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深刻な夜

作者:kud
即興小説(http://sokkyo-shosetsu.com/)で書いた物を修正してup。
その言葉には古い傷があった。
誰の言葉だったか。
誰が言ったかはさして重要ではないのに探ってしまう。

幼なじみのケリーには、一頭の従順な犬がいた。
つやつやした黒檀のように美しい毛色だった。
ケリーは犬を大切にしていたので、朝と夕の散歩を欠かさなかった。
毎日健気に一人と一頭が歩く姿が羨ましく、自分にも犬がいたらいいのにと、胸の奥で祈った。

わたしの犬を想像してみる。
ケリーの犬のように黒がいいだろうか。それとも逆に真っ白い犬、あるいは斑、それとも茶色か。どんな鼻面で、牙は鋭いだろうか、毛は短い方が手入れが楽だし、でも尻尾はふさふさしているほうがいい。

そこでカラスの鳴声がしたので、わたしの意識は唐突に引き戻された。
瞬間、わたしは落下していた。
視界は真っ暗で何も見えない。

足もとから頬に風が抜けていく。
唐突に、抉れた傷を持つ言葉を吐く顔が、眼球の裏で蘇った。
それはケリーの犬だった。黒くて長い舌を垂らしながら犬が言ったのだ。
「なにも知らないけど、知っている人がいる。誰かわかるかね」

わからない──と、わたしは返した。
その返答が犬に届いたか確かめることができないまま
わたしは深刻な夜に着地した。

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