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更新しました。行進します。宇宙と交信してます。孝心しているつもりです。

日本語って難しいですね。

今回は雪蓮達がメインですが、一刀の話は次回への前振りです。
静寂 ~嵐の前の静けさ~
 その夜は特に何も大きな騒動も無く、雪蓮達は久しぶりに静かな朝を向える。
彼女に付いて来た者たちも寝ずの番の者達を除き、静かに寝静まって翌朝を向かえていた。
 昨夜の内に後方からやってくる蓮華や程普達には使者を出しており、今日の夕刻には現在、
雪蓮に属する全ての者が揃う事になっている。

 昼近くになって雪蓮は自分の天幕の寝台から起きて来て、
天幕の机にだらしなく伏せる。その様子を一部始終を見ていた冥琳は、

「お前は私の存在に気づいていながら挨拶の一言も無いのか?」

「う…ん、おはよう冥琳。もう少し寝させて……」

そう言って冥琳の顔を見て一応、机から顔を上げて挨拶をすると、
また伏せて眠りに入ろうと目を閉じた。
しかし冥琳は溜息を吐いてから雪蓮の後ろに回り込み持っていた竹簡を握り占めて、

「それに言い忘れたが…もう『おはよう』ではなくて『こんにちは』だ!!!」

雪蓮を文字通り叩き起こした。

「ううっ、痛~い……」

冥琳に叩かれた所を擦りながら食事を終えた雪蓮はその後、色々と冥琳に押し付けられて
その日一日は自身の天幕より出る事を許されず夜を迎える。
 
                       ◆◆◆ 

 合流予定時間より少し遅れてその日の夕方過ぎに蓮華こと孫権が、更に遅れる事、
3時間程して程普が戻って来て、挨拶を含めた会合を行う事となり大天幕に集まる事となった。
そこで一言目を発したのは雪蓮で、

「皆、無事で何より。祖茂の事は残念だったけど…彼女のお蔭で私は生きていける事を忘れない。
余り暗いのも何なんで、せっかく久しぶりに集まったのだから宴会でもしたいけど……
一人睨んでいるのがいるから今度にするわ」

と横から冥琳の視線を感じて話を戻して席に座る。
すると次に冥琳が立ち上がって話を始めた。

「皆様ご無事で何よりでした。徳謀(程普)殿、蓮華様も良く無事に戻って来て下さいました。
特に徳謀殿は孫家の皆の家族、親類縁者を保護して下さり感謝の言葉もありません」

そう言って頭を下げて素直に感謝する。それに対し程普は、

「礼を言うに及びませんよ、公謹(周瑜の字)。それに礼を言わなければいけないのは私ではなく、
皆を逃がし、その指揮を執った朱然、そして彼女の指揮に従った長沙の兵達に言うべきでしょう」

そう冥琳に言う。冥琳は「そうですね」とだけ言って穏や思春の方を向き、

「穏、それに思春も蓮華様の付添い、護衛御苦労だった」

そう冥琳に言われた二人は「いえいえ~」「はっ」とだけ応えて席に座る。

 皆に挨拶とお礼を言った後、冥琳は皆を見回し雪蓮に視線を向けると、

「さて、皆に集まって貰ったのは他でも無い。これからの方針の事だが……」

「待って冥琳。それは私が言わないと駄目でしょう?」

雪蓮は冥琳と視線を合わせ、暫くの間お互いを見つめあう。
 
 その間、程普、韓当の二人は何日前の雪蓮とは雰囲気が違う事を不思議に思いつつも、
今の雪蓮の精神状態が決して悪く無い事を察し、見詰め合っている二人を見守る事とした。

 それとは反対にまだ人の様子を観察する事が得意ではない蓮華(孫権)は、
二人が仲違いしたものと思い、止めようと席を立とうとするが、横に座っていた穏に
いきなり腕を掴まれ彼女を睨みつけるが、穏は二人の邪魔にならぬ様に小声で話す。

