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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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事の中心

 記念館で電話を掛けながらも湧哉は考えていた。今のこの行動に一体何の意味があるのか? 悲観的になっているわけではない。ただこの先でいったい誰が報われる? 自分たちは記念館の取り壊しを目指しているはずだ。だが終わりの見えない意見集め。半数も終わらぬ状態で成功するんだろうか?  仮にこちらが万全の状態で挑んだとしてもどこかに穴があればそこからすべてをひっくり返されてしまうことも考えられる。
 悠自身が選んだはずだが、討論相手が門紅集という点が悠の判断基準を不安定にしているようだった。ただ、記念館の取り壊しを止めるためには最も適した相手だということは間違いない。となれば相手はこのままに何か策を練らなければならなかった。
「畑原、手が止まってるぞ」
 奥崎の呼びかけに我に返る。悠と古野濱はひたすら電話をかけ続けている。
「すみません、ちょっとぼーっとしてました」
 そう言って湧哉は電話を取る。それを見た奥崎は首を傾げたがみんなと同じように電話を手に取った。

「門紅、気を付けて帰れよ」
「はい! 奥崎先生もお気をつけて。ハタハタと古野濱先輩もまた明日です」
「ああまた明日な」
「じゃあね」
 三人で悠を見送ると奥崎の車に乗った。

 車が寮に着くと辺りを警戒しながら湧哉は車から降りた。続いて古野濱と奥崎も降りてくる。
「いるか?」
「いますね」
 湧哉は寮があるのとは逆の歩道を見つめる。そこには昨日の記者と名乗る男がいた。相手もこちらに気づいたようだったが、位置的な問題と奥崎や古野濱がいるおかげで大きな動きはしてこない。
「あれか……」
「なんか怖いですね。あんな人がうろうろしてるなんて」
「畑原以外にも強引なことをしてくるかもしれないからな。これはしばらく見回りをしないといけないかもな。他の先生と相談してみよう。それから一応警察のほうにも連絡はしておく」
「これじゃあ登校中も下校中も気が休まらないね」
「そういえば、今日の朝はいませんでした。一昨日は早くから学校に行ったんでいたかどうかわかりませんけど」
「さあな。ああいうやつが何を考えているかなんてわからないさ」
 奥崎は鋭い視線で記者を見つめていた。
「二人が寮内に入ったら私は出発しよう」
「先生、送っていただいてありがとうございました」
「ありがとうございました」
「ああ」 
 二人の去り際も奥崎は記者から視線を外さなかった。奥崎が動かないことで観念したのか記者はこちらに背を向けて駅のほうへと歩いていった。
「畑原君て台風の目みたいだね」
 女子寮の前、別れ際に唐突に古野濱は口にした。
「教頭先生のこともそうだし、門紅君のこと、あの記者さんのこと、それにALMも。なんだか畑原君を中心にしていろんなことが起こってるんだもん」
「俺的にはいろんなことが押し寄せてきてるような感じなんですけどね……」
「あはは、本人的にはそんな感じなんだね。まあ確かにいいことばっかり……っていうか悪いことのほうが多いのかな?」
「厄介ごとが多すぎますよ……」
 特に意識せずに道路のほうへと目をやる。奥崎はまだ車に手をついて駅のほうを眺めていた。
 そういえば、MANNERの店長は奥崎の学生時代は嵐の中にいるようだったと言っていた。もしかしたら奥崎もこんな体験をしていたんだろうか? 
「あ、早く中に入らないと奥崎先生も帰れないね。それじゃあまた明日ね」
「はい、また明日もよろしくお願いします」
 古野濱が女子寮に入っていくのを見届けると湧哉もすぐ横の男子寮に向かって歩き始めた。
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