超展開注意。
R15注意。ひょっとしたら、この程度だとR15にはならないかもしれませんが。
第1話 始まりは夢の中
「ねぇハルちゃん。何でハルちゃんって、女の子じゃないんだろうね?」
「いきなり何言ってんだテメェは。寝言は寝てから言え。後、俺は男なんだからちゃん付けするな」
昼飯もほとんどの奴が食い終わり、だらけた雰囲気を見せる教室。
中には予習をしたりする真面目な奴も居るが、大抵は仲のいい奴とくっちゃべったり、寝たりする時間である。
「だってさ~、ハルちゃんってば下手な女の子よりよっぽど可愛いじゃん」
そんな憩いの時間なのにもかかわらず、俺はうんざりとさせられていた。
原因は目の前に居る幼馴染。俺はこいつを、学園一のトラブルメーカーだと思っている。
「アホか。後ちゃん付けするなと言ってるだろ」
「え~?ボクはアホじゃないよ。大体、ちゃんと証拠だってあるんだし♪」
その能天気な声に、俺は軽くため息を付く。こいつが関わってきたことで、ろくな目にあったためしなど無いのだ。
「だってハルちゃんってば、『学園内女装コンテストNo.1』、『彼氏にしたい女の子No.1』、『彼女にしたい女の子No.1』の三冠王じゃん♪」
「がぁああああっ!それを口に出すなっ!それは俺の黒歴史なんだっ!!」
トラウマを刺激され、思わず頭を抱えながら叫ぶ。
「まったまたぁ。女装コンテストに出るくらいなんだし、ハルちゃんだってまんざらでも無いじゃん」
「待てっ!それはお前が無理やり出させたんだろうがっ!!俺はそんなの、出るつもりは無かったんだよっ!!」
女装コンテストが開かれるというのは確かに事前に聞いていた。というか、目の前のこいつに聞かされていた。
それから毎日「出るんだよね~?」とかしつこく付きまとってきたが、俺はそのすべてを黙殺して終わるはずだった。そう、普通はソレで終わるはずなのだが……。
何をトチ狂ったか、こいつは俺の妹と共謀して、コンテストの当日に俺を睡眠薬入りのジュースで眠らせて来やがったのだ。
そして、眠りこけた俺の服を着せ替え、ご丁寧にも後ろ手に縛り上げた上でコンテストの控え室に放り込みやがったのである。
それでも開催直前に目が覚めて、何とか抵抗して逃げようとしたのだが……いや、止めよう。アレは二度と思い出したくない。
「あれ?そうだっけ?でも、大好評だったじゃん。息も絶え絶えで、耳まで真っ赤に上気しt」
「それ以上言うんじゃねぇえええええぇっ!!!」
人のトラウマをえぐり返す馬鹿を全力で止める。周りの視線が集まってくるが、そんなの気にしては居られない。
……つか、なんで俺は未だにこいつの幼馴染をやってるんだ?正直不思議でならん。
俺の名前は東間美晴。女みたいな名前だとよく言われるが、間違いなく男だ。
……が、忌々しいことに俺の顔は非常に女性っぽいらしい。もっとも、主に俺の幼馴染が言ってることなので信用はしていない。
というか、成績も運動神経も中の中という平凡極まりない俺が、たとえ女装であってもコンテストで一位を取るとかありえんだろ。
そして今俺の前に居るのが、幼馴染の手塩最中。一応女子なんだが、間違いなく前に『腐』という文字が付いていると思う。
俺をからかうためなら、あらゆる努力を惜しまない。という迷惑極まりないことを公言し、実行している文字通りのトラブルメーカー。
自称をボクという割には女の子らしい女の子で、今まででもそれなりに告白とかされてきたらしい。……その全員を振った挙句、俺に対して告白するようけしかけるあたり、悪魔的としか思えない。いや、あっさり乗ってマジで告白してくる野郎共もおかしいが。
恐らく、先ほどこいつがあげた黒歴史の全ても、こいつの工作の結果なのだろう。そうでもなければ、俺が1位になる理由が無い。
……そもそも彼氏にしたい『女の子』だの、彼女にしたい『女の子』だの……俺は男だっつーの。まず前提として、票が入ること自体がおかしいわ。
なお、1つアンケートそのものがキワモノだが、そこに対する突っ込みはもうしない。いちいちそんなことに突っ込みを入れてたら、こっちの身が持たん。
「ふっふ~。来月には『抱いてみたい女の子』の投票結果もでるし、今から楽しみ♪」
「oi、間違えた。おい、何をテメェはそんな、公序良俗に反するアンケートなんて取ってやがるんだ?」
「だいじょ~ぶだいじょ~ぶ。ハルちゃんが今回も一位になるのは、規定事項だからね♪」
「やっぱテメェが票操作してんだろっ!じゃなきゃおかしいんだよ!!絶対に!!」