「大丈夫ですよ~蓮華様。お二人をよ~く見て下さい。何日か前の雪蓮様とは
別人の様に雰囲気が違いますから」

穏の言葉にもう一度姉の姿を見ると、確かに冥琳と見つめ合ってはいたが、
二人の間には仲違いの気配はなく、何か視線で会話して居る様にさえ感じられた。

「穏、姉様に何があったのか知っているの?」

姉の変化に気付いた蓮華は穏に尋ねるが、

「いいえ~。冥琳様に訊ねましたけど教えてくれないのですよー」

と言いつつも穏は何となくではあるが予想は出来ていた。雪蓮を元の雪蓮に戻した、
自分が直接話して確認した人物の事を……
                       ◆◆◆

 程普と蓮華が相違う事を考え見守ってから少しの間を置いて「解った」とだけ呟いて、
冥琳は席に座る。そして今度は雪蓮が立ち上がって、

「冥琳と祭とも話し合ったのだけど…私達の状況は今現在、最悪に近いわ」

第一声にそう話すと天幕内は諸将達のざわめきで騒然となったが、
雪蓮はそのざわめきを気にせずに話し続ける事とした。

「皆も知っている様に母様が亡くなり、多くの者達は私を、孫家を見限って去って行った。
また昨日には韓玄が私達の本拠であった長沙を奪い、太守を自称したのは知っての通りよ」

雪蓮の言葉に歯ぎしりする者、机の上に出している拳を握りしめる者など、
雪蓮が見渡せる限りの者が何かしらの行動で韓玄への怒りを鎮めようとしているのが見える。
それを見ながら雪蓮は本題に移る事とした。

「私達の進むべき道は最終的に考えて「2つ」しか無いわ。
母様と親交があるけど斜陽の感が否めない袁術を頼るか、
旭日昇天きょくじつしょうてんの勢いの北郷に保護を求めるか」

そう告げると雪蓮は皆の反応を確かめず、

「私は一刀に、北郷に保護を求める事にしたわ。この考えに至った理由は3つ。
一つ目は北郷に近寄ればその威を恐れて私達に手を出してくる者は皆無に近いと云う事。
二つ目は北郷一刀自身がやって来て私に来いと誘ってくれた事。そして、
三つ目は北郷の条件が私達にとって有利になっている事の三つよ」

雪蓮は話し終えると周りを見渡すと、

蓮華の隣に座っている穏が冥琳に視線を向けている事に気づき、それに冥琳も気づき、
一回だけ頷いて視線を逸らした。それを見ながら雪蓮は、

「私の考えに異論の有る物は居るかしら?異論が有るなら言って」

言い終えると自分の隣に座っている妹の蓮華(孫権)から手が上がっているのが見えた為、
蓮華を指し、自身はそのままの体制で蓮華の発言を聴く事にした。

「私は反対です。北郷がどのような言葉で姉様に近づいたのかは知りませんが、
私達には他に取るべき道が有るのでは無いですか?」

「では、言ってみなさい蓮華」

落ち着いた声で雪蓮は言うと、蓮華の答えを待つ事にした。

「今ここにいる兵で長沙を落とすというのは?」

「それは現実的に無理ですー、蓮華様」

それを即答で横に居た穏は否定し、蓮華に向かって

「今の私達の状態は先程雪蓮様が仰っていた通り、最悪に近いです。
兵の士気は一向に上がらず落ち続けていますし、脱走者も未だに後を絶ちません」

そう告げると更に、

「今の私達は総勢で4万を超えますが、その半分以上が長沙から逃げてきた者達で
女子供が半数以上を占め、私達で戦える者もそれほど多くありません。
更に食料や資金の蓄えも残り僅か。この状況で城攻めなんて以ての外としか言えません」

