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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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久々の休息

 店のほうが忙しくなると店長は表へと出て行き部屋には湧哉一人となった。寮に帰るという選択肢もあったが、記者のことを考えるとすぐにここから出る気にはならなかった。幸い、明日提出の奥崎の課題は手元にある。湧哉はコタツに入って課題を進めることにした。

 邪魔の入らない環境だったおかげですっかり集中してしまった湧哉が気づいたときには夜の八時近かった。進行具合は九割ほどこれならば徹夜せずとも終わりそうだ。
「んあーー! 疲れた」
 大きく伸びをすると一気に疲労を感じた。ケーキは食べたが夕食がまだなので空腹も感じてる。寮の食堂で食べることも考えたが、八時にはオーダーストップだ。急げば間に合うだろうがとてもそんな気にはならなかった。
(何か食べてから帰るか。ただで部屋使わしてもらってるのも悪いし)
 湧哉は荷物をまとめ店長の部屋から表の店内へと向かった。まだ客はいるがピークは終わったのか店内は落ち着いている。
「もういいのかい?」
「はい。でも帰る前に何か食べて帰ろうかと思って」
「そうか。じゃあ開いてる席に適当に座って。何食べるかは決まってる?」
「それじゃあサンドイッチをお願いします」
「了解、少し待っててくれ」
 湧哉はオーダーを伝えると一番奥の席、初めてこの店に来た時に座った席に腰を下ろした。店内を見渡すと渡が丘高校の生徒も数人いるが、皆おしゃべりに夢中のようで、こちらに気づくことはなさそうだった。
 湧哉にとってこうして一人で落ち着いた時間をとれるのは久しぶりだ。店の雰囲気のせいもあるかもしれないが、安心感を覚えていた。記念館に校長、悠の討論会の手伝い、文化祭の準備とまだ問題はあったが、奥崎の授業の課題はもうじき片付くことで荷が一つ降りる。今はそれでだいぶ気が楽になっていた。
「いらっしゃいませ~」
 店のベルが入店を知らせると店員がそれに反応した。この時間でもまだ入店があるとはこの店は相当繁盛しているんだろう。
「ご注文のサンドイッチでございます」
 店長はいかにもかしこまった感じで湧哉のもとへやってきた。
「な、なんでそんなにかしこまった感じなんですか……?」
「仕事の時はなるべくそうしてるんだ。あんまり態度を崩しすぎると失礼になっちゃうからね。でもまあ、例外もあるが」
「例外?」
「そそ」
「おい、それは私のことか?」
「お、奥崎先生!?」
 いつの間にか店長の後ろには奥崎が立っていた。腕組みをしいかにもこちらを威嚇しているようだ。だが店長はそんなことを気にする様子はなかった。
「いやはやまさかご本人登場とは」
「ほほう。では特別扱いというならそれに見合ったサービスを要求しようか」
「ええ、何なりとお申し付けくださいお客様」
 店長はおどけて見せると笑いながら戻っていった。それをにらみながら奥崎は湧哉の隣の席に腰を落ち着けた。
「今日は帰って課題をやっていると門紅から聞いていなんだが。まさかこんなところでさぼっているとはな」
「いやいやいや、さぼってないですから。っていうかまじで大変だったんですからね俺……」
 湧哉は記者のことについて奥崎に話した。
「なかなか面倒なことになっているな」
 話している間に注文したコーヒーをすすりながら奥崎は湧哉の話を聞いていた。
「だが記者はともかくとしてあの岩木に目をつけられたとはな……。畑原、お前はなかなかに人気者だな」
「そういう先生だって学生時代はすごかったって聞きましたけど
「ん? 何のことだ?」
「嵐の中心地がどうとかって」
「ほほう。一度痛い目に見なければあいつはわからんようだなぁ」
 店長のほうをゆっくりと見据える奥崎の表情はそれはそれは恐ろしいものであった。
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