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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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緊急の電話

 校舎に残っている者も減ってきただろう。時刻は午後六時半を過ぎた。
 日が短くなってきた季節だ。もう外は薄暗い。
 湧哉の課題を進めていた二人だったが、そろそろ帰ろうということになった。
 片づけをしている中、ブーブーっと湧哉のスマートフォンが音を立てた。画面をのぞき込むと奥崎先生と表示されていた。
「げ……」
「ハタハタ、奥崎先生の電話番号知ってるの!?」
「ああーうるさい!! 課題で聞きたいことがあったから教えてもらっただけだ!」
 思い付きの言い訳だったが悠はそれで納得したようで追撃はなかった。
 奥崎からの電話は湧哉にとって災害だ。今までの経験上、かかってきて喜んだことなど一度もなかった。
 前回の失敗でもう終わりなのではないかと思っていたがそうでもないらしい。
 山積みの課題があることを考えると電話にはでないほうがいいだろう。そちらに時間を割けば悠に手伝ってもらっているとはいえ終わるものも終わらなくなる。
 弱みを握られている今、立場が不利なのはわかっているが、課題を出したのは奥崎だ。手一杯なことはわかっているだろうに。
「出ないの?」
「いや……」
 だが、話を聞いてみないことにはわからないこともある。とりあえず電話に出ることにした。
「もしもし、畑原です」
『十分後に五階の視聴覚室に来てくれ。頼んだぞ』
「は? それってどういう……!? 切れた……」
 用件だけ伝えると奥崎はすぐに通話を切ってしまった。
「え!? もう終わったの?」
「ああ。あっという間だった」
 あまりに短い会話だったので悠も驚いたようだ。
 いつも突然かかってくる電話だが、これほど短いのは初めてだった。めちゃくちゃなことをやれと言われてたきたが毎回少しは説明があったものだ。遂に説明すら省かれてしまったのだ。元から奥崎の意図はわからなかったが今回は尚更だ。
 だが、思い返してみるといつもの様子が違った気がした。少し焦っていたような感じで、しかも頼んだぞと。今までとは何かが違う……。 
「門紅、お前先に帰っててくれ。ちょっと用事ができた」
「あんなに短いやり取りでなんて、二人ってどんな関係なの?」
「俺からすれば最悪の依頼人かな……」
「?」
 湧哉が何を言っているのかさっぱりわからないのだろう。悠は首を傾げた。
「奥崎先生の手伝いなら僕も手伝うよ!」
「えーっとそれは……。だ、大丈夫だ! た、大したことじゃないし、お前もやることあるだろ?」
 正直なところは奥崎との関係(主に脅されていること)を知られたくないので断ったのだろう。来いとだけ言われたので確かに大したことではないのだが。
「そっか。それじゃあ先に帰るね」
「明日もよろしく頼むぜ」
「任せといてよ。じゃあね」
「ああ」
 会話が終わると悠は鞄を持って教室を出て行った。
 スマートフォンで時間を確認すると奥崎の電話から三分経ったところだった。時間まであと七分だ。
 湧哉は机の上にある物を鞄にしまい込むとそれを持って教室から駆け出した。
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