ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
紳士的なアレ注意
ある意味R-15注意
第21話 紳士的なご褒美
 
「どういうことだっ!!」
 
 学園の敷地内に入るなり、俺は待ち構えていたレオナルド先生に非難を浴びせかけられていた。
 
「ミハル君は、ちゃんとご褒美をくれるといってたじゃないか!?あれは、嘘だったのか!!」
 
 忘れていたわけではない。恐らくこういうことになるだろうと、対応策は考えておいた。
 ただ、その策を実行するにはここは人目がありすぎる。それに、その策をフォルにはあまり見られたくはない。
 
 ……しかしこの先生、必死だな。
 
「フォル、俺は先生とちょっと話があるから、先に行っててくれないか?」
「うん、わかった。また後でね~」
 
 そう言って、手を振りながら学舎へと駆け出すフォル。わざわざ走ることは無いと思うのだが、フォルはいつも元気だと思う。
 
「ミハル君!!俺は、君なら必ずやご褒美をくれるのだとっ!そう思って!!」
「そのことについて話がある。先生、ちょっとこっちに付いて来い」
 
 有無を言わさず、怒鳴り声を上げる先生の横を通って学舎の裏側へと歩き出す。そんな俺の様子に若干戸惑ったようだが、そのまま先生は俺の後についてきた。
 
 
 
「……あれは、ミハルさん?無事だったんですのね。でも、あのダメ教師を連れてどこへ……まさかっ!?」
 
 
 
 その時、俺はその姿を彼女に見られていることに気づいて居なかった。
 
 
 
 
 
「それで、俺をこんなところに連れてきて、どうするつもりだ?」
 
 学舎裏にたどり着くなり、先生がそう尋ねてくる。俺は周囲に人が居ないことを確認し……これからする事を思い返して、先生に振り返った。
 
 
「っ!?」
 
 
 その瞬間、先生の表情が凍りついた。
 
「先生、俺は先生の事を一流の紳士だと思っていた。恐らく、先生も一流の紳士たろうと振舞ってきている事だろう」
「……あ、ああ」
 
 完全に俺の雰囲気に飲まれる形で、先生が答える。
 
「だが、それは買いかぶりだった様だな?今の先生は、あまりに無様だ」
「な……り、理由、その理由はっ」
 
 焦る先生に、俺はハッと嘲笑する。
 
「紳士たるもの、ご褒美を自ら望むべからず。たった一日のお預けすら我慢できず、取り乱して喚き散らす。それを無様といわずして、なんと言うのだ?」
 
 先生が愕然とした表情を見せる。徐々に、その顔色が青くなっていくのが見える。
 
「まして人前でご褒美をねだろうとはな。先生は、この俺を人前で辱めるつもりだったのか?」
「も、申し訳ございませんっ!!」
 
 勢い良く土下座する先生。それを見て、俺は満足げに頷く。
 
「今は良い。今の先生にはまだ、そこまでは求めるまい。……だが、今後はその心に刻み付けて置くのだな?」
「は、はいっ!!」
 
 俺の要求に、顔を上げて答える先生。そんな先生に、俺は今度は笑顔を見せる。
 
「さぁ、分かっているだろう?ご褒美の時間だ」
「は、はいっどうぞ私めにご褒美をっ」
 
 微動だにしない先生に、俺は軽くため息を付く。
 
「どうやら分かってないようだな?仕方ない、特別に教えてやろう。失意体前屈(orz)だ」
「っ!!?は、はいっ!申し訳ありませんでしたっ!!」
 
 あわてて両手と両ひざを着き、頭をたれる。それを見て、俺はゆっくりと先生に近づく。
 
「さぁ、ご褒美だ。幸い授業が始まるまで、たっぷりと時間はある。しっかりとその身で受け取るがいい!」
 
 先生の背中に足を乗せる。ゆっくりと、力を込めていく。
 
「あ、ああ、あああああっありがとうございます!!」
 
 
 先生に対する、ご褒美が始まった。
 
 
 
 
 
「……ちょっと、やり過ぎたか」
 
 至福の笑みを浮かべながら気絶している先生を見て、思わずそうつぶやいてしまう。妹や幼馴染に仕込まれた演技に、多少オリジナル要素を加えてみたのだが、思っていた以上に効果があったようだ。
 
