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ハガユキ恋
作:中里しのぶ


好き、大好き。僕は彼女のことが大好きだ。肩にかかる髪をかきあげて、ニコっと笑われたら、僕はもう、なにも見えない。
彼女のことを思うと、なにかこう胸が締めつられるような、心が縮まるような、ヘンな気持ちになる。目をつむっても彼女が見える......眠れない。毎日寝不足、クマさんだ。それでも目は彼女を見つめてる。
僕はそれを繰り返す。
いつもいつも、盲目になっては心の病気に。
僕に勇気があったら、前に進めるのに。何度そう思ったか。
でも、今日は違う。決心したんだ。
今、目の前に大好きな人が。彼女はゆっくりと靴を履き門を出る。独り言でも聞こえちゃう距離だ。大丈夫、大丈夫。


好き、かもしれない。いつも私のことを見つめてる彼が好き。
彼は気付いてないけれど、笑ったとき右のほおに、えくぼができる。かわいい。知ってるのは私だけ。かわいいのはそれだけじゃない。授業中、目が合って笑ってあげると、恥ずかしそうに笑顔を返す。そのときも、ちゃんとえくぼは付いてくる。やっぱりかわいい。
でも、向こうはかわいいなんて......好きだなんて思っていない。いっつもクマの目で私を見てるだけ。もしかしたら私じゃなくて、他の誰かを見てるのかも。
あぁ、なんだかじれったい。私じゃダメなのかな。
そう思いながらいつものように靴を履いた。いつものように門を出る。

いつもと違ったのは、呼び止められたこと。かわいいえくぼが私を呼んだ。

 


恥ずかしい。兎に角恥ずかしい。書いてる本人が一番恥ずかしい。書いたあとも、また恥ずかしい。
あぁ書かなきゃよかった、恥ずかしい。













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