穏にそう否定され蓮華は、

「では姉様が言った袁術に庇護を求めるのは如何なのだ?
袁術に庇護を求め、その内部に取り入って袁術の勢力を私達の物にすると云うのは?」

しかしこれは冥琳が否定する。

「それも今の袁術の勢力では無理としか言いようがありません、蓮華様。
まず、袁術の勢力が大きく北郷と互角、もしくは勝っているなら話しは別ですが、
最近の無節操な侵略戦争によって大きく勢力が落ちています」

そう話すと冥琳は眼鏡の位置がずれたのか、眼鏡を指で持ち上げつつ続きを話す。

「その侵略戦争も勝っていれば何の問題も無いのですが全て惨敗に近く、袁術軍の戦場指揮官で
まともだった紀霊すら劉備に討たれてしまい、江南の戦いでは劉繇に押されています。
そんな中で我らが袁術に庇護を求めれば如何なるかは火を見るより明らかでしょう」

冥琳の説明に穏が続く。

「そうですねー。私達は弱っているとはいえ、将も兵も精強で知られていますし、
それを解っている張勲さんは『此れ幸い』とばかりに私達に休息を与えた後、
戦場に行く様に仕向けるでしょうねー。しかも勝ち続ければまた何処の戦場に行く様にされて…」

更にそれを冥琳が補足する。

「もし袁術の勢力が北郷と同程度で紀霊がいれば、張勲は我らを自分の目の届く所に置き、
蓮華様か小蓮様を人質にして雪蓮を前線に赴かせる事でしょう。何故なら上手くいけば、
雪蓮を亡き者に出来るかもしれませんし、出来なくとも袁術の敵を討つ駒として
また次の敵に回す。それを繰り返し行えば自分達の被害は抑えられ損は無いのです」

しかし冥琳は少し笑みを浮かべ、

「しかしその場合なら我らにも機は巡ってきます。戦場で戦いつつ名を上げて
張勲の目を欺きつつ、袁術勢力の内部を侵食する事も出来ましょう」

そう冥琳の考える予想を話すと、

「しかし、今の袁術達の状況では悠長に構えている時間を周りが与えてくれません。
北は曹操に攻め込んだのは良いが打ち負かされて寿春・汝南を脅かされ、西を劉表、張繍が、
東は劉繇に圧迫され、南は会稽の山越、潘臨はんりんに領内を荒らされている状態です」

袁術の状況を説明し、そして冥琳は最後に、

「今の状況がもう少しマシな状況で、且つ袁術の所に張勲が居なければ
袁術の下へ行くことも考えたのですが……」

そう言って話を締めた。

 冥琳、穏の軍師二人が蓮華の案を否定したので、それ以外の事を思い付かない蓮華は
黙って席に座ってしまう。しかし雰囲気は明らかに北郷の所に行く事を拒絶している様であり、
気になった雪蓮は、

