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Chapter:02 海原
Episode:14
「ケーキ、だけじゃないんだ」
「ケーキ?」
 ナティエスがなんのことか分からない、という顔をした。

――そういえば例の話、イマドとロア先輩しか知らないんだっけ。
 ナティエスたちには、なんだかタイミングを逃して、けっきょく言ってなかったはずだ。
「えっとね、その……前に診療所で寝てたとき、あの先輩がケーキ……持ってきてくれて」
「うそぉ、いいなぁ!」
「それ、羨ましすぎかも」

 二人が声を上げる。よく分からないけど「シルファ先輩のケーキ」は、特別なものみたいだった。
 でも確かに、なにが入っていたのかはいまだに分からないけれど、とてもおいしかったのは事実だ。

「あたし……ちょっと、行ってくる」
「なになに、ルーフェイアったらシルファ先輩のとこ行くの? んじゃあたしも〜♪♪」
「あ、抜け駆けとかずるい。あたしも行く」
 結局3人で行くハメになった。

――あ。
 少し近づいてみたらタシュア先輩、感じがいつもとぜんぜん違う。
 なんと言ったらいいんだろう……そう、すごく穏やかな感じ。
 シルファ先輩がタシュア先輩にとってどういう人か、やっと分かってなぜか嬉しくなって、もっとそばまで行く。

「まだ何か?」
 あたしたちが行くと、タシュア先輩が少し呆れたような声をだした。
「えっとぉ、ルーフェイアが用なんで〜す♪」
 第一声を発したのはミル。あたしが何か言う間もなかった。

 それにしてもミルの神経、極太のザイルででもできてるんだろうか? この先輩相手に平気な顔だ。
 そして彼女、今度はシルファ先輩に向き直って一言。
「――89、59、88?」
 聞いた先輩たちが、怪訝な表情をする。

「ねぇ、ミル。その数字……なに?」
 あたしは意味がわからなくて、ミルに訊いてみた。
「あれ、ルーフェ知らないの? えっとねぇ、だから上からなの♪」
「上から?」
「もぉルーフェイアってば! だからムネがぁ……ふみゅっ?!」
 そこまでミルが言いかけたところで、ナティエスが強引に彼女の口をふさぐ。

「ミル! いくら先輩がスタイルいいからって、いきなり何言ってるのよ!
 ルーフェイアも訊くんじゃないの!」
「え? そうなの?」
 結局なんのことかは、分からずじまいだ。
――あとで、イマドにでも訊いてみよう。



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