ロロと過去編第3話
「道」はみち、人生、人が歩むべきもの。
シェン「"あの"烏家の長男が破門?」
魔導師養成学校が夏期休暇期間に入り、
リー・シェンは桃花源に帰省していた。
久々に会った友人たちとの飲み会の席で、
会話の中に出てきたそのニュースはシェンに衝撃を与えた。
それだけ、道士界にとってロロ・ウーという天才への期待は大きかった。
シェン「なんで!?」
"同性愛者であるため"
友人の説明は噂レベルのものであったが、
シェンの反骨精神に火をつけるには十分だった。
シェン「もったいねえ。何とかなんねぇかな。」
とは言うものの、
シェンは道士どころか、
神使教の敵である魔導師の学校に通っている身。
どう考えても
どうにもすることは不可能だった。
シェン「…虎の威を借りますか。」
"おれは道士をやめる理由なんざ何一つねぇ"
「転」の字を返却せず、
そのまま逃亡したロロに、
追手は日増しに激しくなっていた。
そうして、ついに廃屋に追い詰められ、
ロロは絶体絶命の危機に瀕していた。
廃屋にはロロの結界が張られており、
追手にそれを破れる者はいなかったが、
ロロ(このままだと…兵糧攻めだな…)
ロロの体力は限界に近づいていた。
だが、その限界が訪れる前に、結界は破られることとなった。
ロロ(…!!)
廃屋の扉が開いた。
シェン「あんたが噂のロロ・ウーだな?」
ロロは身構えた。
シェンは笑った。
シェン「なあ、ロロ。神に逢ったことはあるか?」
ロロ(…?)
桃花源国 蓬莱地方 崑崙山山頂 蒼穹殿
この世で唯一、
天界ではなく地上に居を構える神、白桜姫の住まう処。
ロロの結界を軽々破り、
「神に逢ったことはあるか」と尋ねた男は、
世界で一番の"玉の輿"男、
白桜姫の婚約者、リー・シェンだった。
神をたぶらかしたと世界中の非難の的である男に、
ロロはその神の前に案内された。
大量の線香が焚かれた広間、
奥にはうす布の簾が掛かっており、
その向こう側には人影が見えた。
シェンは気を使う様子もなくズカズカと広間の奥に進み、
簾の向こうに話しかけた。
シェン「白桜姫!連れて来たぜ!」
ロロはシェンの何の気なしに発せられたその名前に、
無意識に顔が引き締まった。
簾の端にいた女官が声を張り上げた。
女官「男!脱帽しろ!どなたの目前と心得るか!」
ロロ「…」
ロロは被っていたつば付き帽をさらに目深にかぶった。
女官「貴様…!」
「そのままで構いません。どうぞ楽に、ロロ」
低くしわがれた、だがどこか品のある声。
簾の奥に見える影からだった。
白桜姫「今日は体調がすぐれなくて、
こちらこそ悪いですが、このまま簾越しでいさせてください。」
ロロ「別に、その男に連れてこられただけですので、
お気になさらず。」
ロロの態度も口調もそっけないものであった。
白桜姫「あら、あなた、ご説明をしていないの?」
シェンは頭をかいた。
シェン「忘れてた。
えとな、お前を助けたいと思ってな。」
ロロの眉がピクリと動いた。
ロロ「…助ける?」
シェンは笑った。
シェン「ほら、俺神使教徒じゃないじゃん?」
ロロ(知らねー…)
シェン「でも白桜姫の言うことなら、
みんな大人しくなると思って。」
ロロは鼻で笑った。
ロロ「どうかね」
それからしばらくの間、沈黙が流れた。
ロロは簾の向こうからジロジロと視線を感じ、
気分が悪かった。
白桜姫「ロロ・ウー」
白桜姫の一言で長い沈黙は破られた。
ロロはようやくかとイライラしながら返事を返した。
ロロ「はい?」
女官は態度の悪いロロを睨みつけた。
白桜姫「これからあなたが選ぶ道を、私は肯定も否定もしません。」
その一言が放たれた瞬間、
ロロはあることを理解した。
シェン「ちょっ…おい!白桜姫!」
ロロはにやりと笑い、脱帽して一礼した。
ロロ「お時間をいただき、ありがとうございました。」
そう言ってスタスタと広間を出た。
シェンは簾の奥に慌てて話しかけた。
シェン「何であんな突き放すようなこと言ったんだよ!」
白桜姫はクスリと笑った。
白桜姫「ロロとあなたはそっくり。」
シェン「は?」
白桜姫「唯一違うのは、ロロは素直なところね。」
シェン「…なにそれ」
神は人を救わない。
かといって罰することもない。
ただ、そこに、絶対的に"存在するのみ"。
つまり、何が正しくて、何が間違っているか、
それを決めるのは神じゃねえ。
おれだ。
おれはおれが正しいと思うおれの世界を作る。
5年前 ロロ・ウー 18歳
以降、彼の姿を桃花源国で目にすることはなかった。
さて、裏社会に身を投じたロロ。
つーか、ここまでドラッグのドの字も出てこないですね。
この時点ではロロはドラッグのドの字すら知りません。
そんな彼がどのようにして黒い三日月を結成していったのか。
次回第11.4話は2/27更新予定
ちなみにシェンの奥さんが判明しましたね。
この夫婦にもいろいろありそうです。
いちおうこの11.xシリーズには解説があります。
ここに載せようかどうか迷い中です。
…あっ!今月本編更新がない!!
すいません、本編は3/6更新予定です。
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