「蓮華。貴女はなぜそこまで一刀を拒否するの?」

と尋ねると蓮華はいきなり取り乱して、

「そんな事はありません!!わっ、私は北郷みたいな者に我らを孫家の者を託して良いのか、
それが心配なのです。それ以外の感情はありません!!」

「みたいな者?」

雪蓮は蓮華のその発言が気になり訊ねる事とした。

「貴女、一刀と何かあったの?」

「ええとですねー雪蓮様。実は―――」

すると穏が雪蓮にこちらに向かう途中で一刀に会った事、そこで話した内容を話し出す。
穏が詳しく説明し終えると雪蓮は少し黙ってから、

「…ッ!?くっくっくっ……はは、あはははははは!!!」

突然笑い出した彼女を皆が何事かと注視すると雪蓮は、

「くっくくく。蓮華、貴女、一刀にそんなこと言われたの!!
あっはははは、もう可笑しい!!確かに一刀も言えた口じゃないわよ。あっははははは」

雪蓮がお腹を抱えて笑っているのを見て冥琳や程普、祭の他、その場にいる者達が、

「(雪蓮(様)(策殿)がこれ程笑っている姿は久しぶりだな(ですね)(じゃな))」

そう思いつつ雪蓮の方を暖かな視線を送っていた。しかし笑われている蓮華は、
いきなり姉が笑い出したのが自分の話だと云う事もあり、

「何が、何がそんなに可笑しいのです!!姉様!!!」

そう憤慨しだすが雪蓮はあまり相手にせず、目に涙をうっすらと浮かべたまま、

「あ~可笑しかった。あのね蓮華。貴女は一刀の事を良く知らない筈だから言っとくわ。
私は貴女より一刀に何度も会っているから解るのだけどもね」

雪蓮は蓮華を見ながらそう話す。目にはまだ先程の笑泣いた涙の後が薄らとみえる。

「貴女はまだ一刀の怖さを知らないのよ。確かに貴女には母様も私も期待しているわ。
でも貴女はまだ巣立っても無い虎児に過ぎない。まだ巣の中と周辺を知っているだけ。
反対に一刀はこの大陸に早くも自分の巣を持ち、他の巣を力ずくで覗くだけの力を持った龍ね」

その言葉の意味を悟った蓮華は、

「たとえ北郷一刀が龍だとしても、流石に私達や袁術、劉表の三つの勢力を一斉に
相手には出来ないでしょうし、私達の巣の中を詳細にまで知っている事は無いのでは?」

蓮華の問いに冥琳が答える。

「蓮華様。残念ながら……もう我らの情報は筒抜けと言って良いほど知られています。
更に言えば袁術に関してはもう詳細にまで……北郷の情報網に私は恐怖すら覚えます」

冥琳の話を聴き蓮華は

「冥琳、貴女何か知っているの?」

「ええ私は北郷の軍師、黄権からその証拠を見せられましたからね。
私達と袁術の内情と詳細な情報をね…」

と蓮華の問いに冥琳は答えると一斉にその場が静かになるのが分かった。すると、

「北郷が怖いのはその情報をつかさどる軍師達が全て同じ方向を向いている事。
これは武将達も同じ。そして北郷の頭脳達は一刀の意思とは別の方向に思考を向ける事が出来る。
それはひとえに一刀の事を思っての他ならないと云う事。これに関して武将も同じ事」

と雪蓮は冥琳と話し合った北郷に関する事を、蓮華だけで無く皆に話す。

「その情報力の他に益州を制した巨大な力があるわ。そして一時休めば、
その力は更に大きくなってこの大陸を飲込まんとして動き出す事は間違いないわ」

雪蓮がそこまで言うと蓮華は何かを閃き姉に向けて話し出す。

「それでは北郷の勢力を奪い取るというのは?」

そう言った瞬間、

「私も同じ事を考えた。でも私には出来そうに無いし恐らくそれを行動に移した瞬間…」

そこで区切って雪蓮は一刀の事を思い出し、蓮華を見て、

「私達は、孫家は……この大陸から消されると思いなさい。これは皆にも言っておくわ。
私と冥琳はもう一刀に言わているのよ。誰かを傷つけたりしたら許さないとね」

と妹に、皆に言い聞かせる様に言った。
 それから暫くは誰も話そうとせずに5分ほどが立った時、

「ねえ、雪蓮お姉ちゃんに聴きたいのだけど」

と末妹の小蓮(孫尚香)が不意に質問してきたので「何?小蓮」と尋ねて小蓮の言葉を待った。

「雪蓮お姉ちゃんは北郷の所に行く条件を出されたのでしょう?
それを詳しく説明して欲しいのだけど。何か言い難い事なら無理に話さなくても良いのだけど…」

条件の事を話す前に冥琳と見つめ合い、その後に蓮華の質問に答えていた事もあり、
完全に忘れていた雪蓮は(冥琳もだが彼女は何事も無かった様に振舞っていたのは流石である)
「アッ」と小さく声を出して、

