この話は、主人公の視点では描かれていません。
必ず見なければならないわけではありませんが、若干今後の展開が超展開に見えてくるかもしれません。
ちなみに短いです。
閑話休題 ある少女と少女の邂逅
その日、私は図書館へと向かっていました。
私は、カルナさんとの縁によって、この学園へと入学することが出来ました。その恩返しの意味もあり、私はせめて常に良い成績を取らねばと思っていました。
そして、本日の授業でも気になるところがあったので、私はいつものように調べ物をするために図書館への道を歩いていました。
すると、ふと、いつもの光景に違和感を覚えました。
それが何なのか分からず、辺りを見回していると……鳥が数羽ほど、図書館の裏手へと飛んでいくのが見えました。
私はその光景に、思わず首を傾げてしまいました。なぜなら、この周辺の鳥達は滅多に学園の近くには近寄らないからです。
その原因は、魔法学園の生徒達が魔法を使って鳥達を的にしているというものから、魔力が濃密で鳥達が警戒しているというものまでありますが、とにかく鳥達が集まってくるのは珍しいことです。
あ、また鳥達が数羽飛んできたようです。ふと、その様子が気になってしまい、私は図書館での調べ物すら忘れて、鳥達の姿を追っていくことにしました。
普段なら、気にせず図書館で勉強をしていたかもしれません。私自身、その時なぜ私がそうしようと思ったのか、理解できませんでした。
ですが、その光景を見たとたん、私は全てを理解しました。なぜ、私が気になっていたのか。この場所に……なぜ惹かれるものを感じてしまったのか。
そこは、まさしく聖域と呼ぶに相応しい光景でした。
私は何度か、ここの風景を見たことがありました。大き目の木が一本生えているだけの、どこにでもある光景です。
ですが、今私が見ている光景は、まるで別な場所を見ているような錯覚すら覚えてしまうものでした。
木を中心にして、大小さまざまな鳥達がたたずみ、あるいは枝の上に留まっている。
その数は恐らく数十羽ほどでしょうか?それだけの鳥達が一堂に集まっているところなど、私は見たことがありません。
それはまさしく、鳥達の楽園。……しかし、それらもその中心となる『あるもの』の前では、あまりに霞んで見えてしまいました。
それはたった一人の少女。
限りなく白に近い銀色と言うべきでしょうか?長く、若干ウェーブの掛かった綺麗な髪をした、とても可愛らしい女の子。
その端整な顔立ちと、すらりとした綺麗な手足。その全てが、完璧な造形をしていると思えて仕方ありません。
その女の子が着ている黒い衣装も、まるで、その女の子のために作られたかと思えるほどに似合っておりました。
そして、木漏れ日によるアクセサリーが、さらにその女の子の姿を映えさせていて……その姿はまるで、聖域に住んでいたとされる聖女様すら、彷彿とさせるものだったのです。
私は、息をすることすら忘れてその光景に見入っていました。
もし、彼女が自らを神様の使いだとおっしゃっても、私は間違いなくそれを信じることでしょう。
それほどまでに幻想的で神秘的な光景が、私の前に広がっていたのです。
しばらく見つめていると、中心に居る女の子がかすかに動くのが見えました。
ひょっとしたら、私の視線に気づいてしまったのかもしれません。不本意ながら、私は彼女を眠りから覚ましてしまったのでしょう。
女の子が薄目をあけ、ゆっくりと体を起こしました。すると、それと同時に近くに居た鳥達が一斉に羽ばたいて、空のかなたへと飛び去って行ってしまいました。
もしかするとあの鳥達は、この少女を守るためにここに来たのかもしれません。本来ならありえないことですが、先ほどの光景を目の当たりにした私からすれば、それは当たり前のことのようにも思えます。
女の子がゆっくりと目を開け、辺りを見回します。そして、私に気づいたのか、彼女が私に視線を合わせてきました。
真っ赤で……とても鮮やかなルビーのような瞳。その眼を一目見た瞬間、私は確信しました。
ああ、この方は、間違いなく神様の使いなのだと。間違いなく……神様の祝福を受けた聖女様なのだと。
その少女が口を開くのが見えました。その声を……一語たりとも聞き逃さないよう、私は少し緊張してしまいました。
この少女の声は、どれほど透き通って綺麗なのでしょうか?それを聞くことが出来る私は、どれほどまでに幸せ者なのでしょうか?
このような機会を与えてくれた神様に感謝をしていた私に、彼女は想像を超える程に透き通った声でこう尋ねました。
「……ええっと、君……誰?」
主人公以外の視点で物語を描いてみる実験です。
いかがでしたでしょうか?上手く描けていれば幸いなのですが……。
恐らくこれからも、主人公以外の視点を描きたくなった場合、これと同じように閑話休題として描かれる事になると思います。
そして、視点となった彼女が何者なのかは、これから描かれることとなります。
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