「ミル、てめぇなに考えてるんだよっ!」
「だって、撃ったらそうだったんだもん★」
と、ごつん、と景気のいい音がした。
「あ〜、もう、いったいなぁ! せっかく撃ったのにひどい〜!!」
「弾確認しないで撃つ方が、どうかしてるんじゃないのかい?」
いつのまにか傍へ来ていたシーモアが、ミルの頭を殴りつけたらしい。
「いいもん、もうやんないから!」
「二度とやるんじゃないよ!」
非常時だってのに、まるで漫才だ。けど幸い、海竜は暴れるのに必死で、ルーフェイアたちを襲うの忘れてやがる。
今のうちに足止めしておけば……。
「アーマル、お前いつもの武器、持ってきてっか?」
後ろへ来ていたダチの一人に、声をかける。
「サブのヤツなら」
「じゃぁ悪りぃ、ちょっと手伝ってくれ。氷矢あるか?」
俺が使う武器は、どれも射程が短くて、こういう状況だと行動が限られちまう。けどアーマルが使っているクロスボウ系は、かなりのロングレンジだ。
「さすがに氷矢は、持ってきてないな」
「んじゃ空っぽのヤツ」
「ほいよ」
ダチがひとまとめ、俺に矢を渡す。鏃が空の魔力石で出来たやつだ。
それを手にとって、魔力を込める。何でか知らねぇけど、俺は昔っから、魔方陣とかナシでこれが出来た。
海竜の方は相変わらず、すげぇ勢いで暴れてる。
――ったく、ミルのヤツ、どうしようもねぇな。
毎度のことながら、あいつが絡むとなんだって、こうも事態がややこしくなるんだか。
「おし、これ頼むわ」
「オッケー」
今までいっしょにやってきたダチだ。何も言わなくても、何をどうするかなんて通じる。
立て続けに矢が放たれた。
「よっしゃ、全部いったぜ」
「さんきゅ」
礼言って、俺は集中する。
――行け。
手応えがあった。
石に込めておいた魔法が、発動する。
込めておいた魔法は氷系だ。だから海竜の身体を中心に、氷が浮かび始める。
もっとも俺の魔力じゃ、どうやったって全面凍結ってワケにはいかない。
けど、あいつなら。
そういう確信が、俺の中にあった。
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