 ……まぁ、要は今までの全部がハッタリというか、演技だ。俺が一流の変態紳士の心構えなんて知ってるわけ無いし。ましてや誰かを踏んで悦に入る趣味などあるはずがない。
 先生を踏む段階に入ってからは正直ちょっと嫌だったのだが、何とか我慢した。これから先は我慢させるようには誘導できたし、あれだけ恍惚の表情を浮かべてるんだから、当分の間は大丈夫だろう。
 
 とりあえず用事は済んだし、学舎に戻るかな。先生も約束を覚えている以上、授業が始まるまでには復活して戻ってくるだろうし。
 根拠は無いが確信はもてるので、そのまま放っておくことにする。幸せに浸ってる先生の邪魔をするつもりは無いし。今の先生には触れたくない。
 
 
 振り返って、もと来た道を帰ろうとする。だが、不意にドンッという衝撃とともに、俺はしりもちをついた。
 
「え?……あ、あれ?何?」
 
 突然のことに、軽く混乱状態に陥る。だが、すぐ目の前に何者かの顔があることに気づいて、誰かに押し倒されたのだと理解した。
 
「え?だ、誰だ!?」
「おびえなくても大丈夫ですわ。私ですの」
 
 その人物の顔と声には覚えがあった。だが、彼女が何故……ここに居る?
 
「貴女とダメ教師が学舎裏に行くのを見て、着いてきたんですの」
「ああ、なるほどね。……ということは全部見たわけか」
「ええ。まさか……」
 
 俺は軽くため息をつく。さすがにこれは、軽蔑されたかな?俺はともかく、フォルの評判に響かなきゃ良いんだけど。最悪の場合は、フォルと距離を離すことも考えた方が……
 
 
 
「まさか貴女が……ここまで人を導く才能に溢れた人物だったとは、思いもしませんでしたわっ!!」
 
 
 
 …………。
 
「は?」
 
 
 
 思考が一瞬停止する。え?何?コノコ、イマ、ナニヲイッタノ?
 
「飴と鞭を見事に使いこなし、あのダメ教師を見事に下僕とするその様……今思い返しても、素晴らしいの一言ですわ!!」
 
 いや、いや、ちょ、おかしいだろ。それ、おかしいだろ?!
 
「はぁぁ……ミハルさん。貴女ならきっと、国中の愚民達を従えることだって容易いはずですわ。あの様な絶妙なご褒美と罰を与えられれば、間違いなく誰もが貴女に心酔しますものっ!!」
 
 いや、ありえないから。ってか愚民って!ちょっとメイフィールドさん!?お願いですから戻ってきてください!!
 
「あのダメ教師の踏み方一つでも、まさに絶妙な力加減……時には優しく、時には荒々しく。あの見事な足捌きは、完璧というより他はないですわっ!!」
 
 ちょっ!?あれは単にぶっつけでやっただけで、そんな技術なんて俺は持って無いってば!
 
「それにしても……不覚ですわ。まさか、この私があのダメ教師を羨ましいと思ってしまう時が来るなんて」
「あ~、メイフィールドさん?とりあえずその件はそこまでにして、教室に行くぞ。今 す ぐ に !」
 
 とりあえず、このまま放っておくとどんどん状況が悪化しそうなので、メイフィールドさんの妄想を止めに入る。
 
「あ、え?……う、そ、それもそうですわね。いけませんわ、私、危うく……」
 
 ……危うく何を言おうとした?何をしようとした?聞きたい気もするけど、迂闊に聞くと怖い事になりそうなので聞きません。
 
「あ、ああ。え~と、じゃあ戻ろうか」
「え、ええ、それじゃあ戻りましょう」
 
 
 
 
 
 若干ギクシャクとしながら、俺達は教室へと入っていく。先に教室に入っていたフォルが、そんな俺達を見て不思議そうに首を傾げていた。
 うん、大丈夫だから。何も無かったから。むしろ、何も無かったことにしたから。
 
「……私も、いつかは踏んで欲しいですわ」
 
 聞こえない、聞こえない、聞こえない!俺の耳は何も聞こえていないっ!!
 
 
 
以上、先生を下手にメインにすえると、いろいろとぶっ壊れることが証明されました。
……反省した方が良いのでしょうかね?紳士や変態が時々出てくることも含めて、この小説は成り立っている気もしますが。

ここまでご覧になった方には言うまでも無いと思いますが、ご褒美は人それぞれです。踏む前にまずは相手に聞いてみましょう。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。