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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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客室にて2

「確かに気の持ちようは楽だけど、作業内容が多いのが億劫だけどな」
「ねえねえ。悠とハタハタは何やってるの?」
「それはだな―――」
 言いかけて思い出した。昼間、悠は結にそのことを問われたが答えなかった。これは話してしまってもいいのだろうか? それとも秘密にしていた方がいいのだろうか?
「私だけ仲間はずれってなんか寂しいんだけどな~」
「なんだそれ? キモチワル」
「ああ?」
「いえ、なんでもないです……」
 結はわざとらしく体を振って押してくる。駄々をこねるような仕草は全く似合わなかったが圧力により強制的に訂正させられた。
 悠に口止めされているわけではない。むしろ記念館の話を広めるという点では話したほうがいいのかもしれないので少しだけ話してみることにした。
「今は旧校舎のことについて少し調べてるんだ」
「それって2年前に取り壊されたやつ?」
「それそれ」
「あー、なるほどねー。あいつならそういうことやりそう。校舎が大好きだったからねー」
 結は天井を見上げながら何か思い出しているようだ。
「確かにあの頃は楽しかったよ。私も一緒になって遊んでたから少しわかる。でもあいつの場合は少し複雑だろうね」
「複雑?」
「悠のお兄ちゃんは取り壊しを進めた一人だから」
 結は今度は机に目を落とした。悠の幼馴染と言うだけあって彼女にも思うところがあるようだ。おそらく悠と一緒に旧校舎を訪れてた時にはそこに門紅 集もいたはずなのだから……。
「それって門紅も知ってるのか?」
「集兄の事なら知ってるよ。しばらくふさぎ込んでたこともあったし。集兄は大学進学してから家を出て一人暮らししてた。それからは私もあんまり会ってない。今はこの辺に戻ってきたけど家には滅多に帰ってこないんだ」
 門紅 集が取り壊しに参加していることを悠は知っている。学校で集に会った時の湧哉の心配は無意味だったらしい。それならばここから悠が崩れることはないと思うと安心はできた。しかし、兄弟で対立したことをやろうとしているのは悲しく思えた。
「私もおんなじ『門家』だけど、それでも他人は他人だからさ。他の家のことに首を突っ込むわけにはいかないからね」
「……」
「ごめんごめん。なんか暗い話になっちゃったね。この話はこれでお終い!」
「失礼いたします」
 話が終わるのを見計らったかのように襖が開き大きなお盆を持った藤間が顔を出した。
「おやおや。結お嬢様もいらっしゃいましたか」
「ヤッホー藤爺。お邪魔してまーす」
「いえいえ。結お嬢様ならいつでも歓迎でございますよ。畑原様、温かいお茶でよろしかったでしょうか?」
「全然大丈夫ですよ」
「それではお入れしますね」
 藤間は持っていた盆を机に置くと載っていたポットから急須にお湯を注いだ。
「坊ちゃんはもう少しかかりそうですで私がお相手いたしましょう」
 そう言いながら今度は急須から湯呑にお茶を注ぐ。しっかりと2人分の湯呑が準備されておりそれを結と湧哉の前にそっと置いた。
「じゃあさじゃあさ! トランプしようよ! トランプ!」
「トランプぅ?」
「藤爺!! 今日こそはリベンジだ!!」
 結はビシッと藤間に指を突きつけた。
「ふふふ、それでは準備いたしましょう」
 藤間もそれに答えポケットからトランプを取り出した。
「ええ!? 持ってるの!?」
「ええ。いついかなる時も要望にお応えできるようにしております」
「だからって……トランプ持ち歩きます?」
「必要とあらば重機もお持ちいたしますよ」
「け、結構です」
 藤間はニコニコと微笑みながらトランプを配る。何をするかも聞かされないまま湧哉はトランプ勝負へと巻き込まれてしまった。
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