第4話:謎
その後、菜由は学校に行かずにデートをしようとせがんで来たが…出席日数が足りなくなるとマズいので僕がなんとか説得した。
一番気になるのはララだ…。
まさか本当にこんな事になると思ってなかった。
正直…幸福の支配人とか…信じてなかったし……。
あ…結局なんでこっちの世界の料理作れたんだっけ??
急いでたからあんまり味わってなかったけど旨かったし…。
「だいたい…説明が不十分なんだよな…。」
屋上で空に向かって呟く。
さっきまで菜由も一緒だったが委員会の仕事があったため、名残おしそうに去っていった。
だから屋上には誰もいない。
「何が不十分??」
少しだけ驚いて振り向く…やっぱり……見知らぬ制服を着たララがいた。
「なんでそんな制服着てんだよ。」
ララを指差しながら言った。
「決まってるじゃない。
不審に思われないように。」
いやいや…その制服でも不法侵入になるだろ。
「それここの制服じゃないよ。」
しかもよく見ると古い。
「えっ?だって…あ…。なんでもない……。」
そう言ってララは俯いた。
僕はその重い空気に耐えられず話題を変えようとした。
「あっララって何歳??」
「えっと…身体的には涼と同じくらいだよ。」
身体的には…?
「どういう意味??」
ララがちゃんと答えてくれる気はしなかったが聞いてみた。
「えっ…。あっ幸福の支配人ってね長生きするの!!少しでも長く仕事ができるようにね。でも身体的にはあまり変化はないの。だから最初から年取った感じの肉体してる人もいるし、最初から私みたいに若い肉体をしてる人もいるの。」
若い肉体…ねぇ。
そりゃ若いけど…。
自分でいうなよ。
「なっ何よその目は!!ピッチピチなんだからね!見せてあげる!!」
そういってララはリボンをとり、シャツのボタンを外そうとする。
「阿呆か!!やめろ!」
僕は少し焦って止めにかかった。
そうするとララは思惑どおりと言った感じでニヤリと笑った。
「何本気になってんの??顔が赤いぞエロ坊主(笑)。」
かなり至近距離でララが僕を見ていう。
ここまで近いとララの背の低さが強調された。
「バッ違う!!そりゃ誰でも焦るだろ!!!」
「しょうがないか。思春期だもんね(笑)。」
そういうとララは僕から離れていく。
「何処行くんだよ??」
僕がそう言うとララは振り向きニコっと笑う。
「帰る。もうすぐで彼女もくるみたいだし。邪魔でしょ??バイバイ。」
それだけ言うとララは向き直ってドアの暗闇に消えた。
彼女とは…菜由の事だろう。
一人で帰って大丈夫だろうか。
あれでも結構な美人だし…。
「りょ〜う!!」
菜由の声がドアの向こうから階段を駈け登る音と共に聞こえた。
それでララを心配する気持ちは何処かに行ってしまった。




