エピローグ:ある幸福な二人の話
そうだ…あれは1年前。
僕はなんとかあの日目を開けた。
太陽の光にこじあけられて。
やっぱりそこに彼女はいなかった。
僕の中にいた。
今も僕の中で一緒にいてくれるんだ。
嬉しい時に一緒に笑い、
悲しい時に一緒に涙を流し、
二人で一緒に…。
ずっとずっと…。
「好きだよ。」
他の誰でもない…望月彩子へ…。
君の涙は僕を恐ろしい程悲しくさせたけれど…その分の幸せをもらった。
出会った事。
初めてキスをした事。
両親に会わせてくれた事。
好きと言ってくれた事。
僕の中は幸福で溢れて、でもまだ何かを求める。
常に何かを求め続ける僕達は、それに劣る程の幸せを食べて取りあえず保っている。
それが1番の状態。
それもできない人は、きっと幸福の支配人がやってくる。
愛してはいけない人がやってくる。
僕が彼女を抱き締めなければ、彼女は今も『ララ』だった。
僕が彼女を愛さなければ彼女はまだここにいた。
それでも彼女を愛したかった。
今までの恋とは違った感覚。
本当の恋だった。
本当の初恋だった。
また…会えたらいいな。
君の行った場所へ。
どのくらいかかるかはわからないけれど…
その時には、精一杯愛し合おう。
君は今どんな顔で笑って、僕を見てる?
そして…幸せですか?




