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Chapter:02 海原
Episode:09
◇Imad
 ルーフェイアのめちゃめちゃ強烈な膝蹴りから回復するのに、けっこうかかった。
 なんせ手加減してるっても、きっちり急所に決められちゃ、キツいなんてもんじゃない。
 まぁこれに関しちゃ、口滑らせた俺が悪りぃんだけど……でもあいつ、体型ガキなのは事実なわけで。

 とりあえずどこへ行ったかと思って、歩きながらあたりを見まわしてみる。
――あ、いた。
 向こうも気が付いて、少し手を振る。
 それにしたってなにがどうしたんだか、「あの」タシュア先輩といっしょだ。

 俺にとっちゃ信じらんねぇ話だけど、海に落ちた一件以来ルーフェイアは、あの先輩になついてる。タシュア先輩を つかまえて「いい人」って言うのは、おそらくあいつだけだろう。
 しかもよく毒舌食らって泣かされてるってのに、性懲りもなくついてくんだからたいしたもんだ。
 なんでそうなったのかこないだ聞いてみたら、診療所で寝てた時に、「お見舞いに来てくれた」ってことらしい。

 話の内容総合すっとシルファ先輩のほうはともかく、タシュア先輩はお見舞いってのにはなんか程遠い気はすっけど、当人はともかくそういう判断だ。
 で、ともかくルーフェイアはとことん甘いやつだから、それであっさり「いい人」に評価変えたらしい。
 バトルとなったら容赦がないけど、それ以外はあいつ、あきれるくらいに優しいっつーかお人好しだ。

――ま、それがいいとこなんだけど。
 それにバトル自体もぜんぜん好きじゃなくて、否応なしに身体が動くだけって、本人は言ってるわけで。
 もしシュマーなんてワケわかんない家に生まれなかったら、普通にガッコ行ってダチと仲良くして、それで終わりだったろうに。

 でも今はとりあえず、先輩に泣かされないうちに引き取るのが先だろう。
「ったく、もうちっと手加減しろよな。
――って、また泣かされたのか?」
 近づいてみたら、また涙のあとがついてやがる。

「人聞きの悪いことを言わないで下さい。私が泣かしたわけではありませんよ」
 どうにもこの先輩の言うこのセリフは信用ねーから、ルーフェイアのほうを見ると、こいつもこっくりうなずいた。
「あたしが、勝手に……泣いたの」
「お前がそう言うなら、そうなんだろうな」

 俺も甘いな、と思う。毎度こいつの言うこと、鵜呑みにしてんだから。
 そんなこと思いながら、とりあえず先輩の方に向き直った。
「すみません先輩、こいつが迷惑かけたみたいで」
「おやおや、まるで保護者ですね」
「あー、それ、こいつのお袋に頼まれてんで」



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