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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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記者現る

 とりあえず校長室の件は頭の片隅に追いやり午後の時間は課題に集中した。ALMでも動きが取れない状況だ。そちらは今すぐ考える必要はない。
 寝ながら受けていた午前の授業とは対照的で机に向かい続けた。ただ、特に明言されない限り、基本的に他の科目の課題を授業中に行うのは厳禁だ。この内職作業は担当教員にばれないように行わなければならなかった。おかげで進み具合は良くなかった。
 結局は昨日の進めておくべきはずだったところまでは終わらせることはできず、少々焦り気味の湧哉だった。
「もし間に合いそうにないなら今日は課題やっててよ。記念館には奥崎先生たちと行ってくるから」
「そうしてくれると助かる……」
「じゃあ行ってくるからね」
 悠は鞄を持って教室から出て行ったが教室にはまだ生徒が大勢いた。文化祭の準備を進める者、雑談をする者と様々だ。
(とりあえずここじゃ集中できそうにないな……)
 課題のプリントを鞄に詰め込むと湧哉も教室を出ることにした。

(さて、どこに行くか。図書室とかなら落ち着けるか? いや、でも……)
 辺りに視線を振るとと数人の生徒がこちらを窺っていた。湧哉が振り向くと視線を逸らすが見ていたのはバレバレである。教室から出ると興味の対象になってしまう。いちいち声を掛けられては課題どころではないだろう。
(学校じゃダメか。……帰るか)
 少々早足で校舎を駆け抜け、更に学校の敷地も後にした。
 寮までの道のりは穏やかなものだった。まだ早いこの時間、他の生徒たちは校舎に残っている。この周辺に住む人たちの中にも会見を見た者はいるだろうが、校長の話した人物が湧哉だとは思いもよらないだろう。さすがに寮近辺まで来ると生徒もちらほらといたが、ここまで来てしまえばあとは寮に入ってしまえばいいだけだ。そのはずだったのだが……。
「君、ちょっといいかな?」
 寮の入口まであと交差点一つというところで後ろから声を掛けられた。完全に安心しきっていた湧哉は不意を突かれた形になった。振り返った先には一人の男が立っていた。五十代近くに見える痩せ気味な顔。その顔には見覚えがある。
「あなた、昨日の……」
「ああ、覚えててくれたのか。いやね、君とゆっくり話がしたくてね。ちょっと時間をとってほしいんだよ」
 立っていたのは昨日の朝、湧哉に最初に声を掛けてきた記者だった。湧哉が寮暮らしだとどこかで聞きつけたて待ち伏せしていたのだろうか?
 たまたまなのか狙ってなのか、横断歩道の信号が赤い光を放ち寮までの逃げ道を断ち切った。
「頼むからさ、話聞かせてくれよ」
「話すことは、何もないです」
「そんなことないだろ? 逮捕された教頭。その直前に追い回された君。もう学校中の噂だ」
「噂は噂です」
 湧哉は話をしながら逃げ道を考えていた。信号が変わるまでここにいては絶対に捕まる。来た道には記者が。となれば道は左手の信号を渡り住宅街へ行くか右の歩道の先の駅かだった。
「火のないところになんとやらだ。やっと見つけたほころびなんだ。これを逃す手はない」
「ほころび?」
「こっちの話だ。とにかく話を聞かせてくれ」
 記者が大きくこちらへ一歩動いた。それに合わせて湧哉は右へと体を走らせた。
(駅の方が人がたくさんいるはず! その中に紛れ込む!)
「おい!! 待ちやがれ!」
 後ろからは記者の声と駆け足の音が聞こえてくる。再びの逃走劇が始まった。
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