情愛
情愛
ウインガル公国はミレニアル王国の手によって制圧された。
リュウとミナモは、クロガと共にウインガル公国の転送施設にいた。至る所に爆弾をセットする作業が進んでいた。 「ここを破壊すれば、他の世界を侵略する事はできなくなりますね。そうなれば、我が国の転送施設も必要ありませんね」 リュウの言葉にクロガは頷く。 「そろそろ、爆破の作業にはいりますので、我々もここから離れましょう」 ミナモはリュウの肩を心配そうに見ている。
施設を離れ、爆破の秒読みが始まる。 「爆破、20分前です」 ミナモの双眼鏡が施設の窓に釘付けになっていた。リュウは、ミナモの視線の先を双眼鏡で追った。 「…!?」
白い人影が窓に映る。
「あれは…?!クロガ司令!爆破を中止して下さい!」 リュウは叫んだ。
「リュウさま、20分を切っておりますので、ここからでは無理です。爆弾本体で解除作業を行わなければ解除できません。何があったのですか?」
「ミナミリア姫だ、彼女が建物の中にいる…ミナモ…?」
隣にいたはずのミナモがいない。すると、1台の車が施設に向かって走っていく。 「まさか…ミナモ…?」 リュウは傍に停まっていたバイクに跨り走り出す。
「リュウさま、お戻りください。別の者に向かわせます」
クロガが叫び、戦士に向かうように告げる。
「すぐに戻る、誰も中に入れるな」
リュウはそう言うと、施設に向かってバイクを走らせる。
建物の入り口前に車が止まり、ミナモが建物の中に入っていく。
「ミナモ!戻るんだ!」 しかしリュウの声は届かない。
リュウは、バイクのまま入口に飛び込む。
ガラスを突き破り、階段を駆け上がるミナモを追って、バイクを走らせる。
ミナモに追いつき、腕を掴むとバイクの後ろにミナモを乗せて、走り出す。
廊下の先に白い人影が…ミナミリアだ。リュウがバイクを止め、叫ぶ。
「ミナミリア姫!ここは間もなく爆破される。急いで外に出るんだ!」
ミナミリアはそれに答えず、こちらに向かってくる…剣を構えて…。
走り出したミナミリアは跳躍し剣を振り下ろす。
咄嗟に剣を抜きそれを受け止めるリュウ。
負傷している肩から血が滲み、リュウの顔が苦痛に歪み、剣を落とす。
さらに腰の位置で剣を水平に構え、向かってくるミナミリア。
ミナミリアの剣は、リュウの身体を…貫いたはずだった。
しかし、ミナミリアの剣は何かに受け止められた。
「ミナミリア…大きくなって、素敵になって、気がつかなくて…ごめんね…」
微笑んだミナモが、ミナミリアの目の前にいる。
ミナミリアの剣を受け止めて…。
「姉上…!どうして…あねうえ!」
ミナミリアは泣き崩れる。
「ミナモ…!?」 リュウがミナモに駆け寄る。
「リュウさま、ご無事ですか?」
「俺は、大丈夫だ、しっかりするんだ、ミナモ」
「よかった…でも、またリュウさまに怒られますね…」
「しゃべるんじゃない、ミナモ、必ず助けるから、頑張るんだぞ」
「ミナミリアを…助けて…ください…」
泣き崩れていた、ミナミリアは立ち上がり、
「リュウ王子、姉上を助けてください…」 と、少女のように泣きじゃくっている。
「ミナモも、ミナミリア姫も、必ず助ける。さあ、急いでここから出よう」
リュウはミナモを背負い、バイクに跨った。
「さあ、ミナミリア姫あなたも…」
「…!?」
しかしそこには、ミナミリアはいなかった。
「必ず、姉上を助けてください」廊下を走りながらミナミリアが叫ぶ。
「ミナミリア!戻ってくるんだ!」
リュウが叫ぶも、すでに、ミナミリアの姿はどこにもなかった。
リュウが建物を出ると、リュウを追ってきた戦士がいた。
「爆発まで、後何分だ?」
「あと、5分です」
「ミナモを頼む」
リュウは、ミナモを戦士に託すと、バイクで再び建物の中に入って行った。
「ミナミリア!どこだ、何処にいるんだ」
リュウは、声の限りに叫んだ。
そして、転送装置の前に佇むミナミリアを見つけた。
「ミナミリア!」
「リュウ王子、どうして…」
「ミナモは仲間が運んだ。さあ、一緒にここを出よう」
「わたしは、二度も姉上を刺してしまった。姉上にとって、あなたは大切な人だったのですね」
「ミナモにとって、ミナミリア、あなたも大切な妹だ。さあ、ここから出よう」
「…わかりました。こちらが近道です」
ミナミリアは扉をあけて、リュウを促した。そして、リュウが入ると扉を閉めた。
「!?…ミナミリアどういうことだ」
「この中なら、きっと爆発にも耐えられると思います。姉上の大切な人を護りたいから…」
リュウは扉を叩いたが、びくともしなかった。
「ミナミリア!開けるんだ!ミナミリア!」
ミナミリアは部屋のベッドに横たわり目を閉じた。
「さようなら、リュウ…、…!?…リュウ…りゅうすけ…さん?!」
ミナミリアは、目を開けリュウを見た…
そして、部屋は爆音とともに炎に包まれ…全てを焼き尽くす…
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