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Chapter:02 海原
Episode:16
「あの、ほんとに……いいんですか?」
 シルファ先輩に教えてもらえるなら、言うことなんてない。だいいちミルじゃ恐ろしすぎる。
「まぁ……私もそれほど、上手いわけじゃないんだが」
「いえ、そんなこと! あの、よろしくお願いします」
 けどあたし、まだ甘かった。

「あ、いいなぁ! ルーフェイアってば、ひとりでずるぅい、あたしも〜!!」
 ミルの嬌声が響く。
「ちょっとミル、そんなこと言ったら迷惑だよ……」
 とっさにナティエスがなだめに入ってくれたけど、その程度でミルが止めるわけがない。

「あ、えぇと……それならみんな、来るといい」
「やったぁ!」
 結局、押しの強いミルの勝ちになった。
「……先輩、ほんとにすみません……」
 ひたすら謝る。

「いや……気にするな」
「すみません……」
「ほんとうに、気にしなくていいから……」
 いけない。このままじゃ同じセリフの堂々巡りだ。

「えっと、あの、そしたら……よろしく、お願いします」
「ああ、わかった」
 どうにか無限ループを抜け出して、海のほうへとみんなで歩き始める。

 タシュア先輩はシルファ先輩にちょっとうなずいて見せただけで、こっちへはこなかった。やっぱりミルと一緒は嫌なんだろう。
「じゃぁ、ちょっといってくる」
「いってらっしゃい」
 シルファ先輩に、そう返しただけだ。

 それにしても、意外だった。
――何も言わないなんて。
 なんだかかえって怖い気がして、シルファ先輩に尋ねてみる。

「先輩、タシュア先輩、何も……言わなかったんですけど……」
「うん? ああ、泳ぎのことか。ルーフェイアがきちんと、泳ぎを習おうとしているからだろう」
「え?」
 なんかタシュア先輩って、なにをやっても毒舌で締めくくってしまうのかと思っていたけれど、どうも違うみたいだ。

「上手く言えないが……出来ないことそのものには、あまり、タシュアは言わないな」
「そう、なんですか」
 ようするにきちんと努力しようとすれば、それなりに評価するってことらしい。
 なんだかそれをすごく不思議に思いながら、シルファ先輩に連れられて海へ入った。




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