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白に染まる世界で
雪が 降る
わたしが歩いたその跡さえ
全て飲みこんで 消してしまうの
わたしが犯した過ちも
わたしが見つけた幸せも
ただ静かに
そこにはなかったんだよと 告げるように
あなたとつないだ手の 温もりさえ
全て奪って 凍えさせるの
わたしが知った喜びも
わたしが受けた傷跡も
ねえ いつか
雪が消えてなくなるように 消えてしまうの?
白で世界が包まれる
長く厳しい 季節の訪れを
優しいあなたは 嫌うけれど
それでもわたしは 冬が好き
この雪が降る限り
わたしは何処にも行かずに あなたの傍で
この白がある限り
わたしはあなただけを 考えていられる
悲しまないで 憎まないで 嘆かないで
── 笑って
この雪が消えてしまっても
…わたしが消えてしまっても
たとえ形はなくても
残る物は きっとあるから
現在は非公開の長篇FT『エティカピオーネ』をイメージして以前書いたものを少々手直ししたもの。
「みてみん」で彼等の絵をアップしたのでついでにサルベージ。
ちみっと本篇のネタバレ(…なのかな、これは)を含みますが、肝心の作品がいつ公開できるかわからないので問題なし(マテ)