挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非公式部活動ALM 作者:泉野 六
57/138

トランプ

 突如として始まったトランプゲーム。藤間はトランプの中から7のカードを四枚抜くとそれを縦に並べて置いた。
「これって―――」
「七並べだよ」
 結の返事ににっこりと微笑んんだ藤間は残ったカードを3人分に配り始めた。
「これでしたらどなたでも簡単にできますからね。まずはこちらから始めることにしましょう」
 ……。

 それから数分後、客間は修羅場と化していた。
「ちょっと! ハートの8止めてるの誰!?」
「俺も減ってないんだからわかるだろ!」
「じゃあ藤爺!?」
「ホッホッホッ。何のことやら、でございます」
 順調に手札が減っているかのように見えた湧哉と結だったが、いつの間にか出せる札が無くなってしまっていた。にもかかわらず藤間の手だけは止まることがない。
「ホッホッホー、お嬢様の番ですぞ」
「また出せないなんて絶対おかしいって!!」
 結は手札を机の上に振り投げると畳に横たわった。
「おやおや。ギブアップでしょうか」
 藤間は結が手放したカードをまだ埋まっていないところを当てはめた。結の手札はハートマークの数字ばかりだったようで、ハートの列がほぼ埋まってしまった。
「次は畑原様の番ですね」
 結の次は湧哉の番だったのだが先ほどから手の詰まっているのは湧哉も同じだった。結の手札が加わった場と自分の手札を見比べる。結の札の分、出せる札は増えていた。しかしそこから先に続くカードは湧哉の手札には残っていなかった。
「俺も降参します」
「まだ出せる札があるはずでは?」
「このままやっても先が続かないんですよ」
「そうですか。では私の勝ちでございますね」
 にこにことしながら藤間はカードをまとめ始めた。机に並んだカードをきれいにそろえながら集めていく。4列のカードをまとめ終ると最後に湧哉の手札を受け取り、机でトントンとばらつきを整えた。
「よし!! もう一回!!」
 結は声を上げながら勢いよく起き上がった。あれほど悔しがっていたがまだまだやる気の様だ。
 その後、何度かゲームをしたが結果は変わらずすべて藤間の圧勝だった。湧哉も自分なりに頭を使っているつもりなのだが全くうまくいかないのだ。
「つ、強い……」
「ホッホッホ。またまた私の勝ちでございますね」
「次俺が配ってもいいですか」
「かまいませんよ」
 湧哉は藤間がカードを配る時に細工をしているのではないかと思ったようだ。しかし、藤間は全く動じることなく湧哉にトランプを手渡した。トランプを切りながら手触りなどでカードを確かめるが特におかしなところはない。
 藤間は相変わらずにこにことしているんい対し結はじーっと湧哉がトランプを切るのを見つめている。トランプぐらいでこんなに真剣な顔をしなくてもいいだろうがとも思った湧哉だったが、カードを配らせてくれと言っている時点で自分もかなり真剣になっていることに気が付いた。これでは人のことは言えない。
 結局のところ、自分で配ったにも関わらずその回も藤間の圧勝だった。
「うぅ……また負けた」
「か、勝てない……」
 さすがの結も連敗が続いておとなしくなり、湧哉はここまで差が出るのかと打ちひしがれる。机に突っ伏す二人は完全に燃え尽きていた。その横で藤間は再びトランプを揃えるとそれを一度机に置いた。
「そろそろ坊ちゃんもいらっしゃると思いますので今日はこの辺で終わりにいたしましょう」
「なんか勝つ秘策でもあるんですか?」
「ええ、いくつがございますよ。でもこれは門外不出でございますので」
「じゃあ私に教えてよー」
「そうは参りません」
「えぇ~」
「これは私個人の秘策でございますから。さあ、お茶を入れなおしましょう」
 藤間は湯呑を回収すると中に残ったお茶を他の器に移し新しいお茶を汲み始めた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