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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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秘密だったと

 古野濱はいつものように興奮してしゃべらないようにしているのか、口を閉じながらそわそわとしている。やはり隠し事はできない性格で、態度を見れば何か知っていることは一目瞭然だった。
 湧哉も自分の秘密が知られていると思うと気が気ではない。古野濱がそのことを言いふらすような真似をするとは思えないが、もしかしたらという考えは頭から離れないものだ。不安が身体を震えさせた。知られたくない話なだけに悠が戻ってくる前に明白にしたいがのだ。
 店内はにぎやかなのだがこの席だけは全く音を立てないおらず、張り詰めたような空気が流れていった。
「あ、あの―――」
 その緊張に耐えられなくなってか古野濱が口を開いた。
「―――畑原君がやってきたことは、し、知ってるの」
 古野濱の反応からそうだろうとはわかっていたが、そうだと言われると辛いものがあった。
「で、でもね、こ、この話は私だけじゃできないから、ちょっと相談してきても、いいかな……?」
「相談って、いったい誰と……?」
「阿良田君と……奥崎先生……」
 古野濱は申し訳なさそうに二人の名前を絞り出した。その名はどちらも湧哉のやってきたことを知っている人物であるかつ、同じ部活という共通点があった。今までのことはすべてその部活がらみだったとでもいうのだろうか? しかし、湧哉が女子更衣室に忍び込んだり、女性新任教師の机を漁ったと知っていたにも関わらず、古野濱は湧哉と普通に接していた。嫌悪感を表してもおかしくはないはずだ。それでも何事もなく接していたということは―――。
「俺がやらされていたことは、部活が関係あるってことですか?」
 湧哉の問いに古野濱はゆっくりと頷いた。
 おかしな部活だとは思っていた。阿良田と古野濱はそのことをやけに秘密にしたがる。そもそも、部活に所属しているという話は聞いたがどんな活動をしているのかというのは全く聞いたことがなかった。
 古野濱は奥崎、阿良田の二人と相談したいと言っているが、湧哉は今ここで問い詰めたい衝動に駆られる。奥崎は湧哉のやらせていたことは教頭に口出しをさせないために材料を探していると言っていた。これは奥崎と自分だけの秘密だと思っていたがそうではなかった。ならばなぜそれが知らされなかったのか。
 古野濱の視線が湧哉の後方に向いた。おそらく悠が戻ってきたのだろう。この話はここで終わりにするしかない。悠にまで知られてしまうことは避けたかった。
「明日、必ず説明するから」
 古野濱の言葉は約束というよりお願いのようだった。それは口を滑らせたときのような慌てたものではなく真剣なもので、彼女の誠意が感じられた。
「わかりました。明日、絶対に説明してもらいますから」
 その後、何も知らずに戻ってきた悠を交えて何事もなかったかのように記念館に関する会話が始まった。
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