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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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手際よく

 翌日、湧哉と悠は午前10時に悠の家を自転車で出発しようとしていた。今日は文化祭の準備のために学校に向かうのだが普段と比べると遅い時間だ。これは文化祭の準備は自由参加であり、用事がなければ行く必要もなく、出席確認があるわけでもないからだ。開門と同じ時間に行く者もいれば夕方近くになって現れる者もいる。しかし校則上は問題ないとはいえ、自分の役割をすっぽかすことはクラスの一員として許されるわけはないため遅くとも昼過ぎには教室にいることが通例となっている。今の時間ならばその時刻よりも早く着くことになる。しかし、二人はその前によるところがあった。
「記念館までどのくらいかかるんだ?」
「自転車なら10分かからないらすぐだよ」
「そこから学校まで15分ぐらいだよな。ってことは12時に記念館を出ればいいんだな」
「そうだね。購買で何か買ってお昼食べるぐらいの時間はあるね」
「1時間ちょいでどのくらいできっかな」
「昨日の結果から考えると二人で28人だけど多少は前後するだろうね」
「はあ~、先が見えねえ」
 全部で一万人に連絡を取ろうとしているのだからまだまだ終わりは見えない。
 それから10分程自転車をこぎ続け二人は記念館に到着した。そこには見覚えのある車が停まっている。その横でスマートフォンをいじっているのはもちろん奥崎だ。
「おはようございます奥崎先生!」
 自転車を止めてすぐ悠は奥崎へと駆け寄っていった。
「おはようございまーす」
 湧哉も奥崎の下へ歩み寄って挨拶をした。
「ああ、おはよう」
「わざわざありがとうございます」
「鍵を持ってくるだけだから何でもないさ」
 奥崎は上着のポケットから鍵を取り出した。記念館も学校の管理物だ。さすがに生徒が鍵を開けるわけにもいかないので奥崎に鍵を持ってきてもらったのだ。こればかりは貸し出すわけにもいかないのだ。
「時間もないからな。さっそく始めよう」
 奥崎は記念館の入口に向かった。二人もそのあとに続き奥崎が空けた入口から中に入った。
 二階の資料室に来ると三人は昨日と同じように電話を手にとって意見集めを開始した。今回は昨日よりも時間が取れるが、一時間という時間は決して長くはない。効率が求められる。
「もしもし、小野田さんのお宅ですか? 自分は渡ヶ丘高校の畑原というんですが憲明さんは御在宅でしょうか? 今は……いない、ですか。それじゃあまた連絡しますんでよろしくお願いします」
 まず自分が何者なのかを述べ、その後に本人がいるかどうかの確認をする。こうすることで違った場合はすぐに終わらせることができる。奥崎と悠は始めにこれを行っていたので湧哉と差が付いたのだ。今回は湧哉もそれを真似てみた。これならば昨日よりは数を回すことができるだろう。課題と同じく好調な滑り出しになるとよいのだが。
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