挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
非公式部活動ALM 作者:泉野 六
108/146

ごまかしの説明

 会見が終わらないうちに湧哉の机はクラスメイト達に囲まれることになった。
「明るみに出したって昨日の鬼ごっこの事なの?」
「なんで教頭が盗撮してるって知ってたんだ?」
「カメラがどこに仕掛けてあったかも知ってるわけ?」
「もしかして共犯じゃないよな?」
「もっと詳しく聞かせてくれよ!」
 皆言いたい放題だ。昨日から溜まっていた質問を我先にとぶつけてくる。みんな一斉に話すせいでどう対応していいのかもわからない。
「ちょっと皆落ち着いてって」
「そうだよ。皆で一度に話したってどうしょうもないでしょ?」
 外に押しやられたユウたち二人が場を落ち着かせようとしているが効果は全くなかった。昨日皆を止めてくれた澤もこの混乱状態を収めようとしているようだったがダメらしい。
「ちょっと待ってくれよ」
 こうなってしまってはある程度情報を提示しないと収まりそうもない。湧哉は両手を広げて皆を制止した。すると皆一瞬で口を閉じ湧哉の話に耳を傾けた。
「確かに俺は教頭に追っかけまわされたけど、教頭の件とは関係ないんだ」
「昨日職員室で教頭パソコンを触ってるところを谷口先生に見つかってたよね?」
「あ、あれはちょっとむしゃくしゃして仕返ししてやろうと思っただけなんだ。元から知ってたわけじゃない。そしたらたまたま写真を見つけたんだ」
 写真を見つけたというフレーズに男子の顔には好奇心が溢れていたが、逆に女子からは冷たい視線が男子に送られていた。まあ当然と言えば当然か。この中にその写真の主がいるかもしれないのだから。
「と、とにかく俺が知ってることなんて大したことないんだよ。もっと知りたけりゃはテレビ見てればいいだろ? まだ続いてるんだし」
 何人かは振り返りテレビを確認する。画面には質問に答える校長の姿がまだ映っている。クラスメイトの半分はぞろぞろと自分の席へ戻っていた。
「なあなあ、それじゃあ教頭とは何で鬼ごっこすることになったんだ?」
「なにかが教頭に気に障っちゃったらしい」
「何もしてないのにか?」
「仕方なく教頭と話をするはめになってその会話中に」
「ふーん。じゃあさ―――」
 残った者たちは聞き足りないよう湧哉への質問を繰り返そうとした。先ほどの説明の半分は嘘だ。もし話しを詰められたらボロが出てしまうかもしれない。だが、人数が減ったことでユウコンビが乗り出した。
「はいはい質問はそこまでにしてー。ハタハタもお疲れだからここまでね」
「お、おい。別に話聞くぐらいいいだろ」
「これから僕と文化祭の打ち合わせしないとだからさ。君も手伝ってくれるならいいけどなかなかハードだよ?」
「なんだよそれ……。わかったよ」
 悠が適当にあしらうと机の周りにはユウ二人に澤だけとなった。
「助かった……」
「話しちゃっても大丈夫なの? こういうのって緘口令が出てたりとかしないの?」
「いや、特には何も言われてないな」
「当事者にはそういう説明があるものだと思ってたけどそうでもないんだね」
「でも驚いた。畑原君も関係者だったんだね」
「ま、まあ成り行きでな」
「ハタハタでもむしゃくしゃすることってあるんだね~。本気で怒ってるところ見たことないよ」
「気分が悪くなるのは誰にでもあるだろ。俺をなんだと思ってるんだ……?」
「何かといわれると友達としか答えられないね」
「右に同じ」
 ユウコンビはそろって首を縦に振っていた。息がぴったりである。本当ならからかうところなのだが、友達だと言われて湧哉は照れくさく話を逸らした。
「まだ時間あるし昼飯買いに行くかな。皆は?」
「仕方ないから付き合ってあげるよ」
「あ、じゃあ私も行く」
「それじゃあ私も行こうかな」
 四人はそろって教室から出て行った。湧哉としては少し話したことで気が楽になっていた。このまま皆が納得してくれればALMのことを話す必要もないし古野濱の名を出すこともない。どうかこのまま終わってくれることを湧哉は願った。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