怒鳴り声を上げる俺に、またかといわんばかりの視線が集まる。とどのつまり、俺は毎日このようなことを繰り返しているのだ。
「ただいま~」
ようやく家に到着した俺は、脱いだ靴を綺麗に揃えて玄関へとあがる。返事が無いあたり、お父さんもお母さんもまだ帰ってきてないようだ。
そのまま自室に入り、かばんを置いてベッドに倒れこむ。ぼふっとやわらかい感触が顔を包み込んだ。
「ふぁ~……」
そのまま暫く、顔を掛け布団に押し付ける。普段からストレスの多い俺の生活においては、こういう至福の一時は必須なのだ。
幼馴染という名のストレスから離れ、掛け布団のやわらかさに溺れる。その包まれるような心地よい感覚に、俺はうっとりとして目を細める。
……だが、俺は忘れていた。
「んっふっふ~……」
「!?……しまっ」
この家には、妹というもう一人の問題児が居たということを。
「つっかま~えたっ!ハルちゃん♪」
「ひゃぅっ!?なっちょっ!?やめっ!!」
突然後ろから抱きつかれ、思わず声を上げる。両脇に強烈なくすぐったさを感じて脇を締めるが……。
「んっふふふ~、無駄だよ無駄だよ無駄なのだよハルちゃん!このほなみんに捕まったが最後、ハルちゃんに逃げるすべなど、ありようはずが無いのだ!!」
「ひゃっ!?ほ、ほんとに止めろ穂波っ!!くすぐっ!!ぅ……ぁぁ!!」
「みゅふふ、ハルちゃんってばかわゆいのだ。さぁ、このほなみんが天国までつれてって差し上げるのだ~。はむっ」
「マジで止めっ……!?み、耳を噛むなぁっ!!」
穂波の手によって、あっさりと翻弄されてしまう俺。俺は昔から、この手のくすぐりには弱いのだ。
「あっ……はぁっ!!やめっ!?ひゃあん!!」
「ちゅっみゅふ~、ハルちゃんってば女の子みたいでかわいっ♪」
「ほんとっ……おこ……るぞっ!っひゃあぅっ!」
「んふっ何?怒っちゃうの?怒っちゃうの?怒ったハルちゃんもかわゆいから、大歓迎なのだ♪」
結局、俺は穂波の手で翻弄され続け、ようやく穂波の手から逃れたころには力も入らず、ぐったりとしてしまっていた。
「んっふふ~♪ハルちゃんってば……耳まで真っ赤に上気させて目も潤ませて、息も絶え絶えって感じで。ほんと反則的にかわゆいのだ♪」
くそぅ……い、いつか仕返しを……してやるから……な……。
俺の日常は、そんな幼馴染や妹……そして家族やクラスメート達との、騒がしくも楽しい……た、楽しい?日常だった。
幼馴染も妹も、俺の意見や意思を無視するうざったさ満載な奴らだったが、どこか憎めないような奴だった。
間違いなく、俺は幸せな生活を送れていたのだと思う。……多分、いや、貞操的な何かを無視すれば、うん。
そしていつも通り、家族に対しておやすみなさいと告げ、ベッドにもぐりこむ。心地よい掛け布団に包まれて、もっとも幸せな一時に思わず頬が緩む。
そして、ゆっくりと意識を落としていく。夢の中に意識をもぐりこませていく。
そんな普段通りの感覚に、突然妙な違和感が紛れ込んだ。
まるで何かに掬い上げられるような感覚。いつもの眠るときの感覚とは違うそれに、俺はあわてて焦点をあわせる。
(?……こ、これは??)
眼前に広がるのは夜の街。普段見慣れた、住み慣れた街。
だが、今まで見た光景の、どの光景ともある一点が違う。それは、
(そら?空からの光景か?これ。……ひょっとして、俺は今浮いてるのか?)
これは、航空写真とでも言うべきなのだろうか?
俺は、自分の住みなれた街を空から眺めていた。真下には俺の家の屋根が見えるから、間違いは無いはずだ。
このような夢など、俺は見たことが無い。そもそも、いつもはもぐる感覚なのに、今は浮き上がっていくような感覚がする。
そしてそれは間違いではなかった。ゆっくりと、目に見えて街の景色が遠ざかっていく。俺の家が、どんどん小さくなっていく。
ふいに、思った。
ひょっとしたら、このまま俺は戻ってこれないのではないか?……と。
そう思った瞬間、俺の視界は白く包まれ、その中で俺は意識を失った。
以上が、主人公の日常と異世界へと渡るきっかけです。
たとえ超展開だと言われようが上等。そもそも、異世界に渡るのに納得できる理由なんて提示できるかっ!と開き直りました。
正直R15ってどのあたりから?とか思わなくも無かったのですが、念のためにR15。もっと激しい絡み合いを期待した方には申し訳ありませんが、今後もそういうシーンがあっても大体これくらいの予定です。
次回はプロローグの直後で、変態さんを蹴り倒した後の主人公の行動を綴ります。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。