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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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ユウたちの秘密

 藤間はお茶を入れなおすと湧哉と結の前へと置いた。それをすすりながら湧哉は質問をした。
「門紅ともこんな風に相手をしてるんですか?」
「ええ。坊ちゃんが小さいときから手加減なしでお相手させていただきました。今では油断ならない相手になりました」
「あいつの頭がまわるのはこういうわけか……」
 悠が幼い時から藤間を相手にしてきたというのなら遊びながらも常に考えながらだったのだろう。そのおかげあって成績優秀でもあり思考も早い。
「でも運動だけは昔からできなかったよね。集兄はそっちも完璧だったけど」
「集様は何でもそつなくこなすことができましたからな。悠坊ちゃんは体質的に運動は得意ではないのでしょう」
「何しても全然痩せないもんね。そんなに大食いってわけでもないのになんなんだろうね?」
「それはわかりかねます。でも坊ちゃん本人は気にされた様子もないですからいいのですよ」
 藤間は微笑みながらそう言った。口調は丁寧でこの家の使用人としてだったのだろうが、その表情は孫を思う祖父の様だ。実際それぐらいの歳だ。小さいときから見ていればそう言う思いもあるのだろう。
「そうね」
 結は頷きながらお茶をすすった。釣られて湧哉もお茶をすする。
「少しは気にすれば奥崎先生も振り向いてくれるかもしれないのにね~」
「ブホォッ、ゲホッ」
 結の発言に湧哉はお茶を吹きだしかけた。全てが口の外へ出ることは何とか防いだが、少々こぼれてしまった。
「ちょ、ちょっと!?」
「大丈夫ですか!?」
「ゲフッゲフッ、だ、大丈夫です」
 藤間はタオルをどこからともなく取り出すと湧哉に差し出した。自分が濡れた箇所を軽く拭くと机の上もふき取った。
「べ、別にそんなに驚くようなことでもなかったでしょって。バレバレなんだから」
「それはそうだけどさあ。本人は隠してるつもりみたいだったから門白まで知ってるとは思わなかった」
「あれで隠せてるつもりならバカね」
 悠の奥崎に対する態度が他と違うことに気付いていたのは湧哉だけではなかったらしい。幼馴染の目にはしっかり留まっていたようだ。
「恋路とは無縁だと思ってきたけど、人間わからないよね~」
「長い年月とともに人は変わっていくものです。結お嬢様も随分と成長なされたではありませんか。昔はあんなに―――」
「ちょちょちょ、ストーップ!!」
 結は手をブンブンと振りながら藤間を制止した。ここまで必死になるということはよほど知られたくない秘密なのだろう。
「え、なんなんですか? ぜひ聞きたいです」
「ちょっとハタハタ~!」
 ニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべる湧哉に対し結は血管が浮き出そうな顔で拳を握った。あまりの形相に身を乗り出していた湧哉は静かに元の姿勢に戻った。
「あ、あまり口を開くと私も畑原様も無事では済まなそうですのでこの辺にしましょうか」
「そ、そうですね。ははははは」
「それにそろそろ坊ちゃんがいらっしゃいますし」
「さすが爺や。察しがいいね」
 再び開いた襖から今度は悠が顔を覗かせた。先度まで自分の話をされていたとはいざ知らず。悠は部屋に入ると結の隣に腰を下ろすのだった。
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