「ありがとうね、シャオ。貴女が言ってくれなかったら忘れてたわ」

そう小蓮に頭を掻きながらお礼を言うと皆に向けて条件の事を話す事にした。

                       ◆◆◆

 一刀からの条件とこちらから出した条件を話し終えると、

「冗談ではありません。そんな条件を信じられる訳ないでは無いですか!!
それに私がなぜ北郷の下に行かなくては行けないのですか!!!」

そう横に座っていた蓮華と数人が立ち上がって猛抗議するが、雪蓮も冥琳も掛け合おうとせず、
雪蓮は蓮華に落ち着く様に言い、

「貴女が行かないのなら仕方ないわ。私かシャオが行くしかないわね。
いっその事二人で行きましょうか、シャオ?」

そう告げられた小蓮は少し考えて(しかし雪蓮は冥琳に頬をつねられていた)

「うん面白そうだし他所の国も見てみたいから私が行っても良いでしょう?駄目、冥琳?」

小蓮に問われた冥琳は雪蓮の頬を引っ張りながら、

「如何でしょうね?私は小蓮様よりも蓮華様に行って頂きたいのですが……」

そう話しながら蓮華の方へ視線を向けると、それに気づいた蓮華は、

「如何して小蓮ではなく私で無いといけないのか説明してして欲しいのだけど、冥琳?」

蓮華は冥琳に問い掛けるが、当の冥琳は、

「貴女に政治を勉強して頂く為です、蓮華様」

そうきっぱりと蓮華の問い掛けに応え、

「紅蓮様が無事で計画通りなら今頃、襄陽を制圧して夏口、江夏の制圧に掛かっている頃。
その場合なら穏か私が教える事も出来ましたが、今の状況では話になりません。
領地すら無く、守る民すら持たぬ今の状況では……」

冥琳の言葉に蓮華は何も言い返せず、心の奥底で

『冥琳は私を北郷に取り入る為の生贄としようとしているのでは』

等と考えてしまった自分を恥じていた。そんな蓮華の事などお構い無しに、

「しかし北郷には未だにその強大な経済力を背景とした力を頼って来る者が多く、
人口はそれに比例する様に増えています。しかし人口が増えると治安を維持するのが
難しくなるのです。ですが北郷はそんな状況でも治安は然程さほど悪くなっていません」

 横で見ていた雪蓮は蓮華が何やら良く無い事を冥琳に対し考えている事を感じていたが、
疑われた冥琳が特に気にもせずに言葉を続けているのを見た雪蓮は黙って成り行きを見守る。

「北郷の政治を司っているのは徐庶と蔣琬であると報告があります。恐らく政事の能力では
私では歯が立ちません。ですから蓮華様には彼女らの政治能力を盗む事、北郷の政治を理解
する事をお願いし、そして学んだ事を雪蓮の作る国に生かして欲しいのです」

冥琳の言葉が重く感じられる。今までも冥琳に何度も叱られたことはあったが、
その時の言葉より遥かに重く、更に自身の心に先程の冥琳へのやましさがある為か、
心に直接響いてくるようであった。
 
 蓮華は黙って下を向いて冥琳の言葉をもう一度思い出し、そして上を向き、

「解ったわ。私が北郷の政治を物にして見せる」

「よくぞ仰って下さいました、蓮華様。それでこそ雪蓮や私達の希望なのです。
北郷の所には亞莎(呂蒙)を連れて行ってください。武官としても護衛としても
お役に立つでしょう」

蓮華に言うと、そのまま思春(甘寧)に向かって、

「思春、お前は北郷から依頼されている江賊討伐、水軍強化の方を頼む。後、
解っているとは思うが、北郷水軍の錬度と北郷の将軍や兵器の事も調べてくれ」

思春に支持を出した後、明命(周泰)にも、

「明命、お前は北郷の領内の様子や警備状況の変化、そして新たに支配下に置いた成都の
様子を頼む。それとやはり北郷の情報精度が高すぎるのが気になる。お前には袁術の事も
頼んだばかりだが下手な者では只でさえ少ない密偵を失い兼ねん。苦労を掛けるが頼むぞ」

