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河野裕一の事件簿! 3殺目
作:Daisy Katsura



事件の真実


裕一は裁判所に来ていた・・・。
理由は、父親に頼まれたからである。
○月×日土曜日AM.10:00。
裁判所にて裁判が始まる・・・。
裁判長:「それでは、これより第一法廷を始めます。
弁護人、検事、準備は宜しいですか?」
な、何だ、この「逆○裁判!」風な裁判は!?
検事:「うむ。」
弁護人:「弁護人は準備出来ています。」
検事:「三上弁護士。
言っておくが、今回は絶対に負けないぞ。」
三上弁護士:「・・・・・・。」
弁護人は呆れていた・・・。
裁判長:「それでは三谷検事、冒頭弁論をお願いします。」
三谷検事:「うむ、被害者は浅沼 正治せいじ28歳。
・・・・・・・・・。」
と、冒頭弁論を続ける。
三谷検事:「と言う訳で、被告人の浅川 昭二しょうじを入廷させる。」
裁判長:「それでは被告人を入廷させて下さい。」
すると、被告人の浅沼氏が入廷してきた・・・。
風貌はそこらにいる中年の親父なんら変わりはない・・・。
裁判長:「被告人は名前と職業を言って下さい。」
昭二:「浅川 昭二40歳。
職業は土木作業員です。」
三谷検事:「裁判長、ここで凶器のナイフを証拠品として提出させて貰う。」
三谷検事は証拠品のナイフを提出した・・・。
あぁ、完全に「逆転○判!」だな・・・。
裁判長:「うむ、受理致しました。」
検事の提出した証拠品には、被告人の指紋が付いていた・・・。
これは、逃れようの無い事実である・・・。
三谷検事:「被告人、このナイフはあんたので間違いないか?」
三上弁護士:「待った!
誘導尋問です。」
裁判長:「質問を却下します。
検事は質問を変えて下さい。」
三谷検事:「むむむ・・・・・・。
被告人、このナイフにはあんたの指紋が付いていた・・・。
これはどういう事だ?」
しかし、昭二は「知らない」との一言。
そりゃあそうだろうな・・・。
三谷検事:「では、被害者の浅沼 正治が殺害されたAM.2:00頃、どこにいたかを証言して貰おう。」
裁判長:「被告人、証言して下さい。」
被告人は、「現場へ行った」と証言した・・・。
おいおい、それじゃ不利じゃないか・・・。
三谷検事:「ふっ、やはりな。
裁判長、被告人は殺害時刻に現場へ行っている・・・。
有罪で決まりだ。」
三上弁護士:「待った!
弁護人には尋問をする権利があります。
尋問させて頂きます。」
裁判長:「それでは尋問をお願いします。」
弁護人は、尋問を始めた。
三上弁護士:「被告人、先ほどのAM.2:00に現場へ行ったという証言は間違いありませんか?」
昭二:「はい、間違いありません。」
三上弁護士:「では、その時の現場の様子を証言して下さい。」
被告人は、「被害者の姿は無かった」と答えた・・・。
姿が無かった・・・どういう事だ?
三谷検事:「被告人、私はその様な事は一切聞いておらんぞ!?」
裁判長:「被告人、証言はしっかりお願いします。」
昭二:「私はあの時間、浅沼の部屋へ行きました。
でも、浅沼はいなかったんです。」
浅川はそう証言しなおした。
三上弁護士:「その後はどうしましたか?」
昭二:「帰りました。」
三上弁護士:「間違いありませんか!?」
三谷検事:「待った!
被告人は嘘を吐いている可能性もある・・・。
これ以上の尋問は不要だ・・・。
証人の古川 みのるを入廷させる。」
すると、証人の古川が入廷した・・・。
裁判長:「証人、名前と職業をお願いします。」
実:「古川 実、23歳。
職業は新聞配達員です。」
裁判長:「では、事件当日に目撃した事を証言して下さい。」
実:「あれは、一昨日の晩の事でした。
僕が夜中に配達をしていると、妙な男が部屋から出てきたんです。
その男は、ドアを半開きの状態で去って行きました。
気になったので中を覗くと、人が胸を刺されて死んでいるではありませんか。
恐ろしくてその場から動けませんでしたよ。」
動けなかった?
動けなかったのに何故、通報が出来たのだろうか?
三上弁護士:「異議あり!
裁判長、事件のあった現場の上図を見て下さい。」
裁判長は上図を確認した。
上図では、玄関から被害者の倒れていたリビングまで真っ直ぐだが、倒れていた位置は玄関からは見えない・・・。
因みに、玄関から真っ直ぐ進むと、突き当たりに鏡がある・・・。
裁判長:「これがどうかしたのかね?」
三上弁護士:「この上図の通りに解説すると、玄関から被害者が倒れているのは確認出来ない筈。
なのに、どうして証人は被害者が倒れているのを確認出来たのか?」
三谷検事:「異議あり!
現場には鏡がある。
その鏡に被害者の姿が写ったのだ。」
三上弁護士が悩んでいた・・・。
そこへ、観客席から「異議あり!」との声が聞こえた。
その主は裕一だった。
裁判長:「観客席はお静かになさい。」
と、裁判長が言ったが、裕一は聞き入れなかった。
裕一:「この事件の現場を担当したのは僕です。
三谷検事、貴方は実験したんですか?
玄関から正面にある鏡を覗いて遺体が見える事を?」
三谷検事:「な、何言うんだね君は!?」
裕一:「三谷検事、現場にあった鏡では遺体を見る事は不可能なんですよ?
だが、一人だけそれを見る事が出来た人物がこの中にいる・・・。
それは犯行時刻に現場にいた古川さん、貴方ですよ!
僕は彼を殺人容疑で告発します!」
回りが騒ぎ出す・・・。
裁判長:「静粛に!
面白い、続けなさい。」
裕一:「三谷検事、鏡の見える範囲を知っていますか?
鏡と言うのは、離れれば離れるほど光を反射する範囲が狭くなり、近づけば近づく程範囲が広くなります。
つまり、古川さんが遺体を見る為には、鏡にかなり近づかなければなりません。
そう、部屋の中に入り、鏡の目の前に行かなくてはね。
古川さん、貴方はさっき『怖くてその場を動けなかった』と証言しました・・・。
現場から動けなかった貴方が何故に遺体がある事に気づいたんですか?
まだまだあります。
遺体の状況です。
先ほど説明した通り、玄関から被害者の倒れている位置は見えません。
では、何故に胸にナイフが刺さっている事が解ったんですか?」
昭二:「俺が殺したんだ・・・。」
三谷検事:「証人!?」
証人は、全ての犯行を自供した。
彼は、被害者の自宅に盗みに入ったのは良いが、被害者が帰って来てしまい、焦った犯人はとっさに台所にあったナイフで被害者を刺してしまったと言う事だ。
三谷検事:「さ、裁判長・・・。
判決を・・・。」
裁判長:「被告人、浅川 昭二に判決を言い渡しましょう・・・。」
裁判長は被告人に「無罪!」を言い渡した。

