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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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再スタート

「ハタハタ、これってどういう状況?」
「見ての通りだ」
「いやいや、電話を五十も集めるのはなかなか大変でしたがこちらでよろしいでしょうか?」
「ええ、完璧ですよ」
「いえいえ。これも坊ちゃんのためですから」
「僕にも知らせずにこんなことしてたなんて……」
 湧哉たちがいるのは門家の屋敷の一つだ。湧哉が泊まった建物とは異なるが、渡り廊下でつながった建物だ。大きな畳部屋に置かれた木製の机の上には電話がずらりと並んでいたが使用人がまだ電話を追加していた。この部屋なら大人数での宴会もできそうだ。この手配をしてくれたのは悠の執事である藤間だ。湧哉が悠の家へと連絡を入れ藤間に取り次いでもらったのだ。藤間はその後すぐに支度を始めてくれたようで、湧哉と悠が屋敷に到着した時には電話を配置するだけだった。
「今四時半ですからあと三十分ぐらいで田島先生が来ると思います」
「かしこまりました。準備を進めておきます。お茶と茶菓子も準備しましょう。そのほうがはかどるでしょうしね」
 藤間は準備を進めるために部屋を後にした。
「どうして藤爺に?」
 藤間が部屋から離れたことを確認すると悠は不安げに口を開いた。
「それを言うなら俺が聞きたいね。どうして今まで藤間さんに頼まなかったんだ? あの人ならこんな準備すぐにできるってわかってただろ? ずっと一緒に過ごしてきてたんだし」
「だからこそかな。僕がそうだったみたいに集兄とも一緒に過ごしてきてたわけだからね。藤爺に辛い思いはさせたくなかったんだ」
「それで門白に手を借りるのも乗り気じゃなかったのか」
「うん」
「俺に頼んだのはお前の兄貴と全然関りがないからってことか」
「それは条件の一つであってそれ自体が理由ってわけじゃないけどね」
 悠は準備を進める使用人たちを眺めていた。おそらくここにいる使用人たちも門紅兄弟のことを知っている者たちだろう。だが彼らの動きから迷いは感じられない。
「でもみんなお前のためにやってくれてる」
「うん」
「相談しなかったのは悪かったけど、ここまで来たらやるしかないだろ?」
「そりゃあね。ここまでお膳立てしてもらって何もしないなんて申し訳ないよ」
「お、やる気出てきたか?」
「元からやる気はあったよ。ただちょっと後ろ向きだっただけで。ありがとハタハタ」
「ま、まあ今まで大した役に立ってなかったしこのぐらいはな!」 
 悠は照れくさそうにに礼を言った。湧哉も同じだったのかごまかすように声を張っていた。
 集のことを確認してから悠はあまり余裕がないようだったが、こんかいのことで 吹っ切れたのか声色は少し明るくなったような気がした。
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