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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
121/133

提出

「……」
「……」
 ぺらぺらと奥崎が用紙をめくっていく。湧哉は黙ってその様子を眺める。
「ふむ、記入漏れはないな。正直どんなものを提出してくるか不安だったが……なんだその満足げな顔は……」
「いや~別に」
「その顔は腹が立つな……」
 今日は課題の提出日だ。昨夜、喫茶店『MANNER』からは奥崎に送ってもらいその後は残りの課題を終わらせた。終わった後は解放感に包まれながらベットに横になった。そして本日、奥崎の授業後課題のプリントを渡した。奥崎は渡すとその場で確認をし始めたのだった。
「本当に一人でやったんだろうな?」
「な、なんでそんなこと聞くんです……?」
「パッと見ただけだが間違いもそんなにない。だが畑原の成績でここまでできるとは思えないんだが」
「はっきり言ってくれますね……」
「どうなんだ?」
「門紅に助けてはもらいましたけど解いたのは俺です」
「そうか。おい! 門紅!」
「は、はい!」
 奥崎が呼ぶと悠はすぐに駆け寄ってきた。その敏捷さはクラスメイトたちが目を見張るほどだった。
「何ですか! 奥崎先生!」
「この課題は手伝ったのか?」
「はい! でも僕は方法を教えただけで問題を解いたのはハタハタです!」
「そうか。ありがとう」
「はい! いつでも呼んでください!」
 たったこれだけのことだったというのに悠は嫌な顔一つせず席へ戻っていった。やはりクラスメイトはおかしなものを見る目でそれを追っていた。
「まるで犬だ……」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ……」
 悠の姿まるで飼い主にかまってもらってもらって喜ぶ飼い犬のようだった。いつも以上に奥崎に対する様子がおかしい。
「昨日何かありました? MANNERで聞いたこと以外で」
「いや特にはなかったが。しかし門紅も面白いやつだな」
「あんなになるのは奥崎先生の前だけですよ」
「なぜだ?」
「そりゃあ門紅が……」
「門紅が?」
「というのは冗談で俺は知らないです」
「なんのひっかけだ?」
「ちょっとした冗談です」
 危うく口が滑りかけた。周りから見ればまるわかりだが本人は否定しているわけで……。
「そうか。そろそろ次の教室に行かないとな。これは確かに受け取ったぞ」
 奥崎は課題の束をぺらぺらと振ると次の担当教室へと向かっていった。
 とりあえず一つ肩の荷を下ろすことができた。
 
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