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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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週の始まり

 五、六人の大人。その周りには生徒たち。湧哉はそれらに完全に囲まれる状態となってしまった。
「なにか知ってるなら教えてくれ」
「話してくれてもいいじゃないか」
「いや、俺は本当になにも……」
「何か知ってるんだろう? 何が原因だったんだい?」
 湧哉が何度知らないと言っても全く諦める気配がない。まだ会見があることしか公表されていないのにもかかわらず記者たちはしつこい。登校中の生徒の話から湧哉が何かしら関わっていることはすっかり伝わってしまっているらしい。記者たちは穏やかな口調で話してはいたが、そのしつこさに穏やかさは全くなかった。
「何をしてるんです!」
 少々遅れてだったが谷口と他数人の教員が校舎内からやってきた。奥崎や上北の姿もあった。奥崎はなぜか髪をまとめ上げている。会見のためだろうか?
 教員が姿を現すと、記者たちは早足でその場を去っていった。その周りを固めていた生徒たちもそそくさと散っていく。谷口たちが湧哉の下へたどり着いた時には周りには誰もいなくなっていた。
「大丈夫か?」
「な、なんとか……」
「すまない。ここまで考えが及ばなかった」
「会見の準備、忙しいんですか?」
「ん? いや、俺達は会見担当じゃないからな。そっちは校長が仕切ってる。もう役所に行って準備をしてる。それよりも……」
「それよりも?」
「学校の電話が鳴りやまなくてな」
「谷口せんせー、そういうことは生徒に言っちゃだめですよ。余計心配するでしょ?」
「ああ、そうだったな。すまんすまん」
 一緒に来ていた上北が谷口を滑らせたことを指摘した。前にもこんなことがあったが今の谷口はそれほど気にしていないようだ。
「まあとにかく、学校の中に入れば一安心だ。行くぞ」
「は、はい」
 湧哉は教員たちに護衛されるように校門へ向かった。教員五人に囲まれながら歩くのはむしろ落ち着かない。散っていったとはいえ登校中の生徒はまだまだいる。彼らの視線が痛い。
「奥崎先生」
 湧哉は隣を歩く奥崎に、小声で話しかけた。奥崎はそれに気付くと少し距離を詰めた。
「なんだ?」
「谷口先生が言ってたのって……」
「大の大人に詰め寄られたっていうのに落ち着いているな」
「急だったからちょっと戸惑いましたけどあれくらいなら何でもないですよ」
「随分強がるな。唐突な奇策ならお前の得意分野だだろうにさ」
「ほ、ほっといてください」
「フッフ。電話は父兄からのものだ。全部ではないがな。だが内容は会見についてだ」
「やっぱり……」
「PTAは会見について何の話も聞いていないと言ってきてな。会見周りのことをやっていた人たちは役所に行っているから私たちはただ謝るぐらいしかできないんだがな」
「それで髪まとめてるんですか」
「ああ。そういうことだ」
 奥崎の髪は長くはないが耳はスッポリと隠れてしまっている。電話のたびに髪を挙げるのも面倒になるぐらいの数が掛かってきているようだ。
「なに、会見が終わればそれも収まるだろう。それよりもお前の事の方が心配だ。既に生徒からお前の名前を聞いた記者もいる。しばらくは気が抜けないぞ」
「なんか、辛い一週間になりそう……」
 
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