裕一は、その場を後にした・・・。
三上弁護士:「きみー、待ってくれ。」
と、弁護士が裕一を止めた。
三上弁護士:「さっきは助かったよ。
僕、もう本当に駄目かと思った・・・。」
裕一:「いや、僕はただ親父に貴方を援護しろと頼まれただけでして・・・。」
三上弁護士:「親父さんって誰?」
裕一:「本庁捜査一課の警部ですが?」
三上弁護士:「じゃあ、君があの有名な名探偵の?」
裕一:「河野 裕一です。」
三上弁護士:「でも、探偵なら何故なにゆえに裁判になる前に解決しなかったんだい?」
裕一:「証拠が揃いすぎていたんですよ。
だから裁判に持ち越したんですけど・・・。」
三上弁護士:「けど?」
裕一:「古川さんの証言でピンと来たんですよ。
ほら、現場には鏡がありましたよね?
あの鏡、幅が狭いから離れたところでは広い範囲が見えないんです。」
三上弁護士:「そうか、だからあの人が犯人だって・・・。
あぁ、あんな矛盾にさえ気づかなかった僕はいったいどうしたら・・・。」
落ち込んでしまった・・・。
裕一:「お、落ち込まないで下さい。
この次は自分の力で勝てますって!」
三上弁護士:「なぐさめてくれてありがとう・・・。
少し気分が楽になったよ。」
弁護士は、そう言い残してその場を去った。

某時刻・・・。
法廷控え室。
三上弁護士は控え室でくつろいでいた・・・。
三上弁護士:「(はぁ、この後は婦人警官の弁護か・・・。
大丈夫かな・・・。)」
その時だった。
何者かが三上弁護士の頭を金属バットで殴りつけた。
「ボグッ!」と鈍い音が聞こえたと同時に、三上弁護士はその場に倒れ息絶えた・・・。
何者かは、金属バットを置いて現場を立ち去った・・・。












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