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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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一時解散

 現状では待つしかないALMのメンバーはひとまず解散した。だが、阿良田は湧哉に忠告を残した。
『お前が教頭と追いかけっこをしたのはお前のクラスのやつらも知っているはずだ。おそらく戻ったとたんに質問攻めにあうだろうが極力詳細は答えるな。下手なことを口にすると後々面倒になるかもしれん』
 例えるなら問題を起こした著名人にマスコミが群がるような状況だろう。もちろん湧哉は前者であり、後者は周りの友人知り合いだ。顔を知っている仲ではあるし、向うも仕事でやっているわけではないのでそこまでしつこいことはないだろうが……。
(あんなこと言われたら逆にやりずらい……)
 教室から少し離れた廊下で中の様子を窺っていた。幸い扉は開いていたので中の様子は見える。
 現在教室は中だるみ期間のようだった。皆好き勝手に談笑している。
 さあ、ここにどうやって入っていこうか。何食わぬ顔でいつも通り行くのか、それともこっそりと抜き足差し足で行くのか。想像はしてみたもののどちらも結果は見えている。このままここにいても仕方がない。
(まあなんだ。さっきのに比べればなんてことはないはずだし、何食わぬ顔の方でいいだろ。いつも通りいつも通り……)
 もはや考えるのも面倒になってきたのか何も考えずに行くことにした。この行き当たりばったり感は確かにいつも通りだ。
「……」
 教室に足を踏み入れたが、始めは誰も気が付かなかったようだった。しかし、奥に進むにつれてそんなわけにもいかず……。
「あ、畑原」
「お前何やってんだよ!」
「教頭に追われてたって何しでかしたんだ!?」
「どうだった? 叱られたのか?」
「あの後どうなったの? 捕まっちゃったの?」
「話聞かせろよ!!」
 席に戻る前に湧哉はクラスメイトに囲まれてしまった。進むこともできなければ戻ることもできない。
「いや、えっと、それは」
 先ほどうまくいったからといって今回もそうとは限らないものだ。まあ心境的には楽な方だが。
「はいはい、みんなそこまで。畑原くん困ってるよ」
 手を叩きながらみんなを制すのは委員長の澤だ。澤の行動にみんな少し冷静になったのかゆっくりと元の位置に戻っていった。
 やっとのことで席に戻った湧哉を迎えたのは悠だ。
「なんかいろいろ大変だったみたいだね」
「ああ、疲れたよほんとに」
「ほんとにびっくりしちゃったよ」
「澤もサンキューな。正直こっちの方がどうしたらいいかわからなかったんだよなぁ」
「どういたしまして。やっぱり何かやっちゃったの?」
「……」
「あ、ごめんごめん。でも気になっちゃって」
「気になるのはわかるけど何も話せないからこれは勘弁してくれ」
「ハタハタが走り回ってるのを見た時はああついにやっちゃったのかーって思ったけどね」
「え? お前見てたのか?」
「帰ってくるの遅いからどうしたんだろうと思って外に出たらなんか騒がしかったからね」
「私も教室にいたけど教頭先生の声は聞こえてたよ。それで外に出る人もいたぐらいだから」
「教頭先生の前を通るときハタハタがすごい緊張してたからね。何かあると思ってたけどまさかこんなことになるとはね。でも気を付けないとだよ」
「うん。もし騒ぎが大きくなっちゃったら大変だもんね」
「……」
 既に大変なことになってしまっているのだが、そこを口に出すわけにはいかない。直に皆も知ることになるんだろうが今は黙っている方がいいだろう。
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