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Chapter:04 意思
Episode:35
「上手く言えねぇけどさ、けっきょく何でも、なるようにっきゃならねぇだろ。
 だから何もしねぇってのはヤベぇけど、やれるだけやったら、あとはしゃーねーって」
 ルーフェイアのヤツが下を向いた。
 唇から言葉がこぼれる。

「けど、もし、もう少し……」
 何かやれてたら、ってんだろう。俺もこれは昔やらかしたから、少し苦くなる。
 けど――だから言える。

「しゃぁねぇって。俺らカミサマとか、そゆのじゃねぇから、何でもはできねぇよ」
 つらい諦め。チビの頃信じてた、何でも出来るって気持ちを捨てるのは、楽しいもんじゃない。
 けど、それが現実だ。

「やれるだけやっても、気がつかねぇとか足りねぇこと、あるさ」
「………」
 たぶん真面目なこいつは、「どうしようもなかった」ってことを、受け入れらんなかったんだろう。

 誰も悪くないってのは、ある意味で逆につらい。憎む相手がいたほうが、ずっと楽だ。だからこいつは自分を責めて、自分を納得させてたんじゃねぇだろうか。
 つか、俺もそうだった。
 けどどんなに責めても、過ぎたことは変わらない。だからある程度で見切りつけて、進まなきゃダメなんだと俺は思う。

「てかさ、こんなこと言ったら、怒るかもしんねぇけど。
 けどおまえの兄貴、おまえのそういうの、喜ばねぇんじゃね?」
「――!」
 何かに気がついた、ルーフェイアのやつがそんな顔をする。

「おまえの兄貴よく知らねぇから、あんま言えねぇけどさ。でも、そんな気がすんだよな」
「そう、かも……」
 ふっとこいつが、何かを吐き出すみたいに、ため息をついた。
 受け入れたくねぇけど、受け入れるしかない。そんなルーフェイアの表情。
 それから、言う。

「……ごめん」
「いいって」
 何が、とは聞かなかった。だいいちこいつ自身も、突っ込まれたら答えらんねぇだろう。
 今までのいろんな重いものに、ある程度ケリつけてくれりゃ、俺としては十分だ。

「とりあえず、もちっといいとこ見ろよ。あんま後ろ向いてっと、よけい落ち込むぜ?」
「……そうだね」
 こいつが淡く微笑む。今までと少し違う、穏やかな笑顔だった。

――やっぱ素直だよな。
 人になんか言われたからって、普通はこんな簡単に、変わろうなんてできない。けどそれがやれるのが、ルーフェイアの強みだろう。




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