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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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そういえば

「ふぁ~あぁあぁ……。ねむ」
 午前の授業は眠気との戦いだった。首をこっくりこっくりと振りついには完全に寝てしまった授業まであった。
「ハタハタ今日はずいぶん眠そうだね。昨日寝なかったの?」
「いやー寝たけどな」
「じゃあなんでそんなに眠そうなの?」
「今日朝早くって」
「ハタハタが、朝早くに、登校……?」
「そんなに驚くようなことか……ふぁぁぁぁ。ねむ」
 昼食も食べ終わり満腹になったことで余計に眠気を誘う。一日経ったことでクラスの面々は会見内容への興味が薄れたのか、ゼロではないが教室にいるうちは声を掛けられることは少なくなった。おかげで少しは落ち着けるようになっている。
 一方で、校長室の件は特に進展がない。校長が地上げしているという証拠は見つからなかった。金庫についてはしばらく保留。開けようにもダイヤル番号がわからない今は動きようがないがなかった。
「なあ。もし門紅がパスワード考えるとしたらどんな風につける?」
 どうにかしたいという気持ちもあり湧哉は悠に問いかけた。突発的な話題に悠はポカンとしていた。
「ぱ、パスワード? 誕生日とか思い入れのある物とか自分で忘れないようなものにするかな」
「じゃあスマホのパスワードは誕生日か」
「僕はロックかけてないよ」
「あらそうですか」
 悠なら何かヒントをくれるかもしれないと期待したが思っていたより普通の返答だった。考えてみればお坊ちゃまだ。パスワードの設定なんかを自分でやるかどうかも怪しいところかもしれない。
 金庫についてしっかりと話し合う時間はまだ取れていないがALMでも話がこじれている。校長室への侵入だけでも阿良田はあまり乗り気ではなかった。証拠があるからと説得したが何も見つからなかったことに阿良田はご立腹だった。更に金庫を開けるとなれば金庫破り……。そうなると阿良田は反対するだろう。不正を暴くために不正を働く矛盾も解決しなければならなかった。しかし、そもそも湧哉達にはそんな権利はないわけで、結局は反対される。強行することもできるだろうが、一つにまとまっているALMの状態を壊すことは誰も望んではいない。
「ふぁ~あぁ。どうしたもんかなぁ」
「なにが?」
「いや、なんでもない」
「そういえばなんだけどさ」
「ん?」
「課題終わったの?」
「……」
「提出明日だよね?」
「……」
「まさか終わってないの」
「い、いや、大丈夫だ。結構進んでるし、もうじき、終わる……はず」
「……」
 今朝の事もあって昨日は帰宅してから手を付けていなかった。というよりすっかり忘れていた。課題はそれなりに終わっているのだが、期限まではぎりぎりというところだった。ここに来て進めていなかったのは正直なところ痛手だろう。
「ま、まあ何とかなるって」
 とりあえず気持ちだけは前向きにいこうとしたのだが、顔はすっかり引きつっていたのだった。
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