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第2話:幸福の支配人




僕が住むマンションの前まで来た。




僕の親は早くに死んで、僕は一人で暮らしている。






親の遺産が結構あったため、暮らしにはあまり困っていない。






僕の部屋がある7階までエレベーターで上った。




エレベーター特有の感覚を感じながら7階についた。




僕の部屋はこの一番奥だ。




少しいつもと違うことに気付く。




僕の部屋の前に誰かがしゃがんでる。


僕は急ぎ足でその人に近付く。




あの少女だった。




今度は白いワンピースを着ている。




そこだけが別の空間なような…そんな感じだった。




僕に気付くと少女は顔を上げた。




そしてまたニコッと笑う。




「何やってんの??」




僕が少女の前まで来て言った。




「あなたに幸福を届けるため。」




少女はキッパリと笑顔で言った。



幸福??


この人…おかしい。




「今私の事変人だと思ったでしょ??説明するから中入っていい?」







「いや…変人とまでは…え?中入るの?」




僕が少し大きな声でいうと少女は僕の口を手で塞ぎ人指し指を立てる。




「シー!近所迷惑でしょ??それとも何?見られちゃヤバい物でも部屋にあるのかしら?」



少女がからかうようにニタニタと笑う。




「ふぇつひひゃひもひゃい!!(別に何もない!!)」




僕が口を少女に塞がれたまま言うと少女は高い声で大爆笑した。



そっちのが…近所迷惑…。




「中入るぞ。」




少女の手を口から外し、ドアに鍵を差し込み開けた。



少女は遠慮なしと言った感じで部屋にズカズカと入っていった。




僕が座る場所を指定しなくても適当にテーブルの前に足を崩して座っていた。




僕がお茶を出そうと台所で準備していると少女はハッとしたような感じで言った。




「あっお茶とかはいいから!!こっちの食べ物口にしたらちょっと面倒な事になるし。」




こっちの食べ物??



とりあえず僕はお茶っ葉を元の場所に置き、少女の前に座る。




少女の顔を初めてまともに見た。



少女とは言っても僕と同じ位の年齢のようだった。



真っ黒な瞳が僕を見つめる。


絶え切れず僕は彼女から目を離した。




「照れちゃってぇ(笑)」




少女がまたニタニタと意地悪に笑う。



「でなんなんだよ!!」






僕は少しムキになって聞いた。



「だぁかぁら〜とっても不幸な高沢涼18歳に幸福を届けに来たの!!それが私の仕事だから!わかった?」




そう言って少女が僕を指差す。




「わかんない。だいたい『こっちの世界』って言ってたけどどういう意味だよ??」




「私はこっちの世界の住人じゃないって事。こっちの世界の人達にこんな職業ないでしょ??」




こっちの世界の住人じゃない?



「こんな職業っ…て??」




気になる所がありすぎる…。




「だぁから幸福を届ける仕事!この職業に就いてる人はみんな特別な力を持ってて、それを指定された不幸な人のために使ってあげるの。」




力…??



おとぎ話じゃあるまいし…。




「例えば?」




「う〜ん…。それは実戦しなきゃ説明できないや!!だから…君が不幸な理由を教えて?」




不幸な理由…??




そんな物ありすぎる…。




「いろいろ…何を言えばいいか…。」




「大丈夫!一回だけってワケじゃないから。君が人並に幸せになれたらおしまいだから。」




人並みに…か。




なるほどな…。




僕に人並みの幸せが味わえるのだろうか…。




「…好きな人にフラれた…。同じクラスの柿村菜由って人…。」




そう言うと少女の顔が少しだけ歪んだような気がした…。




「おっけぇ!その人の気持ち…君に向ければいいんだね!!明日学校行ったら上手くいってるから。」




彼女の気持ちが…僕に…?




まさか…そんな…ハッタリかもしれないし……。




「力使うと疲れちゃうから私寝るね。おやすみぃ…。」




そう言って少女はソファに横になる。




「待て待て!まさか…ここに居座る気じゃないだろうな??」




既に横になった少女に言う。



「当たり前じゃない。幸福を届けるかわりみたいな感じかな??」




眠そうな声で少女が言った。




「あ…私の事は…ララって呼んで…。それが私の仕事上の名前だから…。」




ララ…。




仕事上の名前…?




なんでわざわざ…。




そう思って聞こうと思ったが、少女が寝息をたて始めたので布団を掛けてやった。






明日…か。




そう心の中で呟いて僕はベットで眠った。




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