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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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取引現場

 岩木と記者は話をしていた。岩木の声は湧哉と阿良田のところまで届いてはいたが内容までは聞き取れなかった。記者の声は小声で全く聞き取れない。
「なんであの二人が一緒に……?」
「畑原、お前が引き合わせたのかもしれないぞ」
「それってどういう……。あ、俺を追ってた時に知り合ったってことですか?」
「可能性は大いにあり得るだろう。同じ目的があれば息が合うこともある」
「なんてめんどくさい組み合わせ……」
「今そこは重要なことじゃないがな」
 湧哉としてはどちらにも関わりたくはない。そんな二人が相手とは湧哉の気は滅入るばかりだ。
「それでこの後はどうするんですか? 声をかけるとか?」
「いや、まだだ。何か動きがあるまで待つ」
 岩木は時折声をあげて笑い、記者はイライラしているのか落ち着きがない。二人の息があったのは湧哉を追っていた時だけで今は全くかみ合っていないようだった。
 湧哉の足がしびれてきたころ、岩木が突然声を抑えた。岩木はズボンのポケットから何か四角いものをを取り出した。
「あれはカメラか?」
「あの記者は教頭のことを聞きたがってましたからそれ関係のかも。教頭はカメラで盗撮してましたし。それにしてもあの件のせいでカメラって聞くとイヤーな考えが浮かぶんですよね……」
「教頭に関係のあるものはもう校舎にはないはずだ。となればあれは今日撮った写真が保存されてるんだろう。問題は何を撮影したのか」
「うちのクラスの件と関係あるんですかね」
「それはまだわからないがこれは一大事だな。学校内の情報をおかしな記者へ渡している。お前のクラスとの関係があるにしろないにしろまずいだろうな」
 岩木はカメラをフェンスの隙間から差し出した。それを取ろうとした記者が手を伸ばすと岩木は手を引っ込める。
「おい!」
 岩木の態度に記者は余計に苛立ったのか抑えてはいたが声を上げた。岩木はそれをからかうような態度で再びフェンスの隙間からカメラを差し出した。記者はそれを受け取ると何か一声かけ、湧哉たちとは逆方向に歩いていった。岩木はその姿を見送ると校舎へと帰っていった。
「取引現場を目撃したって感じなんですかね」
「ああ、そうだな」
 阿良田は二人の姿が見えなくなるとせかせかと立ち上がった。
「よし、あの記者の後をつけて話を聞く」
「話を聞くってどうやって?」
「なに、きっかけがあれば簡単だ。行くぞ」
「行くぞって俺も!?」
「ほしいものをチラつかせれば向こうからやってくるだろう」
「……」
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