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Chapter:02 海原
Episode:13
「あ、船〜♪」
「ほんとだ〜」
 ミルとナティエスが、歓声を上げた。
 つられて沖を見る。

 突き刺さる陽射しの下、あたし改めて海を見た。
 瞳に飛びこんでくる碧。
――広い。
 それに海って、こんなに綺麗だっただろうか?

 遥かな碧さ。
 煌く光。
 遠い彼方で空と混じって、そこで青が変わる。
 立ち昇った雲が、目に痛いほど白い。

 そうだ、あたしずっと憧れてた。
 海の色はあたしの瞳と同じだと、ずっと聞かされていたけど。
――ほんとうだったんだ。

 思い切って、一歩海の中へ入ってみる。
 冷たい感覚。
 波が流れていく。
 無限の回数続く、潮騒の音。
 きっとあたしが産まれる前……ううん、シュマーという家が生まれるずっと以前から、同じ音だったんだろう。

――この碧い海に訊いたらきっと、人が忘れてしまった昔も分かるのかな。
 その時、ふわりとあたしの視界を、影がよぎった。
 驚いてその影を追いかける。
 視線が行きついた先には、投げられたタオルを鮮やかに受け取った、女子の先輩がいた。

 まとめあげた艶やかな長い黒髪、紫水晶を思わせる瞳――この間お世話になった、シルファ先輩だ。
 背が高い上にスタイルがいいから、黒のシンプルな水着がよく似合ってる。
 シルファ先輩、タオルを羽織るようにしながら海から上がってきて、向こうへと歩いていく。そして投げた人――もちろんタシュア先輩――と、話し始めた。

「なに見てるの?」
 不思議に思ったらしくて、ナティエスが訊いてくる。
「うん、ほら」
「あ、シルファ先輩じゃない。やっぱり素敵だなぁ……」
「あの先輩さぁ、いつ見てもカッコいいよね〜♪ スタイルもすっごいいいし〜♪♪」
 ミルも隣へ来てはしゃぎ始めた。

「しかもさ、いつも美男美女で並んでるんだもん。もぉサイコー!」
「いつも?」
 仲が良さそうなのは知ってたけど、そんなにだとは思わなかった。
「あれルーフェ知らないの? シルファ先輩、タシュア先輩のカノジョだよ」
「有名だよね、その話」
 二人が言うところを見ると、学院内じゃよく知られてるみたいだ。



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