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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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図書室での再会

 湧哉と悠は古野濱を探してた。古野濱のクラスは奥崎から聞いてきたのだが、本人は教室にいなかった。
 悠も古野濱と顔合わせがしたいというのでついてきたのだが、古野濱には教頭とつながりがあるのか聞かねばならない。少々やりにくいのだがうまく断る理由が思いつかなかった結果である。
「どこにいるんだろうね? 心当たりないの?」
「俺も知り合ったのは一昨日だからわからないんだよ」
「そっか~」
 わからないとは言ったが頭の中では考えていた。言った通り出会って三日目であり、お互いの事を話すこともなかったので詳しいことはさっぱりだったが彼女の雰囲気からして人が多く集まる場所にいるイメージはなかった。そうなれば静かなところか。校内で静かな場所と言えば―――。
「図書室か?」
「なんだ。心当たりあるんじゃない」
「心当たりっていうか、いそうなイメージってだけだけど……」
「いいんじゃない? 行ってみようよ」
 二人は一階の北西にある図書室に足を運んだ。



 廊下ではまだ校舎に残っている生徒たちの声が聞こえていたが、図書室の中に入ると防音がしてあるのか、外の音は全く聞こえなくなった。日が当たらないためか表と比べると蛍光灯の数が多く人工的な光で満たされている。手前にはテーブルが横に2つ並べられており、それが奥に向かって平行に4列並んでいる。テーブルでは本も読んでいるいたり、参考書を並べて勉強している者もいる。静かなこの場所を好む者は割と多いようだ。その更に奥には天井まで届く本棚がずらりと並べられていた。
 そんな中から目的の古野濱を湧哉。悠は古野濱の顔を知らないので湧哉が見つけるのを静かに待っていた。湧哉は部屋全体を見渡すが目的の人物はいない。こちらに背を向けている者もいたが、古野濱と思われる人物はいなかった。周りが静かなせいもあって湧哉は小声で話し始めた。
「ここにはいないみたいだ」
「もう少し奥のほうとかも探してみようよ。もしかしたら本を探してるのかもしれないし」
「そうするか」
 テーブルのわきを通って本棚が並んでいるスペースへと移動した。本棚の高さのせいで反対側までは見ることができないのでその間を縫うように歩くと悠が何かに気が付いた。
「ここって―――」
「どうしたんだよ?」
「ここの本、全部じゃないだろうけど旧校舎の時からある本だよ。この新校舎になってから買ったものにしては年季が入ってるもん」
「確かに。全然気が付かなかった」
「図書室には来ることなかったからわからなかったなぁ」
 旧校舎時代から使われていたものが今も使われていることに感激した悠は本棚を見渡した。彼にとっては昔に戻った気分なのかもしれない。
 校舎入れ替えの際に全ての備品は新品に取り換えられている。生徒が入ってからまだ1年半ほどのこの校舎ではそれらはまだ真新しい。そんな中でここは使い込まれた本が落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
 悠は本を一冊手に取ると奥付のページを開いた。
「出版は今から30年ぐらい前だね。今でも重版されてるけど、なかには新品じゃ手に入らないものもあるかもね」
「それじゃあここにある本はもう手に入らないってことか」
「新品がずらーっと並んでるよりはこっちの方が貫禄があるんじゃない? 仮にも歴史ある学校なわけだからね」
「だからって、ここだけ貫禄出しても仕方ないだろ」
「ハハハッ、そうだね」
 悠は手に取っていた本をゆっくりと本棚にしまった。その表情が少しうれしそうなのは湧哉にもわかった。
「新しい発見はあったけどやっぱり古野濱先輩はいなさそうだ。他のところ探すか」
「どこにいるんだろうね」
「さっぱりだな……って、うわあ!?」
 後ろにいる悠を見ながら歩いていた湧哉は本棚の角を曲がったところで誰かとぶつかってしまった。相手の持っていた本が宙を舞い大きな音を立てて落ちた。読書や勉強をしていた生徒たちは一瞬集中が解けてしまったようだったが特に気にした様子はなかった。
「す、すみません! 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。こちらこそ悪かったな」
 相手は前かがみになって落ちてしまった本を拾い上げていた。細長いレンズの淵なし眼鏡にそれを覆う前髪。湧哉には見覚えがあった。
「あ、あんたは……」
「おや、畑原湧哉か。こんなところで会うとは奇遇だな」
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