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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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被害者

「でも、確証があるってことは証拠があるってことですよね? そんな確証があるならなんで突き出さないんですか?」
「それは私が握っているわけではないんだ。だが確証はある」
「なんなんですかそれは……」
「それはだな……」
 奥崎は言葉を濁すとチラッと視線を横に送った。隣にいた古野濱は身を小さく縮めてしまった。それが何を意味するのかは湧哉にもわかってしまった。
「まさか古野濱先輩が被害者……?」
「……」
 奥崎は何も言わずに眉間にしわを寄せる。怒っているのか困っているのか、はたまたその両方なのか。判断は付かない。古野濱は恥ずかしいのだろう、更に身を縮めてしまい顔と机がくっ付きそうなほどだった。
「何度か教頭に詰め寄られたことが、あるらしくてな。その時に写真を見せられたんだよな?」
「……」
 古野濱は無言の首を少しだけ縦に振った。普段何もないところでは明るく振舞ってはいるがなかなかできる事ではないだろう。
「それなら猶の事じゃないですか。古野濱先輩の証言があれば調べてもらうことぐらいはできますよね?」
「そんなに簡単じゃないのさ。そうなれば古野濱のことが全校に知られることになる。そうなってしまったらこの子はこの学校には通えなくなる」
 教頭が生徒の写真を勝手にとっていたとなれば大問題だ。新聞にも載るかもしれないしテレビで放送されるかもしれない。その時に一体誰が被害者なのかという話になればこの学校とは無関係に人からはわからないが、生徒や教員にはわかってしまうことだ。古野濱の性格を考えればそんな写真を撮られたことが知られてしまったらこのまま通うことはできそうにない。古野濱を守るために古野濱がここから離れてしまうのではなんの意味もない。
「だからALMでそれを証拠を見つけようとしていたわけだ。だが教頭はなかなかぼろをださなかった。記念館の資料管理のこともあって教頭を何とかしようとしていたわけだが、どうにもならない。普段は犬みたいにワンワン言い散らすだけだが、意外ときっちりしているみたいだな」
「つまり、今は手が出せないってことですよね」
「そういうことになるな。証拠のカメラか写真が見つかれば一発なんだが……」
 それを得る手段はなかなか難しそうだ。強引な方法はもうしないと言った奥崎だったが他に手がない。それでは現状を好転させることはとてもできないのだ。尻尾を出さない教頭をどう捕まえるか。そこが問題になる。
「答えづらいかもしれないんですけど、古野濱先輩が見せられた写真っていうのはどこで撮られたんですか?」
「どういうことだ?」
「俺が先生に忍び込まされたのは女子更衣室とトイレ、それから新任の先生の机の物を探したりだったわけで。まあ焦っててくまなく探したわけじゃないですけどそれでもなかった。と言うことは他のところってことですね? 場所がわかればいくらか探しやすいんじゃないかと思ったんですけど……」
 写真を撮られた場所がわかれば事は前進するかもしれない。しかし、証拠写真を見たのは古野濱だけなのだ。それは彼女にとっては思い出したくないこと。自分が話せばという思いもあるのだろうが、古野濱は固まったまま動かなかった。
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