ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:01 浜辺
Episode:06
「お久しぶりですね」
「――たっ、タシュア先輩!」

 振り向くと真後ろに、先輩が立っていた。
 銀髪と紅い瞳。金髪に碧い瞳のあたしとは、不思議なくらいに正反対の容姿だ。
 上着を羽織ってるけど、その下はちゃんと水着だ。でも、眼鏡はかけたままだった。

 この先輩を見ながら思う。やっぱり勝てないと。
 なにしろこの先輩が片手で軽々と扱うあの両手剣――ラスニールというんだそう――は、あたしじゃ両手で持ち上げるのがやっとだ。
 何よりあたし、先輩の胸あたりまでしか身長がない。体重なんかは倍くらい違うだろう。

 羨ましかった。
 たとえ大人になっても、女のあたしはきっと勝てないに違いない。
 でもあたしは、この先輩が好きだった。細かくは知らないけれど、同じように戦場で育ったということに親近感を覚える。

 それに、この先輩は強い。
 こんな風に生きられたらいいだろうな、そう思って先輩の方を見る。

「何か、聞いてほしいことでもあるのですか?」
 たぶんあたしの視線を違う意味に取ったみたいで、静かな声で先輩がそう言った。こういうことを言う人じゃないと思ってたから、ちょっと意外だ。
 もしかすると、今日は授業がないから、機嫌がいいのかもしれない。

「なんでも……ないんです。ただ、平和慣れが……情けなくて」
 なんとなくため息がでる。
 そして、ふと思いついた。前からひとつだけ、知りたいことがある。

「あの……先輩、えっと、あの……」
「はっきり言ったらどうです。それでは何が言いたいのか、まったく分かりませんよ」
「あ、すみません……」

 やっぱり怒られる。
 でも今日はどういうわけか、それだけだった。だからちょっと勇気付けられて、続けてみる。
「えっと、だから、訊きたいことが……」
 どうにかそれだけ言えた。

「なにを聞きたいのかは知りませんが――面白い話はできませんよ」
「あ、えぇと、そういう話じゃなくて……」
 今度は怒られずに済んだけど、上手く説明ができなくなってしまう。
 でも今日は先輩、いつもより機嫌がいいみたいだった。

「まぁ、答えられる範囲でなら、いいでしょう」
 それでもなんだか言い出せなくて、しばらくためらってからやっと、あたしは聞きたかったことを口にする。
「――先輩のいたヴァサーナって、どんなところなんですか?」
 この間送られてきた手紙に、そう先輩の出身地が書いてあったのだ。




Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。