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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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阿良田の推察

 ALMの面々は図書室の端に集まっていた。一応奥崎の手伝いという名目で来ているためで本を探す素振りをしながらの会話になった。奥崎とは肩を並べて同じ本棚の前に並んでいたが、古野濱とは背中合わせ、阿良田は本棚の向う側にいる。
 文化祭の準備期間中はここを訪れる者は少ない。湧哉たちの他にも数人生徒はいたが、ここにいる生徒たちはあまり周りには関心を示さないらしい。湧哉の姿を確認しても後ろ指を指されるようなことはなかった。とはいえ、周りに聞かれるのは好ましくない。湧哉は集会後のクラスメイト達の変化について小声で話をした。
「ってな感じです……」
「勘づくやつは勘づくんものだな」 
「私の場合は少し落ち着いてから名乗り出たから大丈夫でしたけど……。畑原君の場合は……」
「全校生徒が目撃している。関係性を疑われるのは当然だ」
「あんなにすぐ集会を開かなくても……」
「しばらくは学校中の注目の的だろう。むしろ人気者になれると開き直るのはどうだ?」
「考えようによっては良いかもしれないですけどねえ……。俺は全然嬉しくないですけど」
「まあそうだろうな」
 明日からはいつも通り授業が開始される。今日来ていない生徒にも話が広まればより一層注目を浴びるだろう。会見が行われればまた状況も変わるだろうが、これは内容次第だ。湧哉にとって吉と出るかどうかはわからない。
「それに今回の集会、俺の事を意識してやってたと思うですよ」
「そんなわけがあるか。畑原の名前は出ていないし、教頭の事すら話していないんだぞ」
「私も考えすぎじゃないかと思うが」
「でも、俺を見て笑ったんですよ、校長」
 集会の途中で見せた笑み。自分を見下ろす視線。あの場面で笑う理由が他に思い当たらない。あの場面は校長にとって背水の陣だったはずだ。そんな場面で笑みを浮かべる校長に薄気味悪さを感じていた。
「ほ、ほんとに畑原君を見てたの?」
「距離はありましたけど、あれは間違いないです」
「仮にそうだとして畑原を意識する理由なんだ? 今回の件で疎ましく思うのなら俺もわかるが」
「もしかしたら……視聴覚室の事とかも関係あるんじゃないかな?」
「視聴覚室? なんだそれは?」
「そっか。阿良田君はいなかったもんね。ええっと――――」
 古野濱は視聴覚室であったことを話した。奥崎は不満そうな顔をしたが口は挟まなかった。
「これはまたわけのわからなことがあったもんだな」
 顔は見えないが声だけでわかる。阿良田は今ものすごく呆れた表情をしているんだろう。湧哉自身も無茶苦茶だったと自覚はしているが他人に言われると赤面ものだ。
「綱渡りにもほどがある。計画性はゼロ。今日のこともそうだが畑原。お前はもう少し頭を使え」
「あ、あれでも考えたんですよ……」
「それと奥崎先生。対応方法はいくらでもあったんじゃないですか。わざわざ教頭に付き合う必要もなかったはずだ」
「あ、あの時は余裕がなかったんだ……」
 湧哉も奥崎も叱られた子供のように小さくなってしまった。おかしな図に仕上がったものだ。
「だが、その話も無関係ではないかもしれないな」
「どういうこと?」
「校舎を走り回った結果、畑原は学校中のやつが知ることになった。その騒動の直後に集会を開いたということはその二つが関係あると俺達生徒に思わせるためかもしれない。視聴覚室での時は大した影響もなかったんだろうが、さすがに教頭の盗撮事件まで発覚させられたら放っておけない」
「そうか。畑原は常に学校中の視線にさらされる。そうなれば今回のような騒動も起こしづらい、ということか?」
「言ってみれば畑原は爆弾です。普段は特に目立たないがいざとなると何をしでかすかわからない」
「なんかひどい言われような気が……」
「褒めてるわけじゃないから当然だ」
「そうですか……」
「どちらにしろ校長の出方次第というところか。俺は今の学校の方針には特に口を出すつもりはない。だが警戒だけはしておけ」
「……」
 もしかすると湧哉は校長のテリトリーに足を踏み入れてしまったのかもしれない。まだまだ何か起こるような気がして湧哉は不安になっていた。
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