表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/142

第075話「少女マンガ無双?」

全体話数。100話は余裕で突破することが「確定」していますのでぇー。通し番号が、三桁対応になりましたー。

「ふんふん……」


 床の上にぺたんと女の子座りしたエナが、鼻息も荒く、熱心に読み耽っているのは――。

 少女マンガ。


 木の床の上にマンガを広げて、自分も座りこんで、さっきから、ずーっと読んでいる。


 あまりにも、もの凄い集中力で読んでいるので――。邪魔しちゃ悪いと思い、俺は物音をたてずに気を遣っていた。息遣いにも注意を払うほどである。


 ……まあ。きっとたぶん。

 金たらいをひっくり返して、どんがらがっしゃんギニャー! とかやったとしたって、気づきもしないに決まっているのだが。


 ちなみに「ギニャー」のところは、昼寝に来ているお猫様がびっくりしてあげる鳴き声だ。スーパーJCのジルちゃんをこの世界に呼び込んだ、黒い毛並みもお美しいお猫様が、Cマートの床の一角をなぜか気に入ってしまって、よく昼寝をしている。

 べつに邪魔にもならんので、放ってある。

 エサもやらんが、居着くのは勝手。Cマートでは、人もエルフも魔物も動物も、ニセ勇者であっても、みんな平等。魔物はべつにやってこないが。ニセ勇者なら、来るなっつーても、よく来るが。


 少女マンガは、試しに買ってきたものだった。

 りぼんのついてるコミックス? とか、なんか、そんなようなシリーズのなかから、適当に持ってきた。


 どの本がおもろいか、なんてことは――本なんか読まない、俺みたいな人間に、わかるはずもないので――。

 いっぱい山積みされてるのが、きっと、おもろい本なんだろう――と、賢く目星をつけて、買ってきたわけだが……。


 べつに「少女マンガ」で無双できると思ったわけではない。こっちの世界で、向こうの文字が読める人間は、かなり少ない。

 前はバカエルフとエナの二人だけだったが、最近は、少々増えていて――。


 たとえばツンデレドワーフが「金属の本」を読みたいがために、字、覚えやがった。――どんな執念だ?

 オバちゃんも、あちらの世界の料理レシピ本をプレゼントしたら、なんか読めるようになっていた。こんどJS/JC向けファッション誌をプレゼントしようと思っている。

 あとは、キングとキングス連中あたりと、キングのとこに詰めているロリ学者さんあたりも、もうとっくに読めるみたいで――。連中。賢いし。


 ――って、けっこういるもんである。


 こんど、本、すこし持ってこようか。しかしどんな本を持ってくりゃいいのかな?

 俺が考えてもわかるわけがない。やはり美津希大明神にお伺いするのが、一番だな。


 ちなみに「少女マンガ」は、思いつきで持ってきたはいいが、どうしたものかと、扱いに困って――。

 見た目JSないしはJCのオバちゃんが、こーゆーの好きなんじゃないかと思って、持っていったら――。「オバちゃん、こーゆーの、わっかんないわよー。発情期、きてないしねえ」とか、意味不明の言葉とともにノーサンキューされてしまった。


 俺はすっかり興味をなくして、ぽいっと、テーブルの上にうっちゃっておいたら、気づけばなんとエナが食いついていた。

 しかもこの超反応。

 金たらいがひっくり返ったって、気づきもしないような、この集中――。


 ――どんがらがっしゃん! ギニャー!


「あー、ごめんなさいですー」


 バカエルフのやつが、本当に、やりやがった。金たらいひっくり返して、轟音を立てていた。バカだこいつ。

 そしてお猫様も「ギニャー! キシャー!」と興奮されている。あーほらやっぱ、「ギニャー」って付くじゃん。なるじゃん。


 ……エナを見る。


 まったく気づいていない。……金たらいひっくり返しても気づかないくらい(、、、)じゃなかった。本当に気がつかなかった。


「……おわっちゃった」


 しばらくして――。

 エナが、ぽつんと、そう言った。


 床の上にぺたんと、アヒルさん座りをしたまま、ぼんやりした目で、俺のことを見上げてくる。

 ――その様子が。うん、かーいー、かーいー。 


「……ねえ。つづき」

「うん? ……ああ、それ、一巻だけしかないんだ」


 俺は言った。


「……二巻。ないの?」

「あるけど。ここにはないなぁ」


 俺は言った。

 だって一巻だけしか買ってきてないもん。


「あっ……、ごめんなさい」


 えっ? えっえっ? ……なぜ謝る?

 ここにきた最初の頃は――、エナは、謝ってばかりだった。

 それが最近はなくなったと思っていたら……。


 なんか……? いま? 謝られた……。


「あのべつに……、催促したわけじゃなくって……。これ。すっごく、おもしろかったから……、だから……、その……ごめんなさい」


 エナはまた謝ってきた。


「え。あ。はい」


 俺は一秒でバックパックを出してきた。二秒で肩に担ぐ。三秒で「仕入れ」の準備を完了した。


「仕入れー……、いってくるわー」

「はい。いってらっしゃ~い」


 五秒目あたりには、バカエルフに見送られて、店を出た。


 しっかし、エナは、いつまで経ってもエナだなー。

 催促くらい、してくれたって、いいのになー。

 そしたらマッハで買ってくるのにー。

はーい。

店主さん、「書名」をよく確認せずに、出ちゃいました~。

ここ大事でーす。


ということで、次回につづきまーす。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