のライフルが描かれた銀色の看板が飾られている。

そんな日本に住んでいる限りは滅多にお目にかかれないお店の出現に、庶民代表の亮太は思わず緊張のあまりごくりと喉を鳴らし、店の前の出入口で立ち止まる。

「ん。どうされました、マスター?」
「いや、この入口を潜ると、何か戻れなくなるような気がしてさ……。ついな」

そんな亮太をフード越しに赤い目で見詰める少女も何か思い当たる事があるのか、少し俯いて何かを考える仕草を見せてから再び亮太へと視線を戻して語りかける。

「マスター、貴方の手は汚させはしません。あらゆる罪は愚かな私に預けてくだされば良いのです……。その為に私は、貴方の側に再び現れたのですから……」

その余りに自虐的な言葉を少女は虚ろな目をしたまま亮太の目を見詰め、微笑みながら語りかける。
そこからは少女の覚悟が垣間見え、亮太は何故か胸がぎゅっと締め付けられ。気ずけば彼女に思った事を聴いていた。

「……何故、そこまでして」
「マスターの命を奪った愚かな私が、私の命を(あがな)いとしてその代価を支払うためです……」
「君は、本当にそれで良いのか?」
「え?」

その意外な言葉を聴かされ、自分の事を死ぬほど恨んでいると思っていた亮太が、自分に対して兄のように気遣う視線と言葉を向けてくれている事に気付いた少女は虚ろだった目に一瞬光を取り戻す程に驚き。気づけば亮太から視線を外せずに御互い見詰めあっていたのだが……。

「ちょっとー! 何時まで家の店の前でごちゃごちゃと談笑しているのさ!? とっとと店に入りなよ!! 敵が来てるんだろ!?」

亮太達が入れずにいた店の自動ドアが突然開き、グリーンの作業ズボンにブラウンのレザージャケットを羽織った金髪のショートヘアーの若い女性の店員が出て割り込んできて。そのまま亮太の手をひいて店内に連れ込む。

「どわぁ?!! いててて、ケツがすれてる!! すれてるって!!?」
「うっせぇ!! 男だったら黙ってついてきな!!」
「それは男が言うセリフでしょうが!! 割れる割れる!!!」

そんなやり取りをしつつ、彼女と亮太は店内に入っていき、その後を慌ててマリナと白髪の少女も後に続く。

「ほら! 貴方も呆けていないで、ついてきて! 置いていかれちゃうわよ?」
「……何故、マスターは“ルル”の事を突き放したりしないのでしょうか? 命を奪った相手だと言うのに」

亮太の対応によっぽど衝撃を受けたのか、まるで周りの状況が見えなくなっている白髪の少女に、店に入ろうとしていたマリナは足を止めて少女へと振り返り。微笑みながらこう告げる。

「決まっているでしょ、亮太が筋金入りのお人好しだからよ。あんたも、下手に私達に気を使うんじゃなくて、腹をわって話し合えば良いのよ。そうすれば、もっと良い考え方が浮かぶはずよ?」

そう言って話し合っている内に、先に店に入っていた亮太達の揉める声が店内から聴こえて来る。

「よーし、じゃんじゃん持っていきな!! 武器って奴は置いていても熟成する処か、錆びれちまう物だからな!!」
「おいおい!! 詰め込みすぎだろ?! 軍事用の武器って安くてもうん十万する高級品何だろ?!」
「今回は初来店サービスって事で、安くしておいてやるからさ! とっととアイテムストレージに納めていきな!!」

そんなやり取りが暫く聴こえていたのだが、辺りに突然静寂が訪れる。

思わず、何かあったのかと心配する二人の視線の先には、先程まではTシャツにジーパンと言うラフな格好だったのだが、お店から出てきた亮太の姿は以前亮太が防具屋で購入していたレザーアーマーと青い戦闘服に各部関節に鉄のサポーターをつけ、防護用のヘルメットを被った機動隊の様な装備に身を固め。

更に、背中には日本人に合わせて造られたアサルトライフル89式小銃のコピー品と、右腰にリボルバー式の拳銃が収まったホルスターに、上半身にはライフルの弾倉が4個入れる事が出来るベストを装着したガチガチに緊張している様子の亮太が現れる。

