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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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1人作戦会議

「だがしかしな、この賑わいようじゃあ奥崎先生がどこにいるかなんて聞いてる者はいないだろうからな」
「代わりに聞いてくれたりなんて……」
「それくらいは自分でやれ」
「で、ですよね」
 できれば関わりたくはないが、奥崎の居場所を知るためには教頭へ聞いてみるしかないようだ。ただでさえ終わるかどうかわからない旧校舎取り壊しの意見集めをこれ以上遅らせるわけにはいかない。
 谷口に一礼した湧哉は一度職員室の外に出た。このまま策もなしに教頭に会うのは心もとなかったのだ。今頃奥崎や阿良田が何か証拠を見つけている可能性もあったがそれは確実でないし確率の低いことだ。当てにはできない。湧哉はどうしたものかと頭を働かせる。
(さすがに視聴覚室でのことは覚えてるだろうからなぁ……。教頭なら根に持ってて教えてくれないかもだし。それにあの顔……)
 考えながら先ほどの教頭を思い浮かべる。人が大勢いる空間で人目もはばからずに頬を釣り上げて笑うあの表情に再び寒気を覚える。
(いったい何を見たらあんな顔いなるんだよ……。待てよ?)
 教頭の席は職員室の一番西側にあたる。席の後ろは壁になっており、わざわざそこを通る者もいない。だから教頭のパソコン画面に何が映っているのか見られることはなさそうだ。となればそこに安心して見られてはまずいものを見ている可能性もある。
(もしかしたら盗撮の写真……とか?)
 さすがにそんなものを職員室で見るとは思えないが、可能性はあった。たった今それを見ているのなら教頭の気を少し逸らすだけ発見できるかもしれない。証拠を持ち出すことはできなくとも、その場で他の教員にそれを見せてしまえばいい。谷口の話では教員たちの間でも教頭は良い印象を持たれていないはずだ。決定的なものがあれば教頭に大打撃を与えられるだろう。
 問題はどうやって教頭の気を逸らすかだった。ALMがようやく一丸となっているこのときに、ALMの決まり事から外れるようなことをしてはまた面倒なことになる。
「……マジかよ」
 思いつくこと方法が1つだけあった。それはどうにも気乗りせず、自分でも馬鹿げているという一方、成功するだろうという確信もあった。秘密裏にと言うのはできなそうだが、湧哉一人いれば可能で、他の誰も巻き込むことない。ただこれまでにあったことを利用すればいいだけだ。
「や、やるか?」
 もはや勢いだけが全てだった。湧哉は職員室の戸を開けると再び中へ入っていった。
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