挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非公式部活動ALM 作者:泉野 六
143/145

事後報告

「結局のところ校長室の金庫を開けないことには校長のしていることを公にすることはできないってことですよね」
「手段がそれだけというわけではないが成功する可能性はそれが最も高いだろう。土地を売買している連中に話を聞こうにも俺たちはまだ学生だ。当人たちに会うこともできない」
 方法はあるのに実行できる立場にないことに阿良田はもどかしさを感じているようだった。校長とかかわりのある人物たちを片端から問い詰めて行けばいつかは証拠となる証言を得ることができるかもしれない。しかし、学生という立場ではそれは難しい。相手となるのは企業で役職に就いている者たちだ。門前払いだろう。
「とりあえず奥崎先生のところに行って報告しませんか? 記念館の件もあるからそろそろ戻らないと」
「そうだな。一度校舎に戻ろう」
 二人は校舎に戻るとまっすぐ職員室を目指した。職員室内の準備はほぼ終わったようで、部屋の端にパーテーションで区切られた個室が五つほど作られていた。その中では面接担当の職員だろうか、書類に目を通していた。
 その一室に奥崎の姿を見つけた二人は中へと入った。
「奥崎先生」
「ああ、畑原に阿良田もか。二人で来るとはな。屋台を壊した犯人の手掛かりは見つかったのか?」
 隣にスペースにも人がいたがしきりと周りの喧騒のおかげで隣に音が漏れないためか奥崎は声を潜めることもなかった。
「例の記者に会ってきました」
「そうか。……今なんて言った?」
「記者と会いました」
 奥崎は唖然とした。
「ちょ、ちょっと待てお前たち。記者が現れたならなぜすぐに報告しなかった!? 阿良田、お前がいながらどういう―――」
「理由はあります」
「ああ! 聞かせてもらおうか」
 奥崎は対面席の椅子に座るように投げやりに促した。
「じゃあ失礼して……」
 二人が席に着くと奥崎は腕組みをし大げさと思える体をそらせて背もたれに寄り掛かった。
「で?」
(こ、これは相当怒ってるのか……?)
「校舎裏でしばらく待機していたら岩木と記者が現れたんです。岩木が記者にカメラを渡していたので接触しました」
(普通に話進めた!?)
「記者は岩木に校長室の写真を撮らせていました。金庫の写真もありました。校長の汚職の証拠を探しているらしい」
「……」
「そのために俺の話を聞きたかったと言ってました」
「盗撮事件はあの記者にとってまたとない突破口だったんでしょう。多少は手を汚しても構わないと思っているらしいですしね。校長の自宅に忍び込んだらしいことも口にしていた」
「目的は私たちと同じ……とは言いたくないがそんなところか……」
「目的は同じですがやつのやり方は間違ってる。罪を暴くために新たな罪が起こすようなら同じ穴の狢だ」
「金庫については?」
「証拠は金庫の中にあると考えているようです」
「文化祭の賑わいに乗じて、といったところか。しかし一日二日でダイヤルの暗証番号を突き止める気なのか?」
「自宅に忍び込んでるなら手がかりをつかんでるのかもしれないんじゃないですかね?」
「かもな。どちらにしろ文化祭期間中は校長室に張り込む必要がありそうだ」
 楽しいはずの文化祭に事件が起こるかもしれない。それに張り込みとなれば時間も取られる。前日に迫った文化祭。いろいろと計画を練らなければならないようだ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