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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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順調か?

「なあ、柳鳥」
「畑原君? ど、どうしたの?」
 湧哉が声を掛けると話しかけられると思っていなかったのか柳鳥は身を縮めた。
「高坂と木梨がまだ来てないみたいだけどなにか聞いてないか?」
「え、えーっと、ちょっと遅れるってすみれちゃんが……」
 柳鳥は胸の前で手を手を組み何か考えているようだが、どうも落ち着きがない。組んだ手はもぞもぞとしているし、時々合う視線はすぐにそらして床に向かってしまう。古野濱と似ている気もするがあちらは話しかけられて困った様子を見せることはない。今の柳鳥は話しかけただけでだというの湧哉が怖がらせてしまっている様に見えてしまう。
「二人一緒に来るのか?」
「う、うん」
 湧哉の質問ににコクリと頷く柳鳥。遅れているが来るというのなら、今すぐに対処する必要もないと判断した。来ていないのは彼女たちだけではないこともあった。
「そうか。わかった、ありがとな」
「うん……」
 柳鳥との会話が終わると、湧哉は屋台係の進み具合を確認することにした。
「どんな感じだ?」
 こちらには特に親しい人物がいるわけではなかったため、全体に向けて問いかけた。すると目の前にいた男子がこちらに振り向き進行具合を話してくれた。
「今役割分担を決めたところ。女子の何人かがデザイン考えてくれるみたい。屋台の材料は毎年お世話になってるスーパーで段ボールをもらってくることになった」
「順調そうだな」
「そりゃあね。早くに集まるぐらいだからみんな積極的だよ。うるさく意見する人もいないし」
 名前を出したわけではなかったが誰のことを言っているのかはすぐにわかった。高坂の事なのだろう。
 高坂は昨日のことからもわかる通り、人当たりが良くない。ずばずばと自分の言いたいことは口に出し、態度にもすぐに現れる。協調性もないため他人からはあまり良い印象を持たれないのだ。湧哉の中でも高坂はできれば関わりたくはない部類だ。ただ、理由もわからないのにも関わらずここにいない彼女のことを悪く言うことは気が引けたのでそこで会話を終わらせることにした。
「決まったことがあったら後で澤に渡すから決まったことをメモしといてもらっていいか?」
「オッケー。やっとくよ」
 調理係と同じようにメモを頼み湧哉はそこから離れた。
 調理係の方はもう終わったのかいくつかのグループに分かれて談笑している。調理係は当日までそれほどやることはない。あとは細かい調整と事前に調理方法を確認することだが、今すぐにできることはなさそうだ。
 澤が戻るのにはまだしばらく時間がかかるだろう。湧哉は1人席についている悠のところへ向かった。
「お疲れさん」
「うん。はい、これ」
 悠はメモの書かれたルーズリーフを湧哉に差し出した。仮ではあるが文化祭当日の時間毎役割表だ。目を通すとやはり大きく穴が開いてしまっている時間があった。
「午後の空きが多いな。去年もこんな感じだったけか?」
「去年は一日中走り回ってたから覚えてないよ。でも毎年文化祭に来ていた雰囲気だとそんな感じだと思う。討論会の盛り上がりそうな議題は最初と最後に持ってこられたりするからね。皆その時間は体育館に集まって校舎から人が減ってたよ。それを知らなかったら去年は逃げきれてたかどうか……」
 毎年訪れていた悠には見当が付いていたらしい。去年の男装女装喫茶の件もあって湧哉はその辺のことはあまり覚えていなかった。
「いろいろな詳細が決まっていったら多少は空も埋まると思うからもう少し待ってみようよ」
 悠は新しい紙を取り出すとそこにペンを走らせながら言った。確かに待ってみるのが良いのかもしれないが、湧哉はもしこの穴がすべて澤に向かうのだとしたら彼女が不憫でならなかった。
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