冥琳からの指示を受けて明命はその場を立ち上がり、天幕の外へ消えて行った。
それからも冥琳からの指示及び、北郷の下へ行く際の注意点など、軍議は夜遅くまで続いた。

                      ◆◆◆

 一方、一刀達は陣を払ってそのまま夜間中に江陵に近づこうとしていた。
その先陣を切るのは恋(呂布)であり、すぐ後ろの部隊には一刀や詠の姿も見える。
その周囲は精兵である親衛隊で囲まれており、その後方を残りの部隊が続く。
一刀が戦で前線近くに出る事を稟や風、その他大勢の者達が諌めるが、その都度一刀に

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫。俺の前には恋もいるし親衛隊も守ってくれてる。
これ程安全な所もないし、危なくなったら後方に下がるから勘弁してくれ」

と笑顔と真顔で言ってくる一刀にそれ以上のことは言えず、更に一刀に、

「君みたいに俺の身を心配して進言してくれる。俺にはそれが何よりも嬉しいよ」

と返されていつも顔を真っ赤にして出て行く稟や万里(徐庶)、昇華(蒋琬)らが目撃されている。
(兵士たちには日常の光景として認識されている為、次は誰が来るのかという賭けまであった)
 

 少し休憩をとる傍らで一刀の横で黙って付いて来ていた詠は、
一刀が何かを聞きたそうな顔をしていた為、敢えて一刀に視線を合わせてから一刀の言葉を待つ。

「今の江陵の様子は?それと諷陵の昇華に頼んでいた事の返事は来た?」

詠は一刀からの問い掛けを懐から取り出した書簡を読みながら答える。

「江陵は僕達に敗れた奴らがそのまま援軍として向かって、今現在交戦中との事よ。
霞の部隊と文聘の部隊が睨み合い、張允の本隊と華雄が何度かぶつかったみたいね。
こちらの被害は軽微だとの事よ。張允達は僕達や孫策達とも戦って疲弊しているので、
僕達が行けば逃げるか城に籠るかする筈よ」

「一方の江陵城はこちらが流した噂が城内で大きくなってそれを鎮める為、
大きな動きが出来なくて将兵に至っては段々と疑心暗鬼に陥っているとの事ね。
本来なら援軍が来た時に挟撃され兼ねないけど、城内がそんな様子では無理だったみたい」

その報告を聴き一刀は、

「うん、順調みたいだね。昇華の方は?」

と頷きながら更に尋ねると詠は、

「一応用意は出来たみたい。夷陵に1万から1万5千程を駐留させてこれを孫策達に割当て
他の戦えない者達や負傷者には諷陵の先の開拓地に家を建てているとの事よ。
そこで開拓を手伝ってもらう様に考えてると記しているわ。ただ飯食らいは許さない様ね。
一族の有力者やその家族達は白帝城の屋敷やアンタや他の者の別邸に仮住まいさせるとあるわ」

詠の返答に満足した一刀は喜びつつ、後方にいる兵士達に向けて、

「よし!!皆、疲れているだろうが、今回の戦闘を荊州最後の戦にしよう」

一刀が皆に言うと後方に続く者達は確かな意思を持って一斉に頷き、その場を出発した。
 日報に色々と誤字があって、面白い日報を書いてくれる反対班がいると
朝、日報を読むのが楽しいですね。

最近めっきり寒くなり、夜中に目が覚める事が多々あります。
そろそろインフルエンザの季節に突入しますので、
皆さんも風邪など引かぬ様に気を付けてください。

来週は江陵の事、一刀の領内に雪蓮達が入る所までかけたらと
思っております。

誤字脱字などありましたら遠慮なくお願いします。
作者も人の事、反対の班の事は言えませんから……

今回もここまで御読み下さり有難う御座いました。
恋姫無双 稟 風
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