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非公式部活動ALM 作者:泉野 六
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思わぬ影響

 集会によって作業が一時中断してしまったせいでクラスは作業を再開する雰囲気には戻らなかった。皆グダグダと時間が過ぎるのを待つばかりだった。
「これじゃあ今日は解散かもね」
「だろうねー。集中って一回切れちゃうとなかなか戻らないし。それにそれどころじゃないでしょ?」
「気にならない人の方が少ないでしょ。あんな話されたら」
 ユウ二人も席についてすっかり雑談モードだった。
 会話に入らず聞き耳を立てると様々な憶測が飛び交っていた。罪を犯したというのは誰なのか。数人の名前が聞こえてきたが……。
「教頭じゃね?」
「教頭かもね」
「教頭先生ってなんかおかしかったもんね」
 生徒の間でも悪評の教頭の名は既に上がっていた。既に何をしでかしたのかと推測する者までいる。校長は言及しなかったが、生徒間で正解を出す者は少なからず現れそうだった。
「冗談で言ったけどまさかほんとに閉校になったりしないよね……」
「事の内容にもよるけど、少なくとも在学生がいるうちはないんじゃないかな?」
「だ、だよね。アハハハハ」
「別に結が悪いわけじゃないでしょ?」
「そ、そんなのわかってるよ! ちょっと心配だっただけだから!」
 この二人に関しては気にはなっているが犯人捜しをするほどでもないようだった。そのおかげで話が掘り下げられないの口を開く必要がなかった。
 だが、次第にこんな話が聞こえてくるようになった。
「今日の騒ぎと関係あるんじゃないか?」
「……」
 段々と自分に視線が向けられ始めていることに湧哉は気が付いていた。興味の対象が自分に向いている。この状況は良くない。先ほどは澤が止めてくれたが、今回は澤でも止められるかわからないほどの好奇心の波が迫っていた。事が伝えられた直後ということもあり、まざまざとそれが伝わってきた。湧哉は一刻も早くここから離れたかった。
「このまま解散になりそうだし、俺に職員室行ってくる」
「奥崎先生のとこ?」
「これ以上ここにいても仕方ないだろうし先に行ってくる。終わったら連絡するからどっかで時間潰しててくれ」
「了解」
「いってらー」
 席を立つと更に背中に視線を感じた。誰かに声を掛けられる前に教室から早足で飛び出した。
 廊下を歩く間も湧哉が通った後にこそこそと話をする者がいた。全校生徒たちの間では集会の内容と湧哉と教頭の逃走劇は関連付けられてしまったようだった。
 職員室には生徒の入室が既に許可されており、室内には生徒の姿があった。教員に集会の内容を問う生徒の声も耳に入ってきた。そして湧哉の姿を見つけると指を指し、更に教員に問う。聞いていた教員は首を横に振ってはいたが、指を向けられた時点で自分の話だとすっかり分かってしまった。
 自分の知らないところで段々と話が広がっていいくことに若干の恐怖を覚えた。
 そんな状況に気付いてか奥崎は湧哉が自分のところまで来る前に湧哉の元までやってきた。
「すまない。場所を変えよう」
「はい」
 湧哉と奥崎は短く会話を交わすと職員室を出た。
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