「こんな風になりました……」

そんな苦笑いを浮かべる亮太の元にすかさず二人は駆け寄り、亮太にお母さんの様に声をかけだす。

「これって実銃なの亮太? 大丈夫?」
「店員さんが言うには強化ゴム弾だから死にはしないってさ……」

「マスター。私の装備は如何(いかが)いたしましょうか?」
「大丈夫。君の分もちゃんと用意して貰っているから、素人の俺には自分が渡されて説明を受けていないものは、どう扱えば良いか解らないから受け取って確認してみて欲しいんだけど……。ちょっと待ってね」

そう言って亮太は操作画面を呼び出して、先程購入した彼女が事前にお店側にリクエストしていたと言う装備を召喚者権限で白髪の少女にRPGのアバターの様に着せていく。

その内容はと言うと、相手を遠距離から攻撃が出来るようにする為に各種オプション(3倍から6倍のスコープ、銃を床に固定し衝撃を吸収するバイポット等)を装着したセミオートの対物ライフルと弾丸の籠められた弾倉数個とそれを納めるポケットが6つあるチョッキ。

そして近接戦闘用のサバイバルナイフと高威力の9mmの弾丸を使用するハンドガンとそれぞれを納めるナイフケースとホルスターをセットにして彼女の腰に付ける。

その装備は一見すると、彼女が着ている全身を覆うロングコートのせいで見えないが。彼女からは武器を手に入れた安心感と、彼女の意欲が目で見えなくても感じられる程に急上昇していく。

「ありがとうございます、マスター。これなら、彼等の進撃をコロセそうです……ふふっ」
「見ての通りライフル弾は実弾だ、厳しい戦いになるとは思うが出来るだけ無闇な殺傷を控えて欲しい。それと、もし君におかしな行動が見られた時は、召喚者として容赦なく君を回収するからね?」

あくまで最悪の状況を想定した上での事を彼女に伝える亮太に、まるで少女がぬいぐるみを買って貰ったかの様に頬を赤らめて少女が用いるには巨大な対物ライフルを嬉しそうに抱きしめながら、彼女は同意する。

「かしこまりました、マスター。貴方の意思を最大限に考慮した中で、行動させて頂きます!」
「うん。じゃあ御互いに生き残る為に頑張ろうな“ルル”ちゃん」
「えっ……何故私の名を……」

突然伝えてもいないのに名前を呼ばれたルルは嬉しさと戸惑いが混ざりあった顔で、しまったと言う顔をしている亮太を見詰める。

「あっいや、君のステータス画面に名前が書いていてさ。つい名前で読んだんだよ。迷惑だったかな?」
「いえ……そんな事は……」
「そうか! じゃあこれからは名前で呼ばせて貰うよ! 挨拶は御互いを解り逢うための最初の一歩だからね」

そんな話をしている内に、亮太の元に西側の城壁を守る仲間達から緊急連絡が届く。

「そうですか、解りました。では、2発ほど大砲で威嚇しても接近を続けるようでしたら自由に迎撃してください。皆さんが生き残る事を第1として」

その連絡が終わって直ぐに、遠く離れた西側の方から大砲のズンと言う音が複数響いて来た為。マリナ達も遂に戦闘が始まった事を知る。

「予定より速い。きっと無理して突入した海軍の進行に慌てて合わせたんだわ」
「ああ。海軍も後10分もしない内にこの海岸に現れると思う」
「何か策はあるのですか、マスター?」
「ああ勿論さ、シュルツさん!! 準備は出来ましたか?」

そう言って、背後にある防衛装備店内で“ある”物を準備していた男勝りな女性の定員さん事、シュルツが額の汗を拭いながら店の入口から顔を出す。

「ああ! 頼まれた分は揃えたよ!! 今からあんたのアイテムストレージに送るから、確認してくれよな!!」

その言葉通りに、亮太のアイテムストレージに注文していたある“罠”が届けられる。

それは、戦争でかなりの数が生産され。敵軍の進行を大幅に遅らせ、時には戦力差があったとしても硬直状態に持ち込む事が出来る物であった。
+注